【新日本プロレス】棚橋がIC王座V2 飯伏を逆指名 オカダはEVILにKOされ王座戦に暗雲

高木裕美

ザックの挑戦を退けた棚橋(右)は次期挑戦者に飯伏(左)を逆指名 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 新日本プロレスの秋のビッグマッチ第2弾となる16日の「DESTRUCTION in HIROSHIMA」広島・広島サンプラザホール大会では、4大タイトルマッチを開催。9.24兵庫・神戸ワールド記念ホール、10.9東京・両国国技館に向け、新たな因縁が勃発した。

 メインイベントのIWGPインターコンチネンタル選手権試合では、王者・棚橋弘至が、30分を超える戦いの末に鈴木軍のザック・セイバーJr.を退け2度目の防衛に成功。試合後、自ら次の挑戦者に飯伏幸太を指名し、リング上でにらみ合った。

みのるの介入にも耐え得意技の連発で勝利

みのるの介入などもあったが、最後はハイフライフローでザックを一蹴した 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 棚橋は今年の「G1クライマックス」開幕戦となった7.17北海道・北海きたえーる大会で、ザックのジム・ブレイクス・アームバーにギブアップ負け。さらに最終戦となった8.13両国でも、6人タッグマッチながら変形卍固めで再度タップさせられるという屈辱に、タイトルマッチでのリベンジを誓うことになった。

 来年公開の主演映画「パパはわるものチャンピオン」撮影のため、トレードマークの長髪をバッサリと切った棚橋は、5月に右上腕二頭筋腱遠位断裂の重傷を負った右腕をテーピングでガッチリと固めて登場。ザックはこの日も得意のグラウンドで攻め立て、場外でもワキ固めを仕掛けると、20分過ぎには、両国でギブアップを奪った変形卍固め。棚橋も場外、リング上でハイフライアタック2連発を繰り出すが、ここで鈴木軍大将の鈴木みのるが乱入。レフェリーの死角を突いて棚橋にエルボー、スリーパーを繰り出すと、さらにイスを手にするが、マイケル・エルガンが力づくで追い出し、棚橋を救出。棚橋はハイフライフローをヒザ剣山でブロックされながらも、ツイストアンドシャウト3連発からスリングブレイド、ハイフライフローと一気にたたみかけて3カウントを奪い取った。

 棚橋にとって同所は13年2月にカール・アンダーソンとIWGP戦、翌年2月にも中邑真輔とIC戦を争った思い出の地。それだけに試合後、「新日本プロレスが広島に帰ってきたぞ!」と絶叫した棚橋は、「次の挑戦者、決めてある。これがインターコンチの特権だからな」とニヤリと笑うと、「飯伏!」と意中の相手を明かした。飯伏とは今年のG1公式戦8.1鹿児島で対戦。飯伏が新技カミゴェを初公開し、地元で神と崇める棚橋から初勝利を上げている。リング上で飯伏と向かい合った棚橋は「オレのインターコンチ、面白いと思ったヤツはすぐにやるんだ。次はおまえだ。挑戦を受けてくれ」と改めて逆指名すると、飯伏も大きくうなずいて退場した。

 なおも棚橋は観客の声援に応え、エアギターのアンコール、さらには「広島の皆さん、愛してまーす!」の絶叫から、かつては恒例であったファンサービスまでたっぷり行い、「メインイベンター」としての責任と存在感を示した。

 棚橋と飯伏の過去の対戦成績は1勝1敗で、いずれもG1公式戦。新日本のエースとして屋台骨を支え続けてきた男と、国内外の様々なプロレスを経験し、見る者の予想のナナメ上を行く男のベルトを賭けた戦いは、刺激的になること確実。また、飯伏が新日本のタイトル戦線に絡んできたことで、新日本マットにも新たなうねりが起きることになりそうだ。

KUSHIDAはデスペラード一蹴 オスプレイ戦が濃厚に

王者KUSHIDAにオスプレイとヒロムが挑戦を申し込むが、ヒロムは無残にもナックル一発でKOされる 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルのIWGPジュニアヘビー級選手権試合では、KUSHIDAがエル・デスペラードを退けV2に成功。試合後、ウィル・オスプレイが次期挑戦者に名乗りを上げ、そこに前王者の高橋ヒロムも乱入したが、無残にもオスプレイのパンチにKOされてしまい、一気にKUSHIDA対オスプレイの機運が高まった。

 両者は今年の「BEST OF THE SUPER Jr.」開幕戦となる5.17後楽園で激突し、デスペラードがギターラ・デ・アンヘルで勝利。その後、6.27後楽園でBUSHIとのタイトル戦を制したKUSHIDAに対し、直後にデスペラードが豪快なギタークラッシュを炸裂させ、王座挑戦を訴えた。

 KUSHIDAは今年の「BEST OF THE SUPER Jr.」で優勝を果たし、イギリス遠征ではROH世界TV王座も防衛するなど、王者として絶好調ぶりをキープしている。

 一方、正体不明のマスクマンであるデスペラードは、14年1.4東京ドームで初登場して以来、最初こそ強烈なインパクトを残したが、鈴木軍ではベテラン3人に次ぐ「4番手」的なポジションは否めず。今回が14年10月以来3年ぶり、新日本マット復帰後初の王座挑戦となる。

 デスペラードは5分過ぎ、持参したケースからギターを取り出し、KUSHIDAめがけて振りかぶろうとするも、レフェリーが阻止。ならばと今度はムチを取り出して殴りかかる。さらにマフラーホールドから両腕をロックしてヌメロ・ドスに移行すると、今度は自らマスクを脱いで投げ捨て、見ていなかったレフェリーに、KUSHIDAによる反則をアピール。KUSHIDAが必死に否定すると、そのスキに急所蹴りから丸め込み、ギターラ・デ・ムエルタを発射する。だが、KUSHIDAもマサヒロタナカはブロックされたものの、雪崩式のチキンウィングアームロックで締め上げると、バックトゥザフューチャーで勝負を決めた。

 試合後、今年の「BEST OF THE SUPER Jr.」決勝戦でKUSHIDAに敗れ準優勝に甘んじたオスプレイが現れ、リング上で挑戦表明。そこに前王者であり、オスプレイとも抗争中のヒロムも飛び込むが、ヒロムがマイクを握ろうとしたところを、オスプレイがパンチ1発で倒し、あわれヒロムはダウン。その間に、2人が視線をかわし、退場してしまうと、意識を取り戻したヒロムは、誰もいなくなったリング上でジタバタ暴れて大いに悔しがった。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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