サファテはソフトバンクの強さの象徴 鷹詞2017〜たかことば〜

田尻耕太郎

2年ぶりのリーグ優勝を決めて喜ぶソフトバンクのサファテ。今季はシーズン最多セーブ記録を更新するなど数々の記録を更新し、獅子奮迅の働きを見せた 【写真は共同】

 9月16日、敵地メットライフドームでの埼玉西武戦で、パ・リーグ史上最速優勝を決めた福岡ソフトバンク。胴上げ投手になったのはデニス・サファテだった。9回裏を迎えた時点でスコアは7対1。セーブのつかない場面だったが、工藤公康監督は試合前から「どんな点差でもサファテで行く」と決めていた。

 この2017年は、サファテ自身にとっても一生忘れることのできない特別なシーズンになった。今年は日本球界の歴史に、果たして幾つその名前を刻んだだろうか。

数々の記録を更新し続けた1年

 開幕すぐの4月2日の千葉ロッテ戦(ヤフオクドーム)で通算178セーブ目を挙げて、マーク・クルーン(元巨人など)を上回り外国人投手の最多セーブ記録を更新した。

「クルーン投手の記録を超えるということは、それだけ長く日本で続けているという証でもあるので、ずっと意識していた記録でした」

 7月5日、オリックス戦(ヤフオクドーム)では史上6人目となる通算200セーブを達成した。セーブ数の名球会入り基準は250セーブだ。「もちろん狙いたい。グリーンジャケットをもらえるんだよね。似合うネクタイを探さなきゃ(笑)」と早くも意欲満々である。順調に行けば来季の前半戦中に達成可能だ。

 そして9月5日のオリックス戦(京セラドーム)で、プロ野球のシーズン新記録となる今季47セーブ目をマーク。05年の岩瀬仁紀(中日)、07年の藤川球児(阪神)の記録を塗り替えた。普段はどんな場面でも冷静なサファテだが、この日ばかりは特別だったようで「普段、失敗すると考えることはないけど、あのマウンドでは『失敗したらいけない。勝って終わらないと』と頭をよぎった」と振り返る。それでも2奪三振を含む3者凡退できっちり締めくくるあたりが流石だ。

 その後も前人未到の記録を伸ばし、10日のロッテ戦(ZOZOマリン)で50セーブの大台に到達。14日のオリックス戦(ヤフオクドーム)で51セーブ目を挙げた時点で早くも3年連続のセーブ王を確定させている。

36歳でも成績はどんどん向上

 今年の4月で36歳になった。投手としてのピークはとうに過ぎていても不思議でない年齢だし、サファテ本人も「キャリアの終わりは近づいている」と語ることもある。

 しかし、今シーズンも最速159キロをマークする剛速球で打者をねじ伏せてきた。成績の30代半ばからどんどん向上している。

 また、14年のソフトバンク入団後のセーブ数だけを見ても37→41→43→そして51(※)。加えて、昨年までは特にシーズン後半に調子を落とすことがあったが、今シーズンはその波がまるで見られなかった。次のとおりである。

 <年度別月間ワースト防御率>
14年7月 4.50
15年9月 3.24
16年8月 3.86
17年9月 2.25

 リーグ優勝決定試合は6点差の登板ということもあってか2失点したことで、防御率2点台となったが、それ以外の登板7試合では無失点。8月までのワーストは6月の1.64で、今季は例年以上に抜群の安定感を誇ったことが分かる。

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著者プロフィール

 1978年8月18日生まれ。熊本県出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。2002年卒業と同時に、オフィシャル球団誌『月刊ホークス』の編集記者に。2004年8月独立。その後もホークスを中心に九州・福岡を拠点に活動し、『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)『週刊現代』(講談社)『スポルティーバ』(集英社)などのメディア媒体に寄稿するほか、福岡ソフトバンクホークス・オフィシャルメディアともライター契約している。2011年に川崎宗則選手のホークス時代の軌跡をつづった『チェ スト〜Kawasaki Style Best』を出版。また、毎年1月には多くのプロ野球選手、ソフトボールの上野由岐子投手、格闘家、ゴルファーらが参加する自主トレのサポートをライフワークで行っている。

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