【ボクシング】年末の統一戦が微妙となった田中恒成 適正階級も考慮し、的確な選択を
劇的勝利の代償は大きく……
劇的TKO勝ちで2度目の防衛を果たした田中恒成だったが、その代償は大きかった 【写真は共同】
14日、一夜明け会見に姿を現わしたプロボクシングのWBO世界ライトフライ級王者・田中恒成(畑中)の両目の周囲は前夜の苦闘を物語るように無残に腫れ上がっていた。試合後に吐き気を訴えて、記者会見は行わずに病院へ直行。検査の結果、頭部に異常は認められず、左眼窩底(がんかてい)骨折の疑いがあると診断された。
「開始直後の一発目のジャブが左目に当たって、二重に見えるようになった」。そう明かした田中は「ケガをしてしまった悔しさと情けなさでいっぱいです。田口(良一)選手、関係者に申し訳なく思っています」とうなだれた。年末にも激突が期待されていたWBA世界ライトフライ級王者の田口との王座統一戦は微妙になった。
田口も来場し、「次」への期待は高まっていた
“顔見せ”の意味合いが大きかった防衛戦だが、思いもよらない形で苦境に立たされた 【写真は共同】
「圧倒的な内容で勝ちます」――。
試合前日、静かに宣言していた防衛戦は“顔見せ”の意味合いが大きかった。5月に指名試合をクリアしており、挑戦者は自由に選択できた。2011年に来日経験のあるパランポンは、当時ノーランカーだった板垣幸司(広島三栄=現・日本ライトフライ級2位)に7回KO負けを喫している。リングサイドには田口が招かれ、王座統一戦に向けて、前景気をあおりたいテレビの意向が色濃く感じられるものだった。試合前には2階席に陣取った田中の応援団から田口に向けて「タグチ・コール」も送られる。だが、次への期待が感じられる中、試合は思いもよらない形でスタートすることになった。