順風満帆から一転…試練の1年に エース宮原知子、問われる“芯の強さ”

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疲労骨折でシーズン後半戦を欠場

全日本選手権3連覇を果たすなど、その歩みは順風満帆だった。しかし、16−17シーズン後半は一転して…… 【坂本清】

 16−17シーズンは、GPシリーズの2試合こそややミスが出たものの、ファイナルではショート、フリー共に自己ベストを更新する会心の演技で2年連続の2位に輝く。続く16年末の全日本選手権でも2位に15点差をつける圧倒的な強さで3連覇を飾った。同大会では濱田美栄コーチから「勝ちにいけ」と送り出され、その通りの結果を残してみせた。

「勝ちたいと思ったときに勝つのが本当の金メダリスト。そういう強い人になりたいと思っています」

 控えめな物言いの中にも、確かな決意がにじみ出ていた。ただ、自身の立ち位置としては「まだチャレンジャー」だとも言った。

「日本の中では追われる立場にもあると思いますが、世界には自分より上手な選手がたくさんいるので、まだまだ追いかける立場だと思っています」

 シーズン終盤戦に向けて、その歩みは順風満帆だった。しかし年が明けて、出場が予定されていた世界選手権など3つの大会への調整を進めている中、アクシデントに見舞われる。昨年末から違和感を抱えていた左股関節の疲労骨折が判明したのだ。そのため終盤戦は全試合を欠場。宮原不在の世界選手権で、日本勢は三原舞依(神戸ポートアイランドクラブ)こそ5位と健闘したものの、樋口新葉(日本橋女学館高)が11位、本郷理華(邦和スポーツランド)が16位と精彩を欠き、平昌五輪の出場枠が過去3大会の「3」から「2」に減ってしまった。

この苦境を乗り越えられるか

7月末のアイスショーで演技を披露したが、その後はケガや体調不良もあり、コンディション調整に苦慮している 【坂本清】

 悪い流れは今季になってもまだ断ち切れていない。氷上練習を5月から始め、7月末にはアイスショーにも出演した。だが、練習中に左足を捻挫し、8月4日からのアイスショー出演を取り止め。さらには8月30日に予定されていた公開練習を、今度は体調不良で欠席するなど、コンディション調整に苦しんでいる。

 平昌五輪に出場できるのは2人。ソチ五輪以降の実績では他の追随を許さない宮原だが、今年4月の国別対抗戦で三原と樋口が、フリーの日本歴代1位と2位の得点をそれぞれマークし、一気にその差を詰めてきた。さらには同じリンクで練習する本田真凜(関西大中・高スケート部)らジュニアの有望株が今季はこぞってシニアに参戦する。五輪の出場権争いはし烈を極めることだろう。

 宮原は当初、10月6日からフィンランドで行われるフィンランディア杯での実戦復帰を予定していたが、「無理して違うケガをしたら意味がない」と欠場を決めた。現状では11月10日からのNHK杯が今季初戦となる可能性が高い。調整不足や試合勘の欠如が懸念されるものの、「五輪は一番目指したい場所。これまで頑張ってきたことをしっかり出せるようにしたいし、どんなことがあっても諦めない」と覚悟を語る。

 ソチ五輪の出場権を逃して以降、悔しさを糧に練習に打ち込んできた。その成果もあり、過去3シーズンは順調な道を歩んできたが、平昌五輪まで残り1年というところでそれは突如暗転してしまった。ただ、こうした状況でこそ選手としての芯の部分が問われる。かつて宮原は「強い人になりたい」と言った。この試練を乗り越えられるか否かは、まさに彼女自身の“強さ”にかかっている。

(文:大橋護良/スポーツナビ)

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