重馬場の影響か……前哨戦で日本馬は苦戦 凱旋門賞まであと3週間

JRA-VAN

勢いに乗るチンギスシークレット

重馬場経験が勝負を分けたか 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 優勝したチンギスシークレットは昨年10月22日に重馬場で行われたG3伊セントレジャー(芝2800m)で重賞初制覇を果たし、今年5月7日のG2ゲルリンク賞(芝2400m)を連勝。続くG2バーデン経済大賞は5着に敗れたが、その後に7月1日のG2ハンザ大賞(芝2400m)を制し、前走8月13日のG1ベルリン大賞(芝2400m)でG1初勝利を挙げていた。G2ハンザ大賞も不良馬場で勝利していたように、重賞での重馬場経験がなかったサトノダイヤモンドとは、馬場の巧拙の差が出た格好となった。

 管理するM.クルーク調教師はG1独ダービーで今年のヴィントシュトース、2014年のシーザムーンと、ここ5年で2度優勝しているドイツのトップトレーナーの一人。本来であればドイツ調教馬のチャンピオン決定戦である9月3日のG1バーデン大賞(芝2400m)に向かうのが一般的なローテーションだが、凱旋門賞に登録のあるチンギスシークレットに本番と同じ舞台を経験させようという陣営の考えが功を奏した結果となった。

立て直しに期待、ダイヤ&ノブレス

サトノダイヤモンド騎乗のルメール騎手 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 サトノダイヤモンドは欧州の重馬場に戸惑ったことが主な敗因だろうが、前走4月30日の天皇賞・春(キタサンブラックから0.2秒差の3着)の影響もまだわずかながらあったのかも知れない。ディープインパクトのレコードタイムを1秒近く更新する3分12秒5で走破したキタサンブラックと同レース2着のシュヴァルグランが、続くG1宝塚記念で9着と8着に崩れていることが、天皇賞・春が相当にタフなレースであったことを物語っている。

 サトノダイヤモンドとサトノノブレスを管理する池江泰寿調教師にとっては、厳しい結果を突きつけられた格好だが、ここから凱旋門賞までの3週間で立て直し、過去にオルフェーヴルで凱旋門賞2年連続で2着に敗れた雪辱を果たしてくれることを期待したい。

凱旋門賞まであと3週間。立て直しを図る池江泰寿調教師 【Photo by Kazuhiro Kuramoto】

 最後にフォワ賞と同日にシャンティイ競馬場で行われた2つのG1凱旋門賞の前哨戦、G1ヴェルメイユ賞とG2ニエル賞についても簡単に触れておこう。今年のG1凱旋門賞路線は、英国の3歳牝馬エネイブルがG1キングジョージ6世&クイーンエリザベスSやイギリス、アイルランドのオークスダブル制覇などここまでG1を4連勝して抜けた存在となっており、前哨戦でこれを脅かす馬が出てくるかが見どころの1つだった。

 しかし、牝馬によるヴェルメイユ賞に優勝したバティールは、レース後に陣営から凱旋門賞には向かわない意向が伝えられ、3歳馬によるニエル賞を快勝したクラックスマンも、エネイブルを擁するJ.ゴスデン厩舎の所属であることから、エネイブルにアクシデントがない限り凱旋門賞は回避する見込み。前哨戦が終了した時点でのブックメーカーによる凱旋門賞の前売りオッズは、単勝2倍前後の圧倒的な1番人気になっているエネイブルの一強状態という図式に変わりはなく、このまま本番を迎えることになりそうだ。

(サラブレッドインフォメーションシステム 伊藤 雅)

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