広島に「先発10勝カルテット」誕生か 新たな投手王国に継承される黒田イズム

ベースボール・タイムズ

誕生すれば2013年以来

現在12勝を挙げている岡田。2年目での2ケタ到達は上出来と言える 【写真は共同】

 広島がリーグ連覇へカウントダウンに入った。9月5日からの2位・阪神との直接対決に3連勝し、優勝へのマジックがひとケタに。焦点は優勝決定日とポストシーズンに移りつつある。

 濃厚となった連覇の原動力は、打率、得点、本塁打、盗塁など、あらゆる部門で断トツの攻撃力がまず挙がるが、先発投手陣の頑張りも忘れてはならない。黒田博樹が引退し、開幕前は不安視された先発ローテーションに2年目の岡田明丈と3年目の薮田和樹が定着。ともに最多勝争いに加わる活躍を見せている。

 8日の中日戦で今季2度目の完封勝利を挙げた薮田は、現在14勝でトップの菅野智之(巨人)と1勝差と、初のタイトルも圏内に。岡田は12勝でタイトルは苦しい状況だが、2年目での2ケタ到達は期待以上の働きと言える。その他にも、昨季最多勝の野村祐輔が9勝、開幕からローテを守り8勝の大瀬良大地も含めて、2013年の前田健太(15勝)、野村(12勝)、バリントン(11勝)、大竹寛(10勝)以来となる「先発10勝カルテット」誕生の期待もある。そして昨季沢村賞のジョンソンが不振の中、この数字は新たな投手王国、黄金時代の到来を予感させるものだ(成績は9月9日終了時点)。

ジョンソン不振の窮地救う若手の成長

14年新人王の大瀬良は夏場まで先発試合でチームが負けない「不敗神話」ができるなど、貯金を多くもたらした 【写真は共同】

 開幕当初の構想では、計算が立つ先発投手はジョンソン、野村の2本柱のみで、あとに続く投手は、あくまで期待値に過ぎない若手ばかりだった。そんな状況の中、2年連続開幕投手を務めたジョンソンが、悪条件での開幕戦の登板後に咽頭炎を発症。長期離脱を余儀なくされ、連覇を狙うチームにいきなり暗雲が立ち込めた。

 しかし、この状況を若手投手陣が救った。“ポスト黒田”の最右翼に期待された福井優也は制球難を克服できず、今年もローテ定着はならなかったが、その福井に代わって先発3番手の座に躍り出たのが、2年目の飛躍が期待された岡田だった。

 岡田は開幕カードの阪神戦こそ4回6失点で降板したが、今季2戦目の東京ヤクルト戦で自己最長となる8回1/3を1失点に抑えて初勝利を挙げると、続く阪神戦ではプロ初完投勝利をマークし、以後は安定した投球を続けた。オールスター前に2度の抹消はあったが、後半戦に入ると4連勝で2ケタ勝利に到達。先発陣の柱の1人に成長した。

 14年の新人王で、今季から先発復帰を果たした大瀬良も、当初はなかなか勝ち運に恵まれなかったが、試合をつくる安定した投球でローテを守った。自身に勝ち星がつかなくてもチームは負けないという試合が続き、8月まで無傷の8連勝をマークした。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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