熱意がつながり10回目 野球への思いが結集する離島甲子園
一人の少年の訴えで発足したチーム
紅一点で主将を務めた岡崎颯希さん 【平野貴也】
まだ7人しかいないが、2度目の大会参加にこぎ着けた。主将を務めた、紅一点の3年生・岡崎颯希さんは「去年の大会で初めて中学生と試合をしました。同じ離島でも、すごくレベルが高くて、市の大会を優勝したり、全国大会に出たりしていて、すごいと思いました。今年は初参加の選手が、初めての試合でヒットを打てたのが良かった。普段より声を出していた仲間もいました。私も初めてバットにボールが当たって、前に転がりました」と、初めて触れる同年代の野球に圧倒されてから1年越しで得たわずかな手応えを素直に喜んだ。
少しずつ進むための活力
イニングの合間に選手に声を掛ける清水監督 【平野貴也】
大会は、下手でも、弱くても、少しずつ進むための活力だ。先発投手の福島君は「仲間を集めたい気持ちは、あります。体験入部の子が来たから『入らない?』って声を掛けたんですけど。来年は人数が9人そろったらいいなと思うけど、もしそろわなくても大会に出たいし、もっと強くなって試合に出たいです」と再挑戦を誓った。
たった1人の挑戦が、今につながっている。野球がやりたい――誰かの熱意が、次の熱意を生む。清水監督は「選手を借りていて、皆さんにおんぶに抱っこの状況ですけど、同じ状況のチームがほかにもあるはず。予算がない、人数が足りないといって諦めるのではなく、助け合うことで試合をさせてあげられるということを知ってもらいたい」と訴えた。
子どもの野球離れが叫ばれる中、最も過酷な状況の離島で生まれる熱意が、離島甲子園という舞台でつながっている。