【ボクシング】井上の米デビュー戦相手が意気込み ニエベス「フィジカルの有利を生かす」

杉浦大介

王者・井上尚弥に挑戦するアントニオ・ニエベスに話を聞いた 【Getty Images】

 プロボクシングのWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチが現地時間9日(日本時間10日朝)、米国カリフォルニア州カーソンにあるスタブハブ・センターで開催される。

 本場・米国でのデビュー戦となる王者・井上尚弥(大橋/24歳)に対し同級7位の“戦う銀行員”アントニオ・ニエベス(米国/30歳)が挑戦する。2人の戦績は王者・井上が13戦13勝(11KO)無敗で、ニエベスは20戦17勝(9KO)1敗2分け。目の肥えた米国ファンの前でインパクトを残したい王者の防衛戦は、どんな戦いになるか注目が集まる。

 今回はマネジメントを担当するスプリット−Tマネジメントの協力により、米国時間8月30日にニエベスへの電話インタビューを行った。

階級下げるも減量は問題なし

ニエベスは井上戦に関し「偉大なファイターと戦えるのは光栄」と話す 【写真は共同】

――初めての世界タイトルマッチが間近に迫っていますが、意気込みは?

 井上尚弥という偉大なファイターと戦えるのは光栄であり、名誉なことです。重要な意味があるファイトだということももちろん理解しています。これは私の夢がかなうファイト。この一戦に勝てば、さらに大きなチャンスが手に入り、さまざまなことが変わっていくはずです。井上は強いですが、しっかりとしたゲームプランを用意し、試合当日は勝利を目指して全力を尽くすつもりです。

――これまで118パウンド(53.52キロ)のバンタム級で戦ってきましたが、この試合では115パウンド(52.16キロ)のスーパーフライ級になります。ウェイトコントロールは順調ですか?

 ウェイト調整は私にとって問題ではありません。キャリアの中で、116パウンド(52.62キロ)で戦ったファイトもありました。多少のアジャストメントは必要ですが、115パウンドの身体を作ることはそれほど難しいことではありません。今回の大事なファイトに向けて、すでに良いコンディションが作れています。

――減量が問題ないとすれば、上の階級から降りてきたことは体格の面でアドバンテージになり得るでしょうか?

 それはその通りですね。特に井上は下の階級から上がってきた選手なので、フィジカルの有利な点は最大限に生かして戦うつもりです。私のリーチをどう戦術に生かしていくかもポイントの1つになるでしょう。(※ニエベスのリーチは174センチ。井上の171センチよりも長い)

井上は「試練と言えるファイトを経験してない」

――井上の過去のファイトの映像は見ていると思いますが、率直な印象は?

 間違いなく素晴らしいファイターです。あの若さで2階級を制覇したわけですから、実力がないわけがありません。パンチにはスピードがありますし、パワー、強さも備えています。非常に総合力の高い選手という印象ですね。

――その中で、弱点らしきものを挙げるとすれば?

 パワーショットに頼るというか、少し強引になるところがあるように思います。また、これまで圧勝が多く試練と言えるファイトを経験していません。まずは彼のリズムを崩し、隙が見えたらうまくつけ込んでいくつもりです。

――今回のファイトでは井上が“Aサイド(ホーム側)”と考えられてしかるべきと思いますが、ジャッジの判定への心配は? KOは狙いますか?

 井上がチャンピオンであり、もちろん彼がAサイドです。ただ、それゆえにプレッシャーは僕ではなく彼の方にのしかかっているはずです。米国に来て、初めての試合で、すぐに求められている結果を出さなければいけない。それは簡単なことではないはずです。チャンスがあったらもちろんKOを目指します。その一方で、12ラウンドをフルに戦えるようにしっかりと準備はしておくつもりです。

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著者プロフィール

東京都生まれ。日本で大学卒業と同時に渡米し、ニューヨークでフリーライターに。現在はボクシング、MLB、NBA、NFLなどを題材に執筆活動中。『スラッガー』『ダンクシュート』『アメリカンフットボール・マガジン』『ボクシングマガジン』『日本経済新聞・電子版』など、雑誌やホームページに寄稿している。2014年10月20日に「日本人投手黄金時代 メジャーリーグにおける真の評価」(KKベストセラーズ)を上梓。Twitterは(http://twitter.com/daisukesugiura)

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