オリックス吉田正尚、本塁打連発の秘密 小柄な体で飛距離を生み出す理由とは!?
173センチとプロ野球選手としては小柄な体ながら飛距離抜群のホームランを連発するオリックス吉田。ホームランを打てるポイントはどこにあるのか!? 打撃フォームからその秘密に迫る 【写真は共同】
本数もさることながら、何よりすごいのがその弾道と飛距離である。そして173センチというプロ野球選手としては小柄な身長とのギャップが観客を魅了していることは間違いない。そんな吉田のバッティングについて、飛距離を生み出す秘密をアマチュア時代からのフォームの変遷にも触れながら解説する。
高校時代は巧打者の評価
そんな吉田の印象が大きく変わったのは青山学院大入学後のことだ。大学で最初に吉田を見たのは、彼が1年だった12年5月1日の対中央大戦。「6番・DH」で出場し、鍵谷陽平(北海道日本ハム)からいきなりライト前ヒットを放ってみせたが、とにかく驚かされたのが振りの強さだ。ホームランこそ出なかったもののそのスイングは完全にスラッガーのものになっていた。その後も卒業までに吉田のプレーを見る機会は8試合あったが、時には迷いが見られることはあったものの、着実にスイングの迫力はアップしていった。そして4年時にはNPB選抜との交流戦で高橋光成(埼玉西武)から一発を放ち、高校日本代表からも2打席連続弾を放つ活躍を見せ、大学ナンバーワンスラッガーの評価を不動のものとする。その後の活躍は言うまでもないだろう。
前に大きく振れるフォロースルー
体全体での押し込みが飛距離の秘密のひとつ。この写真でも後ろ肩が一塁ベースを向くほどインパクト時に体全体でボールを押し込んでいることが分かる 【写真は共同】
そしてこのフォロースルーを生み出す源になっているのが、下半身と体幹の強さである。右足が着地した時にグリップはしっかり後ろに残っており、バットの角度も地面に対して約45度とスムーズに振り出すには理想的な位置である。そこから両脚の内転筋を使って体を回転させていくが、鋭く回りながらも両足でしっかり踏ん張っているのがよく分かる。これだけ鋭く回転しても姿勢が崩れないのは体を支える強い下半身の賜物である。
強靭な下半身と体幹が生み出す飛距離
高校を卒業して木製バットになってから苦労する選手は多いが、吉田は逆に強打者へと変貌を遂げており非常に珍しいケースである。ちなみに高校1年の時に67キロだった吉田の体重は現在87キロにまで増え、当時とは見違えるような体つきになっている。それでいながらスイングのキレと柔らかさを失っておらず、単純なトレーニングだけでなく自分のバッティングを追求してきたことがうかがえる。その強烈なスイングは諸刃の剣で腰を痛めることが多いが、その試練に完全に打ち勝ち、名実ともに球界を代表する打者となることを期待したい。
- 前へ
- 1
- 次へ
1/1ページ