宝塚パスでベスト条件ヤマカツが軸不動? 世界の名手モレイラも怖い札幌記念座談会

競馬専門紙「優馬」

競馬専門紙「優馬」トラックマン座談会

 佳境を迎えるサマーシリーズだが、今週は“2000”の札幌記念、“スプリント”の北九州記念が行われる。名物GII札幌記念には、夏の王者を狙う馬や秋を見据えたA級馬が集結し、さらには“マジックマン”の異名で知られる世界的な名ジョッキー・J.モレイラも参戦。優馬TM(トラックマン)陣のジャッジは如何に。

人気ヤマカツエースに 未対決の4歳勢が迫る

コーナー4回の2000m戦を得意としているヤマカツエース(撮影:日刊ゲンダイ) 【(C)競馬専門紙「優馬」】

デスク「今年は10年ぶりにGI馬の出走がないとのことで寂しさを禁じえないが、このメンバーなら、2000mの重賞4勝というヤマカツエースの実績がモノを言いそうだな」

小桧山ヤマカツエースは、このレースで3歳時に4着、昨年も5着ともう一息だけど、それ以降はGII2勝にGI大阪杯でも3着と、相当パワーアップしてるからな。フラットなコースで速い時計の決着に不安を残すとはいえ、今年のメンバーなら何とかなるよ。昨年夏負けしたこともあって、今年は宝塚記念をパスしてここ一本に備えたものだし、もちろん秋のGIを視野に入れているものの、態勢としてはほぼデキているぞ」

山崎「秋はともかくとしても、コーナー4つの2000mはベスト条件ですからね。ここで星を落とすわけには行かないと思いますよ」

三代川「今回は先行争いがスンナリと決着してペースが落ち着く可能性も高そうですが、ヤマカツエースは早目に進出する形の競馬もできるので、軸としては信頼できると思います」

デスク「ただ、重賞を全部で5つも勝ちながらGIタイトルに手が届いていない馬だよな。本当に勝ちたいのはココではなく、その先なんじゃないのか」

広田「池添兼師が“最高の状態でレースに臨めた”という大阪杯は、あと一歩の3着でしたが、結果的には位置取りの差が出た格好でしたし、ラストの伸びも見せ場十分でしたからね。“秋には大きいところを狙いたい”という言葉も、だからここは余裕残しで、ではなく、だからこそ結果を求められる一戦になるはずですし、実際に夏負けが尾を引いた昨年とは雲泥のデキですよ。例年以上に涼しかった函館競馬場での調整がうまくいったんだと思います」

デスク「とはいえ、まだ手を合わせていない4歳馬との力量比較も難しいんじゃないか? 本紙中田の◎もそういう意図だと思うが」

中田「年明けの京都金杯を勝ったあとは人気に応えられていないエアスピネルですが、3歳クラシックでの戦績を考えれば、ここでは主役を張るだけの力があると見ます」

落合エアスピネルは、これまで連対した5戦が全てマイル戦なんだけど、2000mでの2戦が、弥生賞でコンマ3秒差3着と、皐月賞のコンマ5秒差4着なら、ベストではなくても守備範囲の距離だと思うぞ。1週前にはルメール騎手が函館に出向いて感触を確かめていたし、厩舎サイドのヤル気も伝わってくるよな」

広田「それは取材でも伝わってきましたよ。前走の安田記念がほとんど追えるシーンのない不完全燃焼だったこともあって、陣営は放牧に出さずに目標をここに設定しましたが、中間の調教過程からは、ここに賭ける陣営の思いを感じますね。初の洋芝も、函館の本馬場での動きから問題ないと判断できますし、新コンビとなるルメール騎手も好感触を得た様子です」

清野「私は、ヤマカツエースには3ヶ月以上の休み明けで実績がないこと、エアスピネルもやはりマイルがベストなのでは、という気懸かりな点があるので、マウントロブソンに期待します。昨年の札幌で大暴れしたモレイラ騎手と堀厩舎。今年の札幌でも勝ち鞍数1位のディープインパクト産駒。まだまだ上積みが見込めそうな前走の勝ちっぷり。買える材料はたくさんあると思います」

打越「過去4勝が全て小回りコースで、初の札幌も適性十分と見ていいし、キレ味より渋太さが持ち味だった馬が、前走で瞬発力勝負にも対応できた点に成長を感じたな。7ヶ月ぶりを叩いた上積みに加えて、やっぱり鞍上も魅力だよ」

目黒「昨年はネオリアリズムが逃げ切り、2年前のディサイファも2番手から抜け出し。3年前こそハープスター、ゴールドシップの追い込み決着でしたが、これは2頭ともGI馬。Cコースに替わることで、基本的に先行できて自在性のあるタイプが有利なレースですからね。マウントロブソンは逃げたいロードヴァンドールの隣に入って、2・3番手の好位を確保できそうですし、あとは僕も“マジックマン”の手腕に期待したいです」

馬場「追い切りで跨いだそのマジックマンは“少しテンションは高かったが、元気が良いと言える部類でコントロールは利いていた”と、感触も上々のようでしたね。陣営からも“長期休養明けを勝った反動はない”と、状態に関しては不安なしの雰囲気でした。あとは力関係だけでしょう」

木谷エアスピネルはクラシック3戦を4・4・3着で皆勤しましたが、マウントロブソンも6・7・7着で皆勤してるんですよ。力が足りないことはないでしょうし、小回りの中距離戦や洋芝への可能性を考えると、ここで逆転という展開もあるかもですね」

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競馬専門紙「優馬」のスペシャル競馬サイト。トレセンや競馬場という現場で記者やトラックマン達が仕入れてきた生情報を元に、予想記事やコラム記事を掲載しています。さらに、競馬ファンのニーズに対しダイレクトに応えていくようなコンテンツも展開。

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