残り日程から考えるパ・リーグ優勝争い 「逃げ切り」か「差し」か「奇跡」か

ベースボール・タイムズ

8月15日のオリックス戦でチーム通算1000勝をマークしたソフトバンク。2年ぶりのリーグ優勝へカギを握るのは救援陣だ 【写真は共同】

 盆も明け、プロ野球ペナントレースは残り2カ月を切った。東北楽天と福岡ソフトバンクの2強状態が続いていたパ・リーグでは、埼玉西武が7月下旬から破竹の13連勝を飾って一気に上位との差を縮めた。果たして「逃げ切り」か、「差し」か、それとも奇跡の「逆転」か――。残り日程から3球団の有利不利を考えたい。

ソフトB:優勝へ正念場の1週間

 現在、パ・リーグ首位に立っているのはソフトバンクだ。残り試合数はパ・リーグ球団で最も少ない35試合。そのうち、楽天と10試合(今季対戦成績6勝9敗)、西武と7試合(同11勝7敗)と上位2チームとの直接対決を多く残す。

 直接対決17試合。特に18日からの楽天3連戦(Koboパーク宮城)と、週明け22日からの西武3連戦(ヤフオクドーム)を控えるこの1週間は、優勝へ向けた正念場になる。この6試合を勝ち越して乗り切ることができれば、一気にVロードが開けるはずだ。その正念場を終えて以降の直接対決を見ても、楽天との7試合中6試合を本拠地・ヤフオクドームで戦うことができ、西武とは残り4試合のみ。逃げる側とすれば、直接対決が少ない方が精神的にも有利になるだろう。

 そして貯金が稼げる下位チームとの対戦は、35試合中18試合を残す。その内訳は、オリックス戦7試合(今季対戦成績13勝5敗)、北海道日本ハム戦4試合(同15勝6敗)、千葉ロッテ戦7試合(同14勝4敗)で、下位3球団に対しての勝率はすべて7割を超えている。カギを握るのはリリーフ陣。救援防御率2.54はリーグトップ(楽天3.37、西武2.75)を誇るが、6月(1.52)、7月(1.62)の1点台から8月は17日終了時点で救援防御率5.63と跳ね上がっている。1点の重みをより感じるシーズン終盤戦へ向けて、ブルペンを再整備したい。

楽天:疲れと重圧をどう乗り越える?

2位につける楽天は、オコエら若手の躍動がプレッシャーをはねのけるか 【写真は共同】

 2位の楽天は我慢の時が続いている。前半戦で首位快走も、オールスター明けから主力にケガ人が続出。茂木栄五郎、ペゲーロの1&2番コンビは戻って来たが、守護神・松井裕樹は依然として不在で、チーム全体として一時の勢いは失われてしまった。

 残り試合は最も多い43試合。そのうち、ソフトバンクとは10試合(今季対戦成績9勝6敗)で、西武とは7試合(同7勝11敗)。ここまでソフトバンク相手には優位に試合を進めてきたが、西武には後半戦6連敗中。エース・則本昂大が8月2日の試合で6回6失点の負け投手になるなど、今季の西武戦3試合で0勝2敗、防御率7.11と打ち込まれているのも気になる点だ。現在、直接対決6連戦の真っ只中だが、再来週の29日からも西武3連戦(Koboパーク宮城)の直後にソフトバンク3連戦(ヤフオクドーム)を控える。西武相手に意気消沈してソフトバンク戦を迎えることは避けたい。

 その一方で、オリックス6試合(今季対戦14勝4敗1分け)、日本ハム10試合(同12勝3敗)、ロッテ10試合(同11勝4敗)と、残り43試合中26試合が下位チームとの対戦である点はメリットになる。

 問題は疲れと重圧。8月末からの上位との6連戦、さらに雨天中止分の振替試合で連戦が続く9月末の戦いを考えると、先発投手陣がいかに試合を壊さない投球をできるか。野手では高卒2年目のオコエ瑠偉が8月4日からスタメン出場を続けているが、投手陣では高卒1年目の藤平尚真を救世主として期待。フレッシュな戦力で重圧を跳ね返したい。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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