柳田悠岐が三冠王以上に掲げる目標 「優勝争いでプレーする喜びを出したい」

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三冠王も十分可能な成績を残しているソフトバンク・柳田。しかし、本人は「特に気にしていない」と話す 【写真:BBM】

 福岡ソフトバンク・柳田悠岐の今シーズンは、昨年に続いて春季キャンプはB組からのスタート。2016年オフの侍ジャパン辞退の原因にもなった、右ひじ痛のリハビリを進めるためだった。16試合に出場したオープン戦では、シーズン前の調整の意味合いが強いとはいえ、打率2割3分1厘と低空飛行。開幕してからもしばらくは数字が伸びていかなかった。それでも、本人の狙いは明確だった。現在、打率3割2分4厘(リーグ2位)、27本塁打(同1位)、85打点(同1位)と成績を伸ばしている(成績はすべて8月13日終了時点)。

今季のテーマは「フライを打つ」

──シーズン序盤は思うような打撃ができていないような印象でした。打率も2割3分台に落ち込むこともありました。ただ、「感覚をつかめた」と語っていた今季初の猛打賞となった5月13日の東北楽天戦(熊本)以降、数字は右肩上がりです。

 その試合はテークバックというか、自分のトップをつくるまでの形とか力の抜き方が、ある程度「コレかな」っていうのが見えた試合でした。それを続けてみたら、結果にもつながったんで、それが一番よかったと思います。最初はいろいろ試しながらというか、そういう感じで初めて、やりたいことをやっているうちにだんだんとポイントが合ってきたっていう感じです。

──やりたかったこととは?

 今季、ヤフオクドームの人工芝の張り替えがあって、打球の勢いが吸収されやすくなった分、ゴロを打つと内野の間を抜けないし、ヒットにならないとオープン戦のときから思っていたんです。だから今年はとにかくフライを打っていくことがテーマでした。最初は合っていなかったポイントが少しずつ合ってきて、ようやくって感じです。

──本拠地のリニューアルが打撃の変化につながるのですね。

 いい感じで打てるようになっていると思いますが、そこが一番変わったところです。やっぱし変化しないと、打てないと思ったんで。良くなってきたときの形も、ずっとハマっているわけではないので、「ダメだな」と思ったときには少し変えたりもしています。それが今はすぐにハマって結果に出たりもしているからいいんですけど。

──打順は内川聖一選手の離脱後、4番に入るようになりました。

 下位打線にもすごいバッターがたくさんいますし、どこからでも点が取れる打線だと思っているので、そういう意味では「誰かが打つやろ」みたいな感じで、気楽に打席に立てています。

──04年の松中信彦(当時ダイエー)以来の三冠王も見える位置にいます。

 それは特に気にしていないですね。ほかの人との兼ね合いもありますし。まずは自分が打たないといけないと思いますけど、運の要素がたくさんありますから。僕はケガをしないことです。

34本塁打を放った一昨年を超えるペースでアーチを量産。その理由を「オフにトレーニングをしっかりしてきた」からと明かす 【写真:BBM】

──昨季は北海道日本ハムとの優勝争いの最中に右手薬指を骨折して離脱。優勝を逃した悔しさもあります。

 そうですね。ケガをして試合に出ないということがプロ野球選手として一番避けなければならないことだと思っています。試合に出ることが大事ですし、意識しているのはそれだけですかね。

──今季は一軍の打撃コーチが立花義家コーチと藤本博史コーチに顔ぶれが変わりました。

 立花さんは僕が入ったころの一軍のコーチだったので(11、12年)、そのときはとにかくたくさん練習しましたし、一軍に上がったときに試合前のバッティング練習が終わるとミラールームへ行ってティーを打ったりするのに付き合ってくださって、自分の基本的な部分をつくってくれた方なので、僕のバッティングを知ってくれている方です。藤本さんも二軍時代からずっと指導してくれているので、頼りになるというか、気づいたことがあったりすれば、ワンポイントでアドバイスをくれたりします。伸び伸びと気持ち良くやらせてもらっています。

──トレーニングの成果か、本塁打はキャリアハイの15年の34本を上回るペースです(15年は100試合消化時点で23本塁打)。

 15年のオフは右ひじを手術したこともあって、上半身のウエートトレーニングができていなかったんですけど、昨シーズンが終わってからはしっかりしてきました。それもあって、シーズン初めに数字が上がっていなかったときも、ケガをせずにやれれば大丈夫かなという気ではいられました。今もトレーニングはボチボチやっていますよ。

──オールスターでも2日続けてホームランダービーのトップに立ちました。

 オールスターはまあ、楽しかったです。ホームラン競争も今まで1回も勝てたことがなかったので、初めて勝ててうれしかったです。でもあれはイヤです。できることなら出たくない。

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