日本の金メダルは「射程圏内」 過去データから見る世界陸上リレー展望

日本陸上競技連盟

日本の予想タイムは37秒48、優勝の可能性は?

銅メダルを獲得した北京五輪でのタイムは38秒15。代表メンバーの走力は当時より上だ 【写真:アフロスポーツ】

 下記のデータは、日本が銀メダルを獲得した16年リオ五輪の決勝を走った8チームの各走者のリレー直前までの100メートルのシーズンベストの合計と実際のリレーのタイムを比較したものだ。なお、「失格」となった米国とトリニダード・トバゴのリレーのタイムも参考までに記載した。

<リオ五輪記録とシーズンベストの合計比較>
順位)リオ五輪記録  国名   100m合計(差) 1走  2走  3走  4走
1位)37.27 ジャマイカ 39.60(2.33) 9.92 9.93 9.94 9.81
2位)37.60 日本    40.52(2.92)10.05 10.36 10.01 10.10
3位)37.64 カナダ   40.37(2.73)10.16 9.96 10.34 9.91
4位)37.90 中国    40.70(2.80)10.30 10.08 10.08 10.24
5位)37.98 イギリス  40.32(2.34)10.01 10.08 10.04 10.19
6位)38.41 ブラジル  40.86(2.45)10.21 10.11 10.28 10.26
DQ(37.62)米国    39.58(1.96) 9.97 9.80  9.97 9.84
DQ(38.09)トリニダード・トバゴ 40.22(2.13)10.07 9.99 10.19 9.97

 上記の通り、100メートルのシーズンベストの合計で日本は6番目。しかし、見事なパスワークで100メートルの走力の劣勢をカバーして「銀メダル」を手にしたのだった。

 200メートルを得意とし、100メートルを走ることがあまりなかった2走・飯塚翔太(ミズノ)の16年シーズンベストが10秒36で計算されているが、機会があれば実際にはもっと走れたはずだろう。ということで、その時点での飯塚のベストであった10秒22(2013年)で計算すると合計は「40秒38」となる。しかし、それでも8チーム中の6番目であったことに変わりはない。

 飯塚の記録を10秒22として計算した16年の「合計40秒38」に対し、今回エントリーの上位4人のそれは「合計40秒26」。「たら、れば」の話になるが、2走以降の加速とパスワークによる短縮タイムが前回並みとすれば、リレーは「37秒48」となる計算だ。

 07年の大阪世界選手権で38秒03のアジア新記録をマークして5位だった時のリレー直前までの4人の100メートルシーズンベストの合計は「41秒15」でその差3秒12。08年北京五輪で銅メダル(38秒15)の時は、「合計41秒17」でその差3秒02。これらと同じく3秒0〜3秒1くらいを稼ぐことができれば、今回は「37秒1台〜2台」で走れても不思議ではない計算になる。

 五輪を含む至近5大会の1〜4番目でフィニッシュしたチームのタイム(カッコ内は失格になったチームのタイム)は下記の通り。

<至近5大会の上位4位タイム>
 年     1位  2位  3位  4位
2007年    37.78 37.89 37.90 37.99
2008年 五輪 37.10 38.06 38.15 38.24
2009年    37.31 37.62 38.02 38.30
2011年    37.04 38.20 38.49 38.50
2012年 五輪 36.84 37.04(38.07)38.12
2013年    37.36 37.66(37.80)37.92
2015年    37.36(37.77)38.01 38.13
2016年 五輪 37.27 37.60(37.62)37.64

 このデータからすると、ジャマイカや米国に「36秒台」とか「37秒0台」で走られると厳しいが、13年以降の至近3大会のレベルであれば、日本チームの「金」も十分に「射程圏内」といえそうだ。

※記録情報は特に記載がない限り2017年7月31日判明分

(野口純正/国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)

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