データも後押しテイエムジンソクが最有力 中央唯一のD1700m重賞エルムSを徹底分析

JRA-VANデータラボ

年齢別成績

表5 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表5は年齢別成績。連対率および複勝率ベースで年齢が若いほど数字がいいという相関関係が綺麗に出ている。出走例はそれほど多くないが、3歳馬や4歳馬が出てきたら有力となりそうだ。5歳馬は最多の1着馬5頭を出しており、もちろんこちらも無視できない。6歳馬や7歳以上の馬にも好走例はあるものの、数字が落ちる。しっかりと絞り込むことが必要になるだろう。

前走着順別成績

表6 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表6は前走着順別成績。全体として前走着順がよかった馬ほど好走率が高い順当な傾向が出ており、基本的には前走着順がそのまま参考になる。前走6着以下から巻き返したのは3頭のみ。その内訳を確認すると、11年2着のオーロマイスターには10年のマイルCS南部杯、14年1着のローマンレジェンドには12年東京大賞典と、この2頭にはダートG1勝ちの実績があった。もう1頭は14年3着のインカンテーションで、この馬ものちにフェブラリーSで2着に入っている。エルムSで前走6着以下から巻き返せるのはG1級の馬のみと考えてもいいだろう。

前走クラス別成績

表7 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 表7は前走クラス別成績。なお、「G1」「G2」「G3」の重賞レースは中央のみが対象となり、交流重賞は「地方」に含まれる。

 好走例が10回と最多なのは前走オープン特別。ただし、好走率、回収率ともに数字はひと息で、絞り込みが欠かせない。そこで前走着順を確認すると、前走1〜3着が【4.1.4.15】なのに対し、前走4着以下は【0.1.0.24】となっている。表6の項で確認した傾向以上にクッキリと明暗が別れており、前走オープン特別出走馬は1〜3着だった馬を狙いたいところだ。4着以下から好走した唯一の馬は、前述したオーロマイスターだった。

 前走が中央重賞だった馬は、前走1〜5着なら【0.3.0.7】、前走6着以下なら【0.0.1.12】と、掲示板が分水嶺となっている。6着以下から好走した唯一の馬は、これも前述したインカンテーションである。一方、前走で地方交流重賞にしていた中央所属馬は総じて好成績で、前走着順を問わず該当馬がいれば狙ってみたいところ。前走が条件戦だった馬の出走例は少ないが、昨年は1600万下を勝ったばかりのリッカルドが7番人気1着と穴をあけており、これも該当馬がいれば侮れない。

ダート1700mの1着実績の有無

表8 【画像提供:JRA-VANデータラボ】

 エルムSは中央競馬で唯一のダート1700m重賞。そこで、過去にダート1700mで1着実績のある馬とない馬の成績を比較してみた。結果は表8の通りで、勝ち馬の延べ8頭のうち7頭はダート1700mの1着実績を持っていた。唯一の例外は12年のローマンレジェンドで、同馬は近7走で6勝2着1回および4連勝中と絶好調だった。このぐらいの勢いがあれば別だが、特に軸馬に関してはダート1700m1着実績を持つ馬を重視したほうが無難ではあるだろう。

結論

 まず、前走がオープン特別だった馬から見ていこう。この場合、表7の項で解説した通り、1〜3着に入っていることが重要だった。今年これを満たすのはテイエムジンソクのみ。前走4角1〜5番手という条件も満たしており、勝ち馬を多く出している5歳馬という点も好材料といえる。前走は逃げて圧勝するかたちになったが、2走前や3走前は先行抜け出しで快勝しており、先行する競馬も問題なくできる。有力な1頭といえそうだ。

 前走が地方交流重賞だった中央馬は、前走着順を問わず好成績を収めている。今年該当する4頭のうち、タマモホルンは前走まで地方所属で今回が中央再転入初戦。以前は未勝利のまま地方に転出しており、さすがに厳しいか。残る3頭は、岩手のマーキュリーCで2〜4着に入ったピオネロクリノスターオードリームキラリで、いずれも前走4角1〜5番手も満たしている。面白そうなのは5歳のドリームキラリで、昨年当コースで勝った実績も持っている。対して、エルムS2着2回があるクリノスターオーに適性面の問題はないだろうが、ピオネロにはダート1700mの1着実績がなく、気になるところではある。

 前走が中央重賞だったのはモンドクラッセ、ラインハート、ロンドンタウンと3頭いるが、いずれも6着以下で、G1実績も持たない。ならば、前走でダート1700mの1600万下を勝った4歳馬のコスモカナディアンの上昇度に期待してみる手はあるだろう。

出川塁(でがわ るい)
1977年熊本県生まれ。上智大学文学部卒業後、出版社2社で競馬専門誌、競馬書籍の編集に携わり、2007年からフリーライターに。「競馬最強の法則」「サラブレ」「優駿」などへ寄稿するほか、出版社勤務時代を含めて制作に関わった競馬書籍は多数。馬券は単勝派だが、焼肉はタン塩派というわけではない。メインの競馬のほか、サッカーでも密かに活動中。

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