大阪桐蔭、指揮官の選手起用に注目 第99回全国高校野球選手権見どころ

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天気予報が投手起用を悩ませる!?

エース吉川がほぼ1人で投げ抜き、夏初出場を掴み取った福井代表の坂井 【写真は共同】

 各校の勝ち上がりと選手の使い方を見ると、監督の特徴がはっきり見えてくる。

 今大会、1人の投手で勝ち上がったのが東筑(福岡)。2年生エースの石田旭昇投手は、5回戦の九産大九州戦での3安打完封から勢いに乗り、決勝ではセンバツに出場した福岡大大濠を破った。7試合61イニングを投げ、被安打41、奪三振35、与四死球13、失点12という数字を残しての甲子園だ。思い起こせば、センバツの福岡大大濠の三浦銀二投手(3年)も昨秋の公式戦を1人で投げ抜いて甲子園にやってきた。東海大福岡の安田大将投手(3年)もほとんどの試合を1人で投げている。今年の福岡は絶対的エースがほぼ1人で投げて甲子園に出場という傾向がはっきりと出た形だ。

 京都成章(京都)の北山亘基投手は全6試合に登板。チーム総投球回数51のうち、49イニングを投げ、球数は836。4回戦の同志社国際戦で2年生の北村和也投手が先発したものの、1回に3点を失い追いかける展開。起用法を見る限りこの試合ではできるだけ短いイニングで行きたかったのだろうが、3回から北山がマウンドに上がり、思わぬ形で早めの登板となってしまった。控え投手を使う際の勝負の難しさが窺える。

 初出場の坂井(福井)は、エースの吉川大翔投手(3年)が準決勝と決勝で連続完封。全5試合、42イニングを投げ、失点5という成績で甲子園にやってくる。ただ、全試合に登板記録がある吉川投手が唯一登板しなかった試合がある。それが準々決勝の武生戦での5回降雨ノーゲーム。この試合では帰山慎投手(2年)が先発し、嶋田勘人投手(2年)がリリーフしていた。勝ち上がる中でゲームプランが狂ってしまう原因の一つに降雨ノーゲームがある。台風が近づき、天気予報が気になる甲子園でも同じような理由で指揮官の苦悩が采配に出るかもしれない。

春とは違うエースで連続出場

 センバツに出場した前橋育英と神戸国際大付はエースが代わった状況で春夏連続出場を決めた。

 前橋育英の皆川喬涼投手(3年)は、最速149キロを計測するまでに成長。春のエースだった丸山和郁選手はセンターでスタメン出場し、リリーフ待機する理想の形が出来上がった。昨秋のエース・吉沢悠投手、193センチの長身右腕・根岸崇裕投手も控えており、投手層という点で今大会注目チームの一つとなる。

 神戸国際大付は、センバツのエースだった左腕・黒田倭人投手(3年)は春以降不調に苦しんだ。その間に台頭したのが右の岡野佑大投手(3年)。夏に初めて背番号「1」を背負うと、5試合37イニングで失点1と抜群の安定感を発揮。決勝では明石商を3安打完封し、エースの風格も出てきた。昨夏準優勝の北海との初戦が楽しみだ。

全員で優勝旗を返す夏連覇を狙う作新

 夏連覇を狙う作新学院。「添田を1人で優勝旗返還に行かせたくない」。センバツでの2回戦敗退後に選手たちから聞かれた言葉を胸に、栃木大会7連覇を果たした。

 エース左腕・大関秀太郎投手(3年)に加え、右の篠原聖弥投手(3年)が成長。決勝でも9回途中まで好投し、完全にダブルエースと言える状況になった。U−18日本代表候補の鈴木萌斗外野手は栃木大会で8盗塁。攻守に磨きをかけ、添田真聖主将(3年)が持つ優勝旗を先頭に全員で入場行進をする。

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