都市対抗を制したちびっ子打線の積極性 NTT東日本に36年ぶりの黒獅子旗

楊順行

監督もびっくりの火事場の馬鹿力

社会人3年目の若手・福田周が20打数11安打で橋戸賞と首位打者賞を獲得した 【写真は共同】

「ちびっ子打線ですから、受け身にならず仕掛け続けるだけなんです」とは、自ら小兵の外野手としてシドニー五輪を経験しているNTT・飯塚監督だ。なるほど、この日のスタメンに180センチ以上は3人いるが、1番・下川(174センチ)、2番・福田周(169センチ)、3番・宮内和也(170センチ)、4番・喜納淳弥(174センチ)と175センチに満たない。

 準決勝までの4試合、日通が4本のホームランを放っているのに対し、NTTは1本のみだ。それがこの日は、下川をはじめ4ホーマーと派手な空中戦。浮き足だったところもミスもありましたが、「普段打たない選手がいっぱい打った。火事場の馬鹿力を見せてもらいました」というのは、飯塚独特の言い回しだ。

今後1年間ユニホームの袖に黒獅子

スタンドをオレンジ色に染めた2万に及ぶNTT東日本の応援団 【写真は共同】

 NTT東日本、36年ぶり2回目の都市対抗制覇。当時は電電東京で、NTTとなってからは初めての優勝だ。決勝での登板はなかったが、3試合7回3分の1を投げて無失点と、安定した救援を見せた末永彰吾によると、「11年の準優勝は、投手陣が踏ん張った(4試合5失点)。今回は打線が取り返してくれるので、僕たちも余裕を持って投げられました」。

 この末永ら、決勝の大舞台を経験しているベテランと、橋戸賞(MVPに相当)と首位打者賞(20打数11安打、打率5割5分)をダブル受賞した福田周ら、若手の力が融合しての優勝。しみじみと、飯塚監督が言う。

「トヨタさんと対戦したとき、ユニホームの袖にある黒獅子のエンブレムを見て”いいなぁ”とうらやましかったんです。本当に、あれをつけられるんですね」

 黒獅子のエンブレム。たった1チームだけに与えられる、都市対抗優勝の証である。

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著者プロフィール

1960年、新潟県生まれ。82年、ベースボール・マガジン社に入社し、野球、相撲、バドミントン専門誌の編集に携わる。87年からフリーとして野球、サッカー、バレーボール、バドミントンなどの原稿を執筆。高校野球の春夏の甲子園取材は、2019年夏で57回を数える。

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