好発進の池江璃花子、課題の後半に手応え 「世界に通用するようなレースができた」

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大会1レース目から好記録

今大会1種目めの100メートルバタフライで決勝に進出した池江璃花子 【写真は共同】

 観客が一体となったカウントダウンで開幕した世界選手権(以下、世界水泳)の競泳種目。大会1種目めの女子100メートルバタフライ予選3組には、この日初めて地元ハンガリーからシラージ・リリアーナが出場し、たくさんの口笛と大声援で早くも最高潮の盛り上がりを見せる。池江璃花子(ルネサンス亀戸)の自身2度目となる世界水泳は、そんな中で始まった。

「『やばい、決勝に残らなきゃ』という焦りがあった」と話した池江だったが、その影響をまったく見せない大きな泳ぎで最初の50メートルを5番目でターン。後半も安定した泳ぎを見せ、57秒45の組2着、全体4位で準決勝進出を決めた。4月の日本選手権での優勝タイム(57秒39)に迫る好記録で予選を終え、「1本泳いでみたら次は落ち着いていけるなというイメージが湧いてきたので、準決勝は落ち着いてレースができると思います」と自信の表情を見せた。

 昨年のリオデジャネイロ五輪から今年序盤にかけて日本記録を連発していた池江だったが、以降は記録が伸び悩んでいた。4月の日本選手権、5月のジャパンオープンと続けて「自己ベスト更新」を目標に臨んだものの1種目も達成できず。自身が「世界でのメダルに一番近い」と話す得意の100メートルバタフライですら、納得の泳ぎができずにいた。それだけに、大会1レース目で好記録を出したことは、17歳の池江にとってはポジティブな点だった。

メダル獲得へ、修正すべきは「タッチとターン」

準決勝では課題だった後半にも手応え。レース後には笑顔ものぞかせた 【写真は共同】

 迎えた準決勝。予選後の言葉通り、池江は落ち着いた表情でスタートを切る。前半の50メートルを予選よりも0秒25速い、26秒77の4番目でターンすると、一気に追い上げ自身が持つ日本記録に0秒03まで迫る56秒89秒の組2着、全体4位で決勝進出を決めた。後半で巻き返すレース展開に、池江は手応えを口にした。

「今までは前半で(積極的に)いかなくても後半にバテるというのが多かったのですが、最近は前半を抑えて後半もしっかり上げられるような体力になってきた。うまく活用できているというか、世界に通用するようなレースができていると思います」

 続けて出場した4×100メートルフリーリレー決勝は7位に終わったが、すぐさま気持ちを翌日の100メートルバタフライ決勝に切り替えた。「タッチとターンがなかなか合っていなくて、それさえ合えば今日も自己ベスト(=日本新)が出ていたと思います。明日(25日、現地時間)の決勝はそういった細かいところも意識して臨みたい」と修正点も明確だ。

 大会2カ月前には、世界水泳でのメダル獲得のために「後半の持久力が足りない」と話していた池江。しかしこの日は「なぜか分からないですけれど体力が持っていて、すごく安心しています。会場の雰囲気だったり日本チーム一人一人の雰囲気だったりが自分のコンディションや気持ちを上げてくれたのかな」と笑顔ものぞかせた。

 期待を感じさせた初日の内容は、そのまま結果となって現れるだろうか。若きマルチスイマーの世界水泳は、まだまだ始まったばかりだ。

(取材・文:澤田和輝/スポーツナビ)
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