ギャラリーに『HIDEKI』と認められた松山 メジャー制覇へ好材料が見えた全英オープン
1番のティーショットでOBを打ったあと同組のブランデン・グレイスと一緒にあるく松山。表情はいつもと変わらない 【北村収】
海外男子ゴルフツアーの日本人メジャー初制覇が期待された2017年全英オープン最終日、松山英樹の1番ホールのティーショットはOBだった。
1番でトリプルをたたくも、2番以降はスコアを伸ばした
風雨が強かった2日目。天候の影響もあってか17番でダブルボギーをたたくなど出入りの激しいゴルフだった 【北村収】
最終日、トップと1打差でスタートした中嶋常幸は1番ホールでダブルボギーをたたいた。その後もズルズルとスコアを落とし、結局7つスコアを落とし、優勝戦線から脱落していったのだ。
話を今年の全英オープンに戻そう。ティーショットをOBとした1番をトリプルボギーとした松山。首位のジョーダン・スピース(米国)との差が広がり、優勝が遠のいた。
松山の心境を推し量ることはできないが、普通ならば落胆するところだろう。そしてかつての中嶋や他の日本人プロがそうだったように、大きくスコアを崩す展開も予想できた。しかし松山英樹は現世界ランキング2位。風が強まり、後半は雨も降る中で、2番ホール以降は3バーディ、2ボギーとした。
コンティションが厳しくなった最終日の上位スタートの選手の中には、スコアを落とす選手が続出したが、松山は1番を除けばスコアを伸ばす結果となったのだ。
ピンチでも動じず、精神力の強さは驚異的
キレのあるアイアンショットなどで世界のギャラリーを魅了 【北村収】
風雨が強かった2日目。天候の影響もあってか17番でダブルボギーをたたくなど出入りの激しいゴルフを展開した。ところがホールアウト後、「良い位置(順位)で終えることができて良かった」とコメント。終盤で大きなミスをするとホールアウト直後はその影響を引きずっている選手も少ないないが、松山は早くも切り替えができていた。
「バウンスバック」という言葉をご存知だろうか? ボギーかそれより悪いスコアのホールの直後で、バーディかそれより良いスコアを出す確率のことで、悪い流れから立ち直る率を表す。PGAツアーなどではバウンスバック率が採用されており、今シーズンはここまで29.76%のブルックス ケプカ(米国)が1位だ。今年の全英オープンの松山英樹は、ボギー以上が11で、直後のバーディが4。バウンスバック率は36.36%となる。1試合だけなので単純比較はできないが、メジャーにおいてのこの松山の数値は驚異的。いかに悪い流れから立ち直る精神力が強いかを表している。
キレのあるショットでギャラリーを魅了
4日間を通じて3パットがなかったことは好材料だ 【北村収】
3日目の松山のコメントだ。初日、2日目、3日目と日を経るにつれて地元のギャラリーからの声援が増えていった。「HIDEKI」と声をかけられるようになったのは、もちろんプレーが認められているから。キレのあるアイアンショットなどで松山は世界のギャラリーを魅了している。
もう1つ、今回の全英オープンで良かったことがあった。
それは4日間を通じて1度も3パットがなかったこと。今までのメジャーでは、肝心なところで3パットをしてしまい、好調の波に乗り損ねてしまうシーンを何度も見てきた。アイアンショットに関しては世界一との声も聞かれる松山だけに、パッティングの好調が持続できれば、次回のメジャーでも最後まで優勝への期待をもたせてくれそうだ。
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