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ギャラリーに『HIDEKI』と認められた松山
メジャー制覇へ好材料が見えた全英オープン
1番のティーショットでOBを打ったあと同組のブランデン・グレイスと一緒にあるく松山。表情はいつもと変わらない
1番のティーショットでOBを打ったあと同組のブランデン・グレイスと一緒にあるく松山。表情はいつもと変わらない【北村収】

 こんな出だしを誰が予想したのだろうか?


 海外男子ゴルフツアーの日本人メジャー初制覇が期待された2017年全英オープン最終日、松山英樹の1番ホールのティーショットはOBだった。

1番でトリプルをたたくも、2番以降はスコアを伸ばした

風雨が強かった2日目。天候の影響もあってか17番でダブルボギーをたたくなど出入りの激しいゴルフだった
風雨が強かった2日目。天候の影響もあってか17番でダブルボギーをたたくなど出入りの激しいゴルフだった【北村収】

 往年のゴルフファンの中には1986年の全英オープンを思い出した方がいるかもしれない。


 最終日、トップと1打差でスタートした中嶋常幸は1番ホールでダブルボギーをたたいた。その後もズルズルとスコアを落とし、結局7つスコアを落とし、優勝戦線から脱落していったのだ。


 話を今年の全英オープンに戻そう。ティーショットをOBとした1番をトリプルボギーとした松山。首位のジョーダン・スピース(米国)との差が広がり、優勝が遠のいた。


 松山の心境を推し量ることはできないが、普通ならば落胆するところだろう。そしてかつての中嶋や他の日本人プロがそうだったように、大きくスコアを崩す展開も予想できた。しかし松山英樹は現世界ランキング2位。風が強まり、後半は雨も降る中で、2番ホール以降は3バーディ、2ボギーとした。


 コンティションが厳しくなった最終日の上位スタートの選手の中には、スコアを落とす選手が続出したが、松山は1番を除けばスコアを伸ばす結果となったのだ。

ピンチでも動じず、精神力の強さは驚異的

キレのあるアイアンショットなどで世界のギャラリーを魅了
キレのあるアイアンショットなどで世界のギャラリーを魅了【北村収】

 1番でトリプルボギーをたたきながらも、その後の17ホールでスコアを伸ばした松山。この精神力の強さは4日間を通じて見ることができた。


 風雨が強かった2日目。天候の影響もあってか17番でダブルボギーをたたくなど出入りの激しいゴルフを展開した。ところがホールアウト後、「良い位置(順位)で終えることができて良かった」とコメント。終盤で大きなミスをするとホールアウト直後はその影響を引きずっている選手も少ないないが、松山は早くも切り替えができていた。


「バウンスバック」という言葉をご存知だろうか? ボギーかそれより悪いスコアのホールの直後で、バーディかそれより良いスコアを出す確率のことで、悪い流れから立ち直る率を表す。PGAツアーなどではバウンスバック率が採用されており、今シーズンはここまで29.76%のブルックス ケプカ(米国)が1位だ。今年の全英オープンの松山英樹は、ボギー以上が11で、直後のバーディが4。バウンスバック率は36.36%となる。1試合だけなので単純比較はできないが、メジャーにおいてのこの松山の数値は驚異的。いかに悪い流れから立ち直る精神力が強いかを表している。

キレのあるショットでギャラリーを魅了

4日間を通じて3パットがなかったことは好材料だ
4日間を通じて3パットがなかったことは好材料だ【北村収】

「今まであまり(地元のギャラリーから)『HIDEKI』と呼ばれていなかったのでビックリです」


 3日目の松山のコメントだ。初日、2日目、3日目と日を経るにつれて地元のギャラリーからの声援が増えていった。「HIDEKI」と声をかけられるようになったのは、もちろんプレーが認められているから。キレのあるアイアンショットなどで松山は世界のギャラリーを魅了している。


 もう1つ、今回の全英オープンで良かったことがあった。


 それは4日間を通じて1度も3パットがなかったこと。今までのメジャーでは、肝心なところで3パットをしてしまい、好調の波に乗り損ねてしまうシーンを何度も見てきた。アイアンショットに関しては世界一との声も聞かれる松山だけに、パッティングの好調が持続できれば、次回のメジャーでも最後まで優勝への期待をもたせてくれそうだ。

ナインバリューズ
「ゴルファーの笑顔を増やす」をミッションに、ゴルフ雑誌、ゴルフ関連Webサイトなどにおける取材・編集・執筆業務のほか、ゴルフ関連企業・団体のWeb及びソーシャルメディア戦略構築における総合コンサルティング業務及び企画・運営業務を行う