ソフトバンク優勝のカギは勝利の方程式 鷹詞2017〜たかことば〜

田尻耕太郎

登板過多になりつつある2人

先発ローテに定着しつつある石川。ただ、最速155キロのストレートと9月の日程を考慮すると、中継ぎ再転向も面白い!? 【写真は共同】

 彼らがシーズンを通して変わらぬ活躍が出来るか。

 ブルペンを担当する高村祐1軍投手コーチは「彼らはリリーフとして活躍した実績もある。調整法はしっかり理解している」と信頼を寄せる。

 岩嵜は今年1月の自主トレで、これまでの個人トレーナーだけでなく鍼灸師や理学療法士らとも契約して「チーム岩嵜」を結成。シーズン中もヤフオクドームに向かう前に立ち寄るなどして、常にベストコンディションを維持できるよう努めている。また、シーズン前半は意識的にトレーニングも増やした。「後半に向けた貯金を作る」意味があると話した。

 森も“親友”サファテとともにハードなトレーニングを継続して行っている。遠征先では午前中にサファテが森を誘ってジムに通うのだという。

 準備にぬかりはない。だが、不安がないといえばそれは嘘だ。

 両投手とも明らかに登板過多だ。工藤監督はリリーフ投手について「シーズン60試合を超えないのが適当」と話す。しかし、岩嵜は73試合ペース、森は68試合ペースで投げている。岩嵜はキャリア最多が2013年の47試合。まもなく未知の領域へと突入する。森は昨年まで入団から3年連続で50試合以上に登板してきた鉄腕だが、成績は下降傾向にある。今後、たまっていた疲れがいつ爆発するか分からない。

9月の切り札として石川の転向は!?

 万が一を考えた場合、替わる存在はいるのか。

 切り札として挙げるならば、現在先発ローテに定着している石川柊太か。育成出身で今季が1軍デビューながら、23試合に登板して4勝2敗、防御率1.99の安定感を誇る。23登板中17試合は中継ぎだ。最速155キロにパワーカーブやスライダーなどで、奪三振率9.66をマークしているのも魅力。ソフトバンクは9月の日程が非常に緩やかで、最大4連戦が一度のみ。先発の頭数は揃うため、石川がジョーカーとなるのも面白いのではなかろうか。

 一方、首位を走る楽天にしても、快進撃を支えるのは福山博之とハーマン、そして松井裕樹という7回以降の投手によるところが大きい。福山は20日の日本ハム戦で防御率0.00の記録が登板37試合目で止まってしまったが、責めるものは誰もいないはずだ。ハーマンも防御率1.87。松井に至っては驚異の0.21だ。

 おそらくシーズンの最終盤までもつれるパ・リーグ優勝争い。勝利の方程式がその行方を占うことになるだろう。

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著者プロフィール

 1978年8月18日生まれ。熊本県出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。2002年卒業と同時に、オフィシャル球団誌『月刊ホークス』の編集記者に。2004年8月独立。その後もホークスを中心に九州・福岡を拠点に活動し、『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)『週刊現代』(講談社)『スポルティーバ』(集英社)などのメディア媒体に寄稿するほか、福岡ソフトバンクホークス・オフィシャルメディアともライター契約している。2011年に川崎宗則選手のホークス時代の軌跡をつづった『チェ スト〜Kawasaki Style Best』を出版。また、毎年1月には多くのプロ野球選手、ソフトボールの上野由岐子投手、格闘家、ゴルファーらが参加する自主トレのサポートをライフワークで行っている。

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