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ソフトバンク優勝のカギは勝利の方程式
鷹詞2017〜たかことば〜

工藤監督の信頼十分のサファテ

外国人初となる通算200セーブを挙げたサファテ。工藤監督も100%の信頼を寄せる
外国人初となる通算200セーブを挙げたサファテ。工藤監督も100%の信頼を寄せる【写真は共同】

 かなり大胆な采配だった。7月18日の埼玉西武ライオンズ戦(ヤフオクドーム)の8回裏だ。このイニングだけで工藤公康監督は何度も、ダグアウトと主審のあいだを行き来した。3番の柳田悠岐、4番の内川聖一、5番のデスパイネの中軸3人に立て続けに代走を送ったのだ。


 だが、この時点のスコアは3対1。リードは2点だけ。まだ何が起きるか分からないのが野球だ。それでも、まんまと逃げ切りに成功した。試合後、工藤監督は自信満々に言ってのけた。


「次(9回)はサファテなので、まったく先のことは考えていなかった。100%の信頼を寄せているピッチャーなので」


 このタクトの是非はともかく、福岡ソフトバンクの誇る絶対的守護神は期待に応えて無失点の好リリーフだった。これで今季29セーブ目をマーク。3年連続セーブ王へ、東北楽天の松井裕樹とし烈なタイトル争いを繰り広げている。

サファテが期待を込める岩嵜と森

 外国人投手として初の通算200セーブを達成(7月5日、オリックス戦)したサファテは、日頃からこんなことを言っている。


「彼らはクローザーをやれる力を十分に持っている。若い選手がいつか僕を追い越す日が来てほしいと思っているし、追い越さなきゃいけない」


“彼ら”とは岩嵜翔と森唯斗。今年のソフトバンクは7回に森、8回に岩嵜、そして9回にサファテが必勝のパターンだ。


 投手分業制の現代野球において、長いペナントレースの浮沈に最も影響を与えるポジションは「勝利の方程式」だと言い切ってもいい。


 工藤監督も彼ら3人を含めたリリーフ陣は、今季ここまでのMVP級の働きだと高く評価している。7月20日時点で、岩嵜は両リーグ最多タイの44試合に登板。5勝2敗21ホールド1セーブ、防御率1.59の成績だ。森はパ・リーグ2位タイの41試合に投げており、1勝2敗20ホールド、防御率2.36だ。

V逸の一つの要因は中継ぎ陣

 じつは、今年のソフトバンクはセットアッパーの部門で苦戦を強いられると予測されていた。昨季入団し最速161キロもマークしたスアレスが、3月にベネズエラ代表として参加していたワールド・ベースボール・クラシック(WBC)期間中に右ひじを負傷。一旦は右腕肉離れでシーズン中の復帰も見込まれたが、その後の検査で手術が必要だと診断されて4月に右ひじ内側側副靭帯の再建術(いわゆる「トミー・ジョン」手術)を受け、今季絶望となった。


 先ほど、勝利の方程式の出来がシーズンの順位に大きく影響を与えると記したが、昨年のソフトバンクが最大11.5差をひっくり返される歴史的V逸を喫した一つの要因はリリーフ陣にあったと考えている。


 昨シーズンのソフトバンク救援陣の防御率は2.98だった。対して逆転優勝を果たした北海道日本ハムは2.67だった。わずかの差に思えるが、ソフトバンクの数字から守護神サファテを除くとどうなるか。


 すると防御率3.20まで急落するのだ。特に昨シーズンは勝負所の8月に救援防御率が3.97と振るわなかったのが痛かった。要するに、今後ソフトバンクが楽天とのマッチレースを制するキーマンとなるのは岩嵜と森の2人となるわけである。

田尻耕太郎
田尻耕太郎

 1978年8月18日生まれ。熊本県出身。法政大学在学時に「スポーツ法政新聞」に所属しマスコミの世界を志す。2002年卒業と同時に、オフィシャル球団誌『月刊ホークス』の編集記者に。2004年8月独立。その後もホークスを中心に九州・福岡を拠点に活動し、『週刊ベースボール』(ベースボールマガジン社)『週刊現代』(講談社)『スポルティーバ』(集英社)などのメディア媒体に寄稿するほか、福岡ソフトバンクホークス・オフィシャルメディアともライター契約している。2011年に川崎宗則選手のホークス時代の軌跡をつづった『チェ スト〜Kawasaki Style Best』を出版。また、毎年1月には多くのプロ野球選手、ソフトボールの上野由岐子投手、格闘家、ゴルファーらが参加する自主トレのサポートをライフワークで行っている。

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