内藤哲也「一番の消化試合」飯伏に白星 新日本真夏の祭典「G1クライマックス」開幕

高木裕美

ドームメインへの「通行手形」賭けた戦い

新日本プロレス真夏の祭典「G1 CLIMAX 27」が開幕! 札幌での開幕戦のメインを飾ったのは、飯伏幸太をし止めた内藤哲也だ 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 新日本プロレスの真夏の祭典「G1 CLIMAX 27」が17日、北海道・北海道立総合体育センター 北海きたえーる大会にて開幕。最終戦となる8.13東京・両国国技館大会まで、28日間に渡り、全国各地で全19大会が行われる。

 今年は全20選手がA、Bの2ブロックに分かれ、総当たりリーグ戦で対戦。各ブロックの1位同士が8.13両国の優勝決定戦で激突し、優勝者は来年1.4東京ドーム大会のメインイベントでIWGPヘビー級王座へ挑戦できる権利証を獲得する。

 だが、ドーム大会までには、その「通行手形」を狙う者たちの挑戦を受け続けなければならず、タイトルマッチ同様、権利証争奪戦が組まれることになる。現在、新日本マットには、ヘビー級&無差別級のシングル王座だけで4つ存在しているが、「ドームのメイン」が確約されているという意味では、IGWPヘビー級の次に価値があるタイトル、といえるかもしれない。

 挑戦権利証以上に魅力的なのが、「夏男」の称号だ。

 約1カ月に渡る激闘のドラマはファンの胸に熱く刻まれ、勝ち抜いた者は真夏の英雄として、現役のチャンピオン以上に支持を集める存在となる。勝者は一気に時代の寵児としてブレークする一方で、あと一歩及ばなかった準優勝者には何も残らない。トーナメント形式で争われる春の祭典「NEW JAPAN CUP」よりもシビアな結果が待っているのが、真夏の最強決定戦だ。

内藤が同い年のライバル・飯伏に勝利

禁断技スワンダイブ式ジャーマンスープレックスを繰り出す飯伏 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 開幕戦の札幌では、満員となる6189人を動員。Aブロック公式戦5試合が行われ、早くも明暗が分かれた。

 メインイベントでは、内藤哲也が飯伏幸太との同い年(1982年生まれ)ライバル対決を制し、13年以来4年ぶり2度目の優勝へスタートダッシュを切った。

 昨年は「ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン」旋風を巻き起こしながらも、公式戦でケニー・オメガに敗れ、決勝進出を逃した内藤。IWGPヘビー級王座挑戦を逃し、新たにIWGPインターコンチネンタル王座を戴冠した結果、ベルトを投げ捨て、破壊し、“制御不能”ぶりがエスカレートしていった。

 それでもなお人気は衰えず、昨年はプロレス大賞MVPを獲得し、今年開催されたスポーツ雑誌『Number』の「プロレス総選挙2017」でもブッチギリの1位に君臨。ICベルトを失った今、内藤へのIWGP返り咲き待望論は沸騰寸前だ。
 一方、飯伏はDDTプロレスリングの所属選手として09年に初参戦した時から人気を集め、13年10月からは新日本とDDTプロレスリングの2団体所属として活躍するも、昨年2月に両団体を退団。飯伏プロレス研究所を立ち上げ、世界最大のプロレス団体WWEから“どインディー団体”まで、振り幅広く活動してきた。

 新日本マットには退団以来、約1年半ぶりの参戦となったが、待ち望んでいたファンからは大歓声が発生。とはいえ、新日本マット不在の間に、内藤、そしてDDT時代は「ゴールデン☆ラヴァーズ」としてタッグパートナーであったオメガには、大きく水を開けられてしまった。

最後はデスティーノの2連発で3カウントを奪った 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 入場時から気合十分の飯伏に対し、内藤はゆっくりとスーツを脱ぎ、マットに寝そべるなど、“トランキーロ”モード。飯伏は序盤からフランケンシュタイナー、バミューダトライアングルなどの大技を繰り出すと、内藤の投げっぱなしジャーマンスープレックス、グロリア、雪崩式リバースフランケンシュタイナーで狂気が覚醒したのか、デスティーノをキャッチしてヤリ投げを敢行。さらに、15年1.4東京ドームでの中邑真輔戦で見せた禁断技スワンダイブ式ジャーマンスープレックスも繰り出すが、カウントは2。さらに、セカンドロープからの雪崩式パイルドライバーもしのいだ内藤が、デスティーノ2連発で振り切った。

札幌の観客と共に「デ・ハポン!」の大合唱で締めた内藤 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 札幌の観客と共に「デ・ハポン!」の大合唱で締めた内藤は、「初戦に勝った。飯伏に勝った。だから何? オレは優勝したくてエントリーした」と、最大のヤマ場ともいえる飯伏戦を「一番の消化試合」と言い切った上で、「次は21日のメインでYOSHI-HASHI。次は後楽園で思い切り大合唱しましょう」と、早くも2連勝を確信した。

 内藤にとって、最初のヤマ場が飯伏戦であるなら、最後のヤマ場が最終戦の棚橋弘至戦。だが、内藤が必勝予告したYOSHI-HASHIも開幕戦で白星スタートを切っており、余裕を持ちすぎると、思わぬところで足元をすくわれるかもしれない。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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