プロ野球後半戦に主役の座を狙う新星たち 予想を上回る飛躍を遂げた選手とは!?

ベースボール・タイムズ

リーグ3位のQSで先発3本柱に

かつては日本シリーズMVPを獲得したこともある楽天・美馬。今季は安定感を増して、則本、岸に続く先発3本柱の1人に定着した 【写真は共同】

 パ・リーグの投手陣では、激しい首位争いを繰り広げる2強から、美馬学(東北楽天)、東浜巨(福岡ソフトバンク)の2人を挙げたい。

 中央大、社会人・東京ガスを経て今季がプロ7年目となる美馬は、昨季までの6年間で通算30勝(41敗、防御率3.84)を挙げ、13年の日本シリーズでは2試合に先発して2勝を挙げてシリーズMVPに選出されるなどの実績を持った右腕だが、30歳で迎えた今季はその過去が霞むような働きを披露。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場した則本昂大、インフルエンザにかかった岸孝之の代役として自身初の開幕投手を務めると、リーグ3位となるQS率80%の安定感で前半戦15試合に先発して7勝2敗、防御率2.46の好成績をマーク。それまでの「ローテの中の1人」という存在から「先発3本柱の1人」に格を上げた。

 大卒5年目の東浜も奮闘を続けた。沖縄尚学高のエースとして3年春に全国制覇。かつては「大成しない」と言われた甲子園優勝投手だが、亜細亜大を経てプロ4年目の昨季に9勝(6敗)、防御率3.00と結果を残すと、今季は和田毅、武田翔太の2人が離脱する中でひと皮むけた投球を披露して、前半戦14試合に先発して8勝(3敗)、防御率2.48ともにチームトップの数字を残した。

 ともに自身初の2ケタ勝利は目前。首位争いの重圧の中で、どのようなピッチングができるのか。真価が問われる後半戦になる。

高卒4年目の主軸候補がパワーアップ

将来の主軸候補として期待されていたソフトバンク上林が今季、その才能を発揮しつつある。今後、マークがより厳しくなっていくことが予想されるが、その壁を突き破ることができるか!? 【写真は共同】

 パ・リーグの野手陣では、高卒4年目の上林誠知(ソフトバンク)が爆発を見せた。ファームで実績を残して将来の主軸候補として期待されていた逸材だが、今季は激しいライバル争いの中でパワーアップに成功。「9番・ライト」で開幕スタメンを勝ち取ると、5月2日、3日の西武戦(ヤフオクドーム)の2試合で計3本塁打&2日連続の5打点の大暴れ。5月に月間3割5分5厘の高打率を残して一気にブレイクを果たした。

 もう1人、高卒6年目の松本剛(日本ハム)も大きく成長した。帝京高時代は大型内野手として注目されて2011年ドラフト2位でプロ入り。昨季までの5年間では1軍出場25試合のみだったが、今季は4月23日の西武戦に「2番・ライト」で初先発して2安打を放つと、同25日のソフトバンク戦では2本塁打4打点と爆発。その後、代打や代走、守備固めでの起用を経て交流戦で再びチャンスをつかむと、快音を連発させて交流戦で全体の2位となる打率3割9分6厘をマークした。チームは下位に低迷し、打率4割台をキープしていた近藤健介が離脱した中で懸命のアピールを続けている。

 課題は、厳しくなったマークの中でもう一段階上のバッティングを見せられるか。月間打率を見ると、上林は6月が打率2割3分9厘、7月も打率2割3分1厘と下降線。松本も6月の打率3割3分8厘から7月は打率2割5分と苦戦中だ。この壁を突き破って初めて一流選手の仲間入りができる。後半戦に主役となる選手は誰か。昨季大ブレイクした鈴木誠也(広島)は今季、さらに進化した姿を見せている。今季前半戦でブレイクした彼らの今後が、何よりも重要になる。

(三和直樹/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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