プロ野球後半戦に主役の座を狙う新星たち 予想を上回る飛躍を遂げた選手とは!?

ベースボール・タイムズ

テイクバックの小さい独特のフォームを武器にする広島・薮田。今季8勝を挙げ、“ポスト・黒田”に名乗りを上げた 【写真は共同】

 ペナントレースもいよいよ後半戦に突入。残り約3カ月の熾烈な戦いに期待と注目が高まるが、その再スタートを前に、今季前半戦で飛躍を遂げ、予想を上回る活躍を見せた選手、新たにスターダムにのし上がった選手、主役の座を狙うプロ2年目以降の「ブレイク選手」をセ・パ投打別に紹介したい。

ポスト・黒田に名乗りを上げた右腕

 まずはセ・リーグの投手陣。最初に語るべきは、プロ3年目の右腕・薮田和樹(広島)だろう。高校、大学とほぼ無名ながら、テイクバックの小さい独特のフォームから繰り出される最速153キロのストレートを買われて2014年ドラフト2位で入団。2年間は計22試合で4勝3敗、防御率4.02とくすぶっていたが、今季は開幕から中継ぎで奮闘を続けると、5月30日の埼玉西武戦(メットライフ)で今季初先発のマウンドに上って6回5安打無失点の好投を披露。その後もスターターとして好投を続け、先発5試合で5勝0敗、防御率1.64の好成績を残した。救援での3勝と合わせた計8勝はリーグ2位タイ。“ポスト・黒田”の候補が乱立する首位チームの勝ち頭となっている。

 想定以上という意味では、秋山拓巳(阪神)が当てはまる。高卒1年目の2010年の夏以降に7試合に先発して4勝(3敗、防御率3.35)を挙げて次代のエース候補として期待されたが、以降の6年間で26試合に登板して2勝8敗、防御率5.61と伸び悩んだ。しかし、今季は開幕ローテを勝ち取って安定したピッチングを続けて再浮上。5月16日の中日戦(甲子園)では9回6安打1失点、12奪三振で自身プロ1年目以来の完投勝利をマークするなど、前半戦14試合に先発して7勝(4敗、防御率3.44)を挙げ、自身初の2ケタ勝利も手の届くところにある。

 ともに初の球宴出場も果たした。ダメージが蓄積される夏場以降、どこまで成績を伸ばせるか。1年間を通して安定した数字を残すことが、次へのステップとなる。

ラミレス監督の秘蔵っ子が打率トップ

打率3割4分9厘とリーグトップで前半戦を終えたDeNA宮崎。ラミレス監督の信頼に応える活躍を見せている 【写真は共同】

 セ・リーグの野手陣では、前半戦を首位打者で終えた宮崎敏郎(横浜DeNA)の躍進ぶりが目立つ。日本文理大、社会人セガサミーを経て2012年ドラフト6位でプロ入りした88年生まれの28歳。昨季101試合に出場してラミレス監督の信頼を徐々に勝ち取ると、5年目の今季は4月の負傷離脱から5月3日に1軍復帰。翌4日からは不動の「5番・サード」として打撃開眼。類まれなミート力を武器に右に左にヒットを放ち続け、6月11日に打率3割2分7厘で規定打席に到達。その後も勢いを増し、前半戦を終えた時点でリーグトップの打率3割4分9厘のほか、7本塁打、36打点と充実の日々を過ごしている。

 89年生まれの28歳、安部友裕(広島)も日の目を見るまでに時間を要した。2007年高校生ドラフト1位として入団して今季が10年目。昨季115試合に出場(スタメン60試合)して打率2割8分2厘、6本塁打、33打点と飛躍への足掛かりをつかむと、今季は一時打率トップに立つなど打撃好調で、前半戦76試合に出場(スタメン60試合)して打率3割7厘、1本塁打、28打点、10盗塁をマーク。サードの定位置を完全確保している。

 ともに大器晩成型。同世代のライバルたちに後れこそ取ったが、今季の活躍で知名度は飛躍的にアップしている。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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