玄人好みの選手選考で真剣勝負に期待 MLBオールスター見どころ

AKI猪瀬
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提供:スポナビライブ

2017年オールスターファン投票で最多得票を獲得したナショナルズのブライス・ハーパー 【写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ】

 7月11日(現地時間)に世界的観光都市マイアミで初開催される今年のMLBオールスターゲーム。驚異的なペースで本塁打を量産しているニューヨーク・ヤンキースの新人アーロン・ジャッジと、同じくロサンゼルス・ドジャースの新人コディ・ベリンジャーが、ともに初選出となり注目を集めている。今回は『スポナビライブ』で初めて視聴するファンの方に“ミッドサマー・クラシック”と称されるオールスターゲームについて説明しよう。

第1回開催のきっかけは実は…

 1933年5月に開催されたシカゴ万国博覧会。その万博に花を添えるスポーツイベント開催を模索していたのが、地元シカゴの大手新聞社『シカゴ・トリビューン』紙の編集者アーチ・ウォード氏だった。そのウォード氏の元に少年ファンから一通の手紙が届いた。キャリアの晩年を過ごしていたとはいえ、当時、絶大なる人気を誇っていたヤンキースの主砲ベーブ・ルースとニューヨーク・ジャイアンツの左腕エースとして全盛期を迎えていたカール・ハッベルとの対決が見たい、と。

 交流戦など存在しない時代。ナ・リーグとア・リーグのスーパースターの対決は、ワールドシリーズに限定されていた。少年の思いは、33年7月6日に第1回オールスターゲームとして現実のものとなる。後日談として、少年の手紙は存在していない説が有力となり、少年の思いはウォードの創作であることが濃厚となっているが、全米の多くの野球ファンは、「良い嘘であり、良い作り話」として、願望も込めて信じられてきた。

 シカゴ・ホワイトソックスの本拠地であるコミスキー・パークで開催された第1回は、4万7595人の観衆が詰め掛け、3回にベーブ・ルースがツーランホームランを記録する活躍を見せるなどして、ア・リーグが4対2でナ・リーグを下した。大盛況で幕を閉じた第1回を受けて、翌34年から夏の風物詩として、毎年開催される恒例のイベントになった。

開催地にとっては30年に1度の大イベント

 現在では、開催日は7月の第二火曜日となり、会場は基本的に30チームの持ち回り。ただし近年では、新球場での開催が優先されている。そして、試合数は1試合のみ(59年から62年までは2試合ずつ行なわれていた)。

 選手の選出方法は、投手以外の選手をファン投票で選び、各ポジションで得票数1位の選手が、栄えあるスタメン出場を果たす。投手とその他の野手は、選手間投票や監督推薦で決定する。試合は、レギュラーシーズン同様に原則として、勝ち負けが決するまで行なう。2002年にミルウォーキーで行なわれた第73回オールスターゲームでは、延長11回引き分けの裁定を、当時のバド・セリグ・コミッショナーが下した事に対して、ファンは激怒。それを契機にオールスターの開催意義の再構築が行なわれ、翌03年からは、勝ったリーグにワールドシリーズのホームフィールド・アドバンテージが与えられる事になった。

 30チーム持ち回り開催のため、地元でのオールスターゲームは、基本的に30年に一回の大イベントになる。開催地では、試合当日の前後1週間は「オールスターウィーク」となり、大型のコンベンションセンターで行なわれる「ファンフェスタ」など、さまざまなイベントが用意されている。「ファンフェスタ」とは、ファン参加型のアトラクションや元メジャーリーガーによるサイン会、オールスターの関連グッズの販売、スター選手のサイン入りボールやサイン入りバット、実際に使用されたユニホームなどの超レアアイテムの販売など、野球ファンならずとも一日中楽しめるイベントだ。

 その他に「オールスターウィーク」では、セレブリティーによるソフトボール大会や、将来のスター候補生であるマイナー選手を一堂に集めて行なわれる「フューチャーゲーム」、前日には恒例の「ホームランダービー」も開催される。

今回は実力重視のファン投票

 今年、全体の最多得票数を獲得したのは、463万306票を集めたナショナルズのブライス・ハーパー。そして、ア・リーグ最多得票選手は、448万8702票のジャッジとなった。例年に比べて、シーズン成績に重点を置いて投票が行なわれた印象が強い。その結果、両リーグ通じて7選手が初選出初スタメンの栄誉を手にしている。

 31歳で初選出初スタメンに選ばれたシンシナティ・レッズのザック・コザートは、「最高の前半戦を過ごしているので、もしかするとオールスター選出のチャンスがあるかと思っていたが、まさかファン投票1位になるとは想像もしていなかった。人気よりも成績を見てくれたファンに感謝したい」と語り、クリーブランド・インディンズのホセ・ラミレス、トロント・ブルージェイズのジャスティン・スモーク、タンパベイ・レイズのコリー・ディカーソンらも、同様のコメントをしていた。

 まさに今年のファン投票は、米国の野球ファンの良心と野球に対する造詣の深さを再認識させられる結果となった。実力重視のロースター構成になっているために、玄人好みの「真剣勝負」を期待したい。

 名優たちが一同に会して行なわれる“ミッドサマー・クラシック”。果して今年は、荘厳な大河ドラマになるのか、それともB級コメディーに終わるのか。そして、誰が主演男優賞の座を手にするのか。その結末は、ぜひ『スポナビライブ』で見届けて下さい。
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日本時間7月11日(火)8:58〜 ホームラン競争
日本時間7月12日(水)8:30〜 オールスターゲーム
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著者プロフィール

MLBジャーナリスト。1970年4月7日生まれ。流暢な英語を交えた独自の実況スタイルは野球関係者の間でも定評があり、MLB中継の実況・解説は年間100試合にもおよぶ。『J SPORTS』や『フジテレビ』などでの実況・解説をはじめ、東京中日スポーツでのコラム「MLBへの扉」の執筆など、テレビ、新聞、雑誌といった各種メディアで活躍中。また、MLBジャパンのアンバサダー(親善大使)を務めるなど、日本におけるMLBの普及活動も精力的に行っている

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