今季も外国人キングが誕生!? 注目のセ・パ本塁打王争いの行方

ベースボール・タイムズ

和製大砲減少の流れ

6月23日には3打席連続で本塁打を放ち、初の本塁打王に期待がかかる柳田 【写真は共同】

 過去を振り返ると、かつてセ・リーグでは王貞治(巨人)が13年連続(1962年〜74年)、パ・リーグでは野村克也(南海)が7年連続(62年〜68年)で本塁打王に輝いたという時代もあった。だが、80年代以降では1年ないし2年サイクルで“キング”が入れ替わり、3年連続はデストラーデ(西武、90年〜92年)とバレンティン(東京ヤクルト、2011年〜13年)の2人のみという“乱世”が続いている。

 その中で注目したのが、日本人と外国人の本塁打王の数。同数1位も含めて両勢力の回数を比較すると、80年代はセ・リーグ(日本人7回、外国人5回)、パ・リーグ(日本人7回、外国人4回)と両リーグともに日本人優勢だったが、90年代はセ・リーグ(日本人7回、外国人3回)に対し、パ・リーグ(日本人1回、外国人9回)に助っ人砲の波が訪れた。

 その後、中村剛也(埼玉西武)の存在もあり、パ・リーグでは00年以降は日本人打者が盛り返した(日本人12回、外国人7回)が、セ・リーグでは00年以降にペタジーニ(ヤクルト)、ウッズ(横浜)、ラミレス(ヤクルト&巨人)、ブランコ(中日)、そしてバレンティン、エルドレッドと外国人キングが次々と誕生(日本人7回、外国人12回)。助っ人砲の爆発と同時に、和製大砲の減少も目立つようになった。

両リーグ助っ人キングを防げるか

 助っ人砲の隆盛と和製大砲の減少。その流れの中でも、近年は前述した中村とともに15年の山田哲人(ヤクルト)、16年の筒香嘉智(DeNA)と日本人キングが誕生していたが、今季はセ・リーグでは山田、筒香、パ・リーグでも中村、中田翔(日本ハム)といった面々が開幕から大きく出遅れ、現時点でトップ5以内にその名はない。

 代わりに柳田とT−岡田が“奮発”しているが、仮に今季、両リーグともに外国人のみのキング誕生となれば、13年(セがバレンティン、パがアブレイユ)以来4年ぶり。00年代に入ってからを見ても、01年(セがペタジーニ、パがローズ)、03年(セがラミレスとウッズ、パがローズ)と合わせて18年間で4度目のことで、そうなれば日本人としては寂しい。「和製キング」を、やはり期待したい。

 トリプルスリー男の柳田が、本塁打王としても名乗りを上げるか。それともT−岡田が10年以来7年ぶりのキング復活となるのか。もしくは赤ヘルの新4番・鈴木が“神”から“王”へと覚醒するか。現在10本塁打の筒香、山田の巻き返しも、決して不可能ではない。日本男児の底力を見せてもらいたい。

(三和直樹/ベースボール・タイムズ)

2/2ページ

著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント