桐生らが日本一と世界陸上内定に挑む! 陸上日本選手権 大会展望【トラック編】

日本陸上競技連盟

女子長距離は大激戦必死 男子は大迫らの標準突破に期待

激戦必死となる女子長距離種目の中で、日本エースに成長した鈴木(左)がどんな走りを見せるか 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 男子800メートルは、川元奨(スズキ浜松AC)が、自身の持つ日本記録(1分45秒75)更新も視野に入れつつ、1分45秒90の標準記録突破を狙う。これが達成できれば、大会5連覇も濃厚だろう。女子では、今季、日本歴代4位の2分02秒52まで記録を更新している北村夢(日本体育大)の走りに注目したい。

 ロンドン行きの切符を巡って大激戦が見込まれるのが女子長距離。5000メートルでは3人、10000メートルに至っては16名が標準記録(5000メートル:15分22秒00、10000メートル:32分15秒00)を突破している。

 両種目で代表入りを狙っているのが今や日本のエースに成長した鈴木亜由子(日本郵政グループ)。2月に腰を痛めたが、5月に米国で31分41秒74をマークするなど復調の兆しを見せている。10000メートルでは、リオ五輪代表で今季31分33秒33の自己記録をマークしている高島由香(資生堂)、同じくリオ五輪代表の関根花観(日本郵政グループ)のほか、リオ五輪5000メートルファイナリストで今季は10000メートルで世界選手権出場を目指す上原美幸(第一生命グループ)らと競うことになりそう。

 また、5000メートルでは、5連覇を目指す尾西美咲(積水化学)、5月に米国で15分19秒91をマークしている松崎璃子(積水化学)あたりが中心となってレースを展開していくことになるだろう。

 一方、男子長距離は、標準記録突破者が10000メートルの村山紘太(旭化成、27分44秒39)のみと、女子に比べて寂しい状況。しかし、10000メートル日本記録保持者(27分29秒69)でもある村山以外に、5000、10000メートル両種目で日本歴代2位の自己記録(13分12秒63、27分29秒74)を持つ鎧坂哲哉(旭化成)、5000メートル日本記録保持者(13分08秒40)で前回5000、10000メートルで2冠を獲得している大迫傑(Nike ORPJT)ほか多士済々の顔触れが並ぶ。両種目ともにスピード感あふれる勝負を期待したい。

ハードル種目は日本記録誕生にも期待

男子110mハードルで参加標準を突破している大室秀樹。優勝を手にし、世界への切符を決められるか 【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 男子110メートルハードルと女子100メートルハードルは、標準記録突破だけでなく、日本記録誕生も期待できる種目だ。

 男子110メートルハードルでは、大室秀樹(大塚製薬)の高いレベルでの安定感が光る。4月に日本歴代4位で標準記録でもある13秒48の自己新を2レース連続で叩き出すと、その後も、追い風向かい風に関係なく複数のレースで13秒5台をマーク。13秒39の日本記録更新が現実味を帯びてきた。このほか関西実業団で13秒53をマークした高山峻野(ゼンリン)、布勢スプリントで追い風参考(+3.2)ながら13秒43で走っている増野元太(ヤマダ電機)ら若手も元気。今季やや出遅れ気味ながら徐々に調子を上げてきている前回覇者でリオ五輪代表の矢澤航(デサントTC)も含めて、スリリングな上位争いが繰り広げられそうだ。

 女子100メートルハードルは、木村文子(エディオン)が13秒00の日本記録更新に挑む。ゴールデングランプリで13秒10のシーズンベスト、布勢スプリントでは追い風参考(+3.7)ながら12秒99をマークした。この波に乗って、12秒98の標準記録を突破したい。

 男子400メートルハードルは、標準記録(49秒35)突破者こそ安部孝駿(デサントTC、49秒20)のみにとどまっているが、岸本鷹幸(富士通)、松下祐樹(ミズノ)、小西勇太(住友電工)、鍛治木崚(城西大)が49秒6〜7台で走っており、標準記録を射程圏内に捉えている。足部の故障で春の国内大会を欠場した野澤啓佑(ミズノ)の回復が間に合えばレベルはさらに高まるだろう。

(文:児玉育美/JAAFメディアチーム)

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