桐生らが日本一と世界陸上内定に挑む!
陸上日本選手権 大会展望【トラック編】

20年東京五輪へ新たな体制を採用

今夏に開催される世界陸上の代表選考会を兼ねた日本選手権が間もなく開幕。今回はトラック競技の見どころを紹介する
今夏に開催される世界陸上の代表選考会を兼ねた日本選手権が間もなく開幕。今回はトラック競技の見どころを紹介する【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

 今回で101回目を迎える陸上の日本選手権は、8月にロンドンで開催される第16回世界陸上競技選手権大会(以下、世界選手権)の代表選考会を兼ねて、男女36種目が行われる。


 日本陸上競技連盟(以下、日本陸連)は昨年11月、2020年東京五輪に向けた強化体制を発表。各種目を世界大会で活躍が期待できる順に「ゴールドターゲット」「メダルターゲット」「TOP8ターゲット」「ワールドチャレンジ」の4カテゴリーに振り分け、そのカテゴリーに応じて種目ごとに強化していく新たな体制を採用した。これに伴い、世界選手権の代表選考要項も改定。今回のロンドン世界選手権が、新体制で挑む最初の世界大会となる。


 ロンドン世界選手権の選考基準は、カテゴリーや種目によって異なるため、ひと言で説明するのが難しいが、共通していえるのは、「国際陸連が設定した参加標準記録突破者が優勝した場合は、即時代表に内定する」ということ。これに準じる大会時の内定条件、さらには大会終了翌日に発表される第1次代表選手の選考基準については、日本陸連公式サイトを参照願うとして、現地で観戦する場合は、まずこの点を1つの目安とすれば最も分かりやすいだろう。


 2020年に東京での開催を控える日本選手にとって、2017年は、地元五輪に向けた新たなオリンピックサイクルのスタートともいえるシーズン。激戦が予想される種目を中心に、大会の見どころを紹介する。


(記録、競技会の結果は、6月13日時点の情報で構成)

男子100mは3強+新星の争いか

昨年のリオ五輪で銀メダルを獲得した(左から)ケンブリッジ、桐生、飯塚、山縣といったメンバーを中心に、短距離は優勝を争われるだろう
昨年のリオ五輪で銀メダルを獲得した(左から)ケンブリッジ、桐生、飯塚、山縣といったメンバーを中心に、短距離は優勝を争われるだろう【写真:中西祐介/アフロスポーツ】

 リオ五輪男子4×100メートルリレー銀メダルという成果を得て、さらなる盛り上がりを見せそうなのが男子ショートスプリント。特に100メートルは、桐生祥秀(東洋大)、山縣亮太(セイコー)、飯塚翔太(ミズノ)、ケンブリッジ飛鳥(Nike)のメダリスト4人が10秒12の世界選手権参加標準記録(以下、標準記録)を突破している。


 飯塚は200メートルのみの出場となるため、100メートルは前年同様、桐生、山縣、ケンブリッジの3人を中心とする戦いになりそうだ。


 公認記録で最も水準が高いのは桐生。今季日本最高となる10秒04を2回(+1.4、−0.3)出したほか、10秒08(−0.5)、10秒11を2回(+1.1、+0.4)と、10秒0台を3回マーク、標準記録は実に5回も突破している。気象条件や対戦相手を問わず、確実に10秒1台で走れる安定感は、日本選手権でも大きな強みとなる。


 昨年の覇者でもあるケンブリッジは、追い風5.1メートルのなか9秒98で走った初戦を筆頭に、春先は追い風参考のレースが続いたが、上海ダイヤモンドリーグで10秒19(+0.1)、布勢スプリントでは予選10秒11(+2.9)、決勝10秒12(+1.9)と着実に調子を上げてきている。


 日本選手権の会場となる大阪・ヤンマースタジアム長居でも、終盤で抜け出していくダイナミックな走りが見られそう。


 山縣は、3月の初戦で1本目に10秒06(+1.3)、2本目には桐生に競り勝ち10秒08(−0.1)と、上々のシーズンインを果たした。しかしその後、右足首に痛みが出たため国内競技会を回避し、日本選手権に照準を合わせた。痛みの不安がなくなれば、切れ味鋭いスタートを見せてくれるはず。


 そして、要チェックの選手がもう一人。今季、春から急成長を見せてきた多田修平(関西学院大)だ。6月の日本学生個人選手権準決勝では追い風参考(+4.5)ながら9秒94をマーク、決勝を10秒08(+1.9)で制し、5人目の標準記録突破者となった。この勢いが維持できていれば、メダリストたちもうかうかしてはいられない。リレーのメンバー争いも含めて、戦いはさらに激化しそうだ。

飯塚の200m19秒台は? 福島は参加標準突破を目指す

200mで唯一標準記録を突破しているサニブラウン。飯塚との優勝争いも注目だ
200mで唯一標準記録を突破しているサニブラウン。飯塚との優勝争いも注目だ【写真:アフロスポーツ】

 男子200メートルは、5月末の段階で20秒44の標準記録突破者がサニブラウン・アブデル・ハキーム(東京陸協)の1名(20秒41)のみ。ロンドン行きを目指す選手たちは、標準記録突破も見据えながら勝負をかけていくことになる。


 本命は、前回を日本歴代2位の20秒11で優勝した飯塚か。今季は静岡国際で20秒50、ゴールデングランプリは不発に終わったが、100メートルに出場した布勢スプリントの予選で10秒10(+1.7)の自己新をマークすると、決勝は日本歴代7位の10秒08(+1.9)で走り、2位のケンブリッジ以下を突き放した。このスピードが200メートルで生かされれば、「日本人初の19秒台」を長居で見ることができるかもしれない。


 布勢スプリントでは、飯塚以外にも200メートルを得意とする原翔太(スズキ浜松AC、10秒13)、藤光謙司(ゼンリン、10秒23)が自己新をマーク。この2選手と前述のサニブラウンのほか、リオ五輪代表の高瀬慧(富士通)もおり、代表争いは熾烈なものになりそうだ。


 苦境にあるのが男子400メートル。初戦を45秒62で走っていた前回覇者でリオ五輪代表のウォルシュ・ジュリアン(東洋大)が、4×400メートルリレー代表権獲得のために出場したワールドリレーズのレース中に肉離れを起こし、回復が間に合うかどうかの状態となっている。標準記録は45秒50。果たして、この記録に迫れる選手は現れるのか。

今季は調子が上がらず厳しい状況が続く福島。日本選手権で優勝+標準記録突破となるか
今季は調子が上がらず厳しい状況が続く福島。日本選手権で優勝+標準記録突破となるか【写真:アフロスポーツ】

 女子は、100、200メートル日本記録保持者の福島千里(札幌陸協)が、両種目での標準記録(11秒26、23秒10)突破を目指す。昨年は、100メートルで7年連続8回目の優勝、22秒88の日本新記録を樹立した200メートルでは6年連続7回目の優勝を達成しているが、今季は調子が上がらず厳しい状況が続いている。


 布勢スプリントで予選11秒43(+1.1、自己タイ)、決勝11秒38(+2.1)と快走し、上り調子を印象づけた市川華菜(ミズノ)との高いレベルでの競り合いを見たい。

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