立大を59年ぶり日本一に導いた無名球児 初回に試合を決めたミスター絶賛の一発
59年ぶり4度目の日本一に輝いた立教大 【写真は共同】
立教大 9−2 国際武道大
国:101 000 000=2
立:500 001 21X=9
バッテリー
(国)伊藤将、林、青野、国本、高橋、平川−筒井、小田
(立)手塚、中川−藤野
【本塁打】大東(立)
ミスター「プロで見るような打撃」
1点を先制された直後の1回裏、1死から連打と四球で満塁とすると、5番・山根佑太(4年/浦和学院)がレフト前へ2点逆転タイムリー。さらに一、二塁とチャンスが続き、打席は6番・大東孝輔(4年/長良)。大学日本代表にも選ばれている国際武道大の先発左腕・伊藤将司(3年/横浜)が投じた初球、やや甘くなったコースを見逃さなかった。フルスイングした打球はレフトスタンドへ。「手応えは完璧だった」と大東は3ランを確信。一方の伊藤将は、「ツーシームが抜けてしまった」と悔しがった。結果的に勝負の流れを左右する一発。5対1とした立教大が最後まで試合を優位に進めた。
初戦の富士大戦でも2ランを放っている大東。「富士大戦の時も山根がヒットを打ってその後に自分が打てたので、その時のイメージを持って打席に入りました。苦しい試合になると思っていたので、点を取れる時に取りたかったので後ろにつなげる気持ちでした」と振り返る。
観戦に訪れていた立教大OBの長嶋茂雄さん(巨人終身名誉監督)も、「学生野球ではなかなか見られない。プロ野球で見るような、打撃だった」と絶賛した。試合後にそのことを聞いた大東は、「すごくうれしいです。打った時はまだ長嶋さんが来られていると知らなくて、戻ってきたらチームメートから教えてもらった」と満面の笑みを見せた。
59年ぶり4度目の優勝を果たした立教大ナインに手を振るOB長嶋茂雄氏(中央) 【写真は共同】
Bチームから這い上がった努力の選手
代打での出場が多かった今春のリーグ戦では9試合で13打数3安打。指名打者制(DH)が採用されている今大会でスタメンに抜擢された。「大東は経験があるし、大事な所で打ってくれるので彼に託しました」と溝口智成監督は初戦の後に起用の意図を話した。さらに「投手の打順で代打などを考えなくていい。そういう意味では楽になりました」とDHでの大東抜擢が投手起用にも好影響をもたらした。
エースの田中誠也(2年/大阪桐蔭)も初戦の後に「真面目で寮の近くゴミを毎日拾っているくらいのすごい先輩。毎晩素振りもしているし、誰が一番練習しているかと聞かれたら、みんな大東さんと答えると思う。僕は打撃も好きなのですが、僕よりもバット振っている方が打席に立つというのは大きい」と話す。
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プロ注目の同期へライバル心
初回に点差を広げる価値ある3ランを放った立教大・大東。今大会のMVPに輝いた 【写真は共同】
当然ながら東京六大学秋季リーグ戦、そしてその先の明治神宮大会はDH制が採用されない。「もっと守備を頑張ってスタメンを獲れるようになりたい」と、同じポジションで大学通算7本塁打とプロからもその長打が注目される笠松へのライバル心を見せる。「社会人でも野球をやりたいので、何とか結果を残したい。まだ(就職先は)決まってないです」と話した大東。最高殊勲選手賞獲得を自信にして、秋はもっと活躍するつもりだ。
■立教大、優勝への軌跡
準々決勝:天理大 4対3
準決勝:東海大北海道 1対0
決勝:国際武道大 9対2
■表彰選手
最優秀投手賞:中川颯(立教大学1年) 3試合2勝 12投球回 防御率0.00
首位打者賞:赤木陸哉(国際武道大学2年) 15打数7安打 打率4割6分7厘
敢闘賞:磯網栄登(国際武道大学2年)
特別賞:東海大学北海道キャンパス
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