【UFC】オークランド決戦を前に2人の日本人が激白! 国本「これからが全盛期」廣田は日本大会に照準

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UFCオークランド大会で2年4カ月ぶりの試合に臨む国本“ストラッサー”起一 【写真:花田裕次郎】

 日本時間6月11日(日)にニュージーランドで開催されるUFCファイトナイト・オークランドは、日本人ファイター2名が出場する注目の大会だ。国本“ストラッサー”起一はザック・オットー(米国)を、廣田瑞人はアレックス・ボルカノフスキー(オーストラリア)をそれぞれに迎え撃つ。両選手に試合前の意気込みを伺った。

「今の僕ならマグニーにも勝てる!」



 17歳から7年間、スケートボードに打ち込んできた国本は24歳の頃にPRIDEを見て、これは自分にもできるに違いないと考えて格闘家に転向した。まず“1年でプロになる”という目標を立て、コブラ会に入り、目標達成のためのステップを踏んで、実際に1年半後にパンクラスでデビューを飾った。

「スケートボードと格闘技には意外に共通点があるんですよ」と国本は語る。「例えば、スケートボードの推進力と、タックルの力の使い方はよく似ています。横乗り系のバランス感覚は格闘技にいかせるんです」

 今回の試合は国本にとって、2015年2月のニール・マグニー戦以来、2年4カ月ぶりの試合となる。この間に国本はヒザの手術を受け、リハビリを行っていた。

「ケガは試合前からのものでしたが、試合で悪化しました。おかげで同年の日本大会にも出られなくなってしまったんです。ただ、もうすっかり良くなりました。以前はレスリングの練習を控えるなど、ヒザをかばって動いていたのですが、もうそんな必要もありません。それに欠場期間中に、これからUFCで勝っていくためのいろいろな基礎作りもできたと思っているんです」

 具体的には例えば、欠場中に通常体重の設定をうまく調整したため、今回は減量も順調、いいペースで減量をしながらも、力はみなぎっている状態なのだという。

 一方のマグニーは国本に勝った後、現在までに実に7試合をこなし、現在ウェルター級5位(5月31日付)にまで急上昇してきている。振り返ってみれば、非常に厳しい対戦相手だったのだ。

「確かにマグニーは強かったんですが、あの時はむしろ、自分の気持ちが弱くなっていたと思っています。UFCで3連勝して、かえって気持ちが浮ついてしまっていた面があったのです。それでもマグニーからテイクダウンを取れたのだから、本来の動きができれば、今の僕ならマグニーにも勝てると思っています」

 今大会での国本の対戦相手は、もともとワーレイ・アウヴェスとされていたが、後にオットーに変更になった。このことについて国本は「オットーはまんべんなくできる選手、隙(すき)を見てプレッシャーをかけてくる選手だと見ています。ただ、僕はこれから上にあがっていきたいと思っているので、誰が来ようが勝つしかないんです。対戦相手の変更に動じるようなことはありません」と語っている。

今年中のランキング入りを狙う! 

 今後のUFCでの展開について国本は次のような目標設定を明かしてくれた。

「まずはもちろん、今回の試合に勝つことが大前提です。その上で、僕は年内にあと2試合したいと思っています。そして今年中にランキング入りしたいですね。そのためには、僕はランカーと試合をして勝ちたいのです」

「普通だと36歳にもなると引退が視野に入ってくる頃なのかもしれませんが、僕の場合は衰えなど全く感じていまません。むしろ成長真っ最中、右肩上がりで心身ともに強くなっていると感じています。ファイターとしてこれからの3年は絶頂期になると思います」と、国本は来るべきMMAファイターとしての全盛期・収穫期に自信を見せる。

 充実感が伝わってくる国本の話には繰り返し見えてくるテーマが潜んでいる。それは、しっかりと目標を設定すること、そして目標達成のために戦略を立てて着実に実行していくことの大切さだ。

「どの分野でもそうだと思うのですが、自分の可能性は自分が一番分かっているのだから、他人からどう言われようが、自分の信念を貫き通すことが大事なんです。そして腹を据えて自分のゴールを見定めれば、おのずとやるべきことは見えてくるはず。僕はそう思っています」

「試合も同じことです。自分がどうしたいのかを決めた上で、攻撃を出していく。そこがあいまいなままで、奇跡を願っているだけではうまくいきません。一見ラッキーパンチに思えるような試合でも、そこにはちゃんと過程があるものなんです。目標を決めて、それにむけてどれだけ戦略を組めるか。それがポイントだと思います」

 ケガも癒え、高いレベルでターゲットをすっかりロックオンした国本。実りの秋が深まるオークランドの地で、国本の収穫祭のような試合を楽しむことができそうだ。

好調廣田は根性勝負で相手を潰す!

待望のUFC初白星をあげた廣田瑞人は9月のUFC日本大会出場に照準 【(c)Zuffa.LLC/(c)gettyimages】

 2016年12月のコール・ミラー戦で待望のUFC初白星をあげた廣田瑞人。しっかりと力の差を見せつけてのUFC4戦目での勝利について廣田は、「ミラーは思っていた通りの感じだったのでやりやすかったです。腰の強さがなく、スピードもなかったですね」と淡々と振り返っている。

 今回の対戦相手ボルカノフスキーは、前回は粕谷優介をパウンドでテクニカルノックアウトしたパワフルな攻撃が記憶に新しい。それでも、廣田は「ボルカノフスキーはタイプ的に自分と似ていると思うので、根性勝負になると思います。テイクダウンを取られないようにして、タックルを切って、潰して、殴って勝ちます」と傾向と対策は万全だ。

 5月には抜き打ち薬物検査の検査員が3回もやってきた。「ウソだろ、と思いました。オレ、そんなに怪しい顔していますかね」と笑う廣田だが、自身のソーシャルメディアでは「金かけ過ぎだろ。それよりファイトマネーを上げてくれ!」との本音も思わず飛び出していた。

「ちょうど試合間隔もいいですからね。今回いい勝ち方をして日本大会に出るので、その時には見に来てください」と、早くも9月の日本大会に照準を合わせる廣田。戦ってみたい選手はいますかと問うと、「ジョン・チャンソンがケガしたらしいんで、ケガ明けにオレとどうですか」と“ザ・コリアン・ゾンビ狩り”をアピールしてくれた。

 例によって海外仕様の金髪に染め上げて根性勝負に挑む廣田。メインカードで地元の人気選手を倒して、観客を沈黙のどん底に突き落とす痛快なシーンを楽しめそうだ。

(文 高橋テツヤ)
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