“関西の雄”近畿大は自滅で初戦敗退 剛球右腕・近藤との対決で注目も……

松倉雄太

1回戦屈指の好カードと言われた岡山商科大vs.近畿大の一戦は、岡山商科大が4対2と勝利。「調子は良くなかった」と振り返った150キロ右腕・近藤だったが、8三振を奪って2失点完投した 【写真は共同】

■全日本大学野球選手権1回戦

岡山商科大 4−2 近畿大

近:000 010 010 =2
岡:201 010 00X =4
(近)小寺、伊波、横山−山本
(岡)近藤−平
【本塁打】牧野(近)

立ち上がりの失点響いた近畿大

「立ち上がりの失点が最後まで響きましたね」

 近畿大(関西学生野球連盟)の田中秀昌監督は悔しそうに話し始めた。

 5年ぶり7回目の出場となった岡山商科大学(中国地区大学野球連盟)の152キロ右腕・近藤弘樹(4年/安佐北)と、過去4度の日本一を誇る近畿大打線の対決が注目された。

 だが、結果は近畿大の自滅で勝機を逃してしまった。田中監督が「調子の良さで先発に決めた」という小寺兼功(3年/岡山理大付)が初回に3つの四死球とボークなどで2点を失った。「トーナメントなので負けたら明日はない。出場が決まった後のこの2週間、初回を大切にと言っていたのですが、あれだけ四死球が出るとは……。しかもボークまでついちゃった。好投手が相手なので、無駄な点を与えてはダメだった。打たれるのなら仕方ないですけど……」と指揮官は唇をかみしめた。

 2回以降も後手、後手に回る展開。「サインの見逃しなど全てがかみ合わなかった。監督の責任です」と肩を落とした。

近藤「調子は良くなかった」

 ただ、田中監督は相手エースのピッチングを称賛。「映像は何回も見て、データを出しました。やれることは全てやったのですが、思っていたより変化球が多く、制球力も良かった。中盤以降に捉えられると思ったが、それ以上でした」。

 8安打、2四死球で2点を失ったものの、8三振を奪った近藤の感想はどうか。ストレートが150キロを記録したものの、「調子は良くなかった。変化球が(ストライクゾーンに)いかず、見せ球感覚でしか投げられなかった。決め球として仕えたのは数球だった」と悪いなりのピッチングだったことを話す。結果的には近藤の変化球の精度が今ひとつだったことが近畿大打線を戸惑わせた。先制点を奪われたことでストレート対策を講じていた近畿大打線が早打ちとなり、決め球に使えずカウントを稼ぐために投じた変化球を打たされてしまったのだ。

 かつて、上宮高を率いて1993年のセンバツ優勝、2011年には石川慎吾(巨人)を擁して東大阪大柏原高でも甲子園に導いた田中監督。14年に近畿大の監督に就任し、大学としては4年ぶり29回目、自身としては初の全国の舞台となったが、初戦敗退。「たくさんの方が応援にきていただいたのに、申し訳ない。関西の意地を見せたかった。秋に出直しです」と話し、大学野球の聖地を後にした。
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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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