広島連覇への道は交流戦から始まる!? OB山内泰幸氏に今後の展望を聞く

ベースボール・タイムズ

黒田が抜けた穴、新井の影響力

5月26日終了時点で規定打席に到達し、リーグ打率トップに浮上した安部 【写真は共同】

 昨季の優勝に欠かせなかったのが、黒田博樹と新井という、ともに名球会入りした投打の軸となる存在だった。その一端を担った黒田が抜けた投手陣に、その影響はあるのか。

「黒田がいたことで、投手陣全体の雰囲気が引き締まっていたことは間違いない。ただ、それよりも昨年の優勝の後、今年も開幕直後に10連勝したことで、選手だけでなくファンも含めて今年も優勝、というムードになったのは否めない。そこで気の緩みが出てしまったというか、野球が雑になってしまったようなところがあった。黒田がいればそんな中でも、よりいい意味で緊張感があっただろう。彼は別格。グラウンドにいるだけで、という存在だった」

 今季も相手投手との相性などで、休養日を挟む起用が続いている新井だが、昨季よりもスタメンが外れる試合が増えている。それでも要所では存在感を発揮しており、DHがある交流戦では、その出番は増えそうだ。

「新井はスタメンでの起用が減ったことで、休んでいる分、なかなか本来の力を発揮できない部分もあるのではないか。ただ、彼に代わって試合に出ている安部友裕が規定打席に到達して打率トップと急成長した。ほかにも直接なことではないが、4番に入った鈴木がカウントや状況によっては、右打ちなどチーム打撃をする姿を見せるのも、石井琢朗コーチの指導もあるが、昨年まで新井が見せていた4番像のようなものを、鈴木が見ていたからだと思う」

優勝を左右する交流戦をいかに乗り切るか

好投しながらも勝ち星に恵まれない大瀬良。交流戦での飛躍が期待される 【写真は共同】

 かつては鬼門と言われた交流戦だが、その成績がペナントレースに大きく影響していることは、歴史が証明している。25年ぶりの歓喜のきっかけとなった昨年の再現は可能なのか。

「交流戦だからと、過剰に意識する必要はない。確かにパ・リーグは打力があるチームばかりだし、ピッチャーも剛腕タイプが多い。それを意識して、特に投手は警戒しすぎて、逃げの投球になってはいけない。相手うんぬんよりも、自分たちの野球をしっかりやることが大事だと思う」

 交流戦ならではのルールも、活用するべきだと山内氏は言う。

「ビジターではDHをうまく使いたい。新井、エルドレッド、松山(竜平)と、DHでの起用が予想される選手のレベルはかなり高くなっている。ただ、エルドレッドがパの投手に速い球で懐を攻められて、調子を落とさないかが心配。緒方監督の起用法に注目したい。投手もDH制なら、代打がないので先発投手が長く投げられる。野村とジョンソンの早期復帰が望まれるが、それまではここまで勝ち運のなかった大瀬良大地に期待したい」

 シーズンの行方を左右する交流戦をいかに戦っていくか。

「昨年は埼玉西武戦のコリジョンルールのサヨナラ(6月14日)から、オリックス戦での鈴木の2試合連続サヨナラ本塁打(6月17・18日)などで、交流戦終盤から連勝を続けてチームが波に乗った。ただ、それらの試合も、本来ならば負けゲームの展開で、紙一重の勝負だった。少しのきっかけで大きく流れが変わるのが交流戦。最低でも勝率5割をキープしながら、どこかで連勝して勢いに乗り、昨年のような展開になるのが理想」

 山内氏も注目する両リーグのメンツを賭けたサバイバル戦が、今年も始まる。

(取材・文:大久保泰伸/ベースボール・タイムズ)

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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