【UFC】捲土重来を誓うA・グスタフソン 地元ストックホルムで再挑戦へ踏み出す

(c) Zuffa, LLC

スターファイター、グスタフソン誕生!

ジョン・ジョーンズとのタイトルマッチで接戦を演じ、一躍スターダムに急上昇したグスタフソンだったが…… 【Zuffa LLC】

 2013年9月に開催された「UFC 165」で、当時チャンピオンとして圧倒的な強さを誇っていたジョン・ジョーンズ(米国)に、新鋭のアレクサンダー・グスタフソン(スウェーデン)が挑戦するUFCライトヘビー級タイトルマッチが行われた。

 下馬評ではジョーンズの圧勝と見られたこの試合でグスタフソンは、それまでテイクダウン防御率100%だった難攻不落の最強王者から初めてテイクダウンを奪うなど大健闘、判定3−0で敗れはしたものの、ジャッジ2名が48−47のスコアを付ける接戦を繰り広げたのだった。

 この試合はUFCライトヘビー級屈指の熱戦として今でも語り継がれており、敗れたとはいえグスタフソンはジョーンズを最も苦しめた男として人気も評価も急上昇。ジョーンズとのリマッチが大いに期待されることとなった。

地元がい旋、3万人の前で秒殺負け

 そして15年1月、余勢を駆ってグスタフソンは地元ストックホルムにがい旋、アンソニー・ジョンソン(米国)を迎えて、事実上のUFCライトヘビー級次期挑戦者決定戦に挑む。

 米国でのテレビ生中継に時間を合わせるため、大会は現地時間の深夜に行われ、メインイベント開始の頃には早朝3時45分になっていた。それでも地元の英雄の勇姿を一目見ようと、会場のTele2アリーナに集まったファンは誰1人帰宅しない。それどころか、メインイベント開始直前まで当日券が売れ続けるという過熱人気で、最終的には実に3万人がこの試合を目撃することになる。

 あまりにも高い期待を一身に背負って登場したグスタフソンだったが、試合は早々からジョンソンの桁違いのパワーをモロに受けて昏倒(こんとう)、第1ラウンド2分46秒であっさりとノックアウト負けを喫してしまったのだった。

 この時の3万人の沈黙の重さは今でも忘れられない。文字通りの完璧な静寂、見てはいけないものを見てしまったかのような、自分の目で見たことを認めたくないような、押しつぶされそうな沈黙。数人のジョンソン陣営が発する空騒ぎのような歓喜の声が沈黙の中でむなしく響く。それは“ストックホルムの惨劇”とでも名付けて額に飾っておきたいほどの、ある意味で強く心を揺さぶるシーンだった。3万人をどんよりした気持ちのままで、明け方の街に放り出すこととなったグスタフソンの無念さは、見る者の想像を拒絶するものだった。

1/2ページ

著者プロフィール

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント