【ボクシング】最強挑戦者退け、次へと繋げた田中恒成 WBA王者・田口との統一戦リミットは年末

「次のためにも絶対に負けられなかった」

KO決着とはならなかったが終始相手を圧倒。“次”に繋げることに成功した 【写真は共同】

 中盤にして、田中が戦前に予告したKO防衛を大いに期待させる展開。ここからラストまで粘ったアコスタの頑張りは称えねばなるまい。腹だけではなく顔面に田中の左フックを浴び、動きの止まる瞬間が何度もあった。並の選手ならギブアップしていただろうが、そのつど力のこもったブローを繰り出す。9ラウンドは田中の右ストレートでロープへと後退させられながらもクリンチでピンチをしのいだ。

 田中は終盤にかけてアコスタのパンチを接近戦でブロックする場面が増えた。これがアコスタ奮闘の印象をより強くしたはずだが、それでもカバーした後はすぐさまクイックなブローで倍返しをし、ポイントをほとんど失っていない。16戦全KO男との力の差をしっかりと見せつけてゴールテープを切った。

「アコスタは本当に強くて激しくて、最高のライバルでした。こんなに強い相手からタイトルを守ることができた。自信になります。次のためにも絶対に負けられなかった」

来年のフライ級転向を明言

試合翌日は東京の世界戦を視察した。(写真左から)田中、田口、井上尚弥、比嘉大吾、拳四朗 【写真は共同】

 試合を総括したチャンピオンは続いて、“次”の計画をしゃべりだした。田口本人から対決の承諾を取り付けたのは前述の通りで、こう付け加えることも忘れなかった。「俺は八重樫選手とも戦いたい」。翌日に東京・有明コロシアムで行われるIBFライトフライ級王者・八重樫東(大橋)の防衛戦を視察すると明らかにした。

 結果的に田中の目の前で八重樫は陥落。田中対アコスタ戦の同日、東京では新たにWBC王者に拳四朗(BMB)が就いたが、拳四朗はまず防衛ロードを歩む意向で、統一戦を誓い合った「田中vs.田口」がライトフライ級ウォーズの話題の中心となっていくのは間違いない。

 田中陣営は同時に「ライトフライ級は今年限り」と、来年からのフライ級転向を明らかにしており、統一戦のリミットは年内。田口側の渡辺均会長の出方が注目されるが、ボクシングファン期待の好カードなのだからぜひ実現させてほしいものだ。

 もちろん田口も夏頃に計画される6度目のWBA王座防衛戦をクリアする必要があるのだが――。

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