【ZONE】“ラウェイサムライ”金子はパワーに屈しTKO負け “日米現役軍人対決”は自衛官・羽場が判定勝利

長谷川亮

ZONE初のミャンマーラウェイマッチ

“ラウェイサムライ”金子はMMA戦士ルククに1RTKO負け 【長谷川亮】

 キックボクシング「ZONE 6 “The Vengeance”」が21日、東京・東京タワーメディアセンターで開催された。
 全日本キックボクシング連盟の後継団体として、ヒジ・ヒザあり本道のキックボクシング復興を目指すZONEだが、立ち技格闘技原初の姿を見せるため昨年からバンテージを巻いただけで戦うミャンマーラウェイマッチを実施。今大会でも3試合がマッチメイクされた。

 日本だけでなく本場ミャンマーでも注目となったのがZONEラウェイ部門のエースである金子大輝とルクク・ダリの一戦。現地のジムに入門を許され門外不出の技術を学び、“ラウェイサムライ”と呼ばれる金子が、昨年7月の「巌流島」でラウェイ最強戦士トゥントゥンミンを下し、ミャンマーで賞金首となっているルククとの無差別戦(体重差5kg以内)に挑んだ。

金子はパンチ、頭突きでいきなり出血

グローブではなくバンテージを巻いただ素手で戦うミャンマーラウェイマッチ 【長谷川亮】

 75.5kgのルククに対し、70.5kgで試合に臨んだ金子はフットワークを駆使してパワーに勝るルククとの正面衝突を避けパンチを振るっていく。素手での戦いに不慣れなルククは序盤やや戸惑った様子も見られたが、1R中盤からは柔道(元アフリカ・ジュニア王者にしてコンゴ代表)とMMAで培ったパワーを活かし、片手クリンチからのパンチ、頭突きを見舞い、金子の顔を腫れ上がらせ出血させる。

 距離を作り三日月蹴りでボディーを効かせた金子だが、ルククは2Rに入るとさらにパワーを爆発させ、跳びヒザからの連打で1回、首相撲からの顔面ヒザで2度目、そして組みからの頭突きで3回目と金子にダウンを与えていく。

1R4度目のダウンを喫しジ・エンド

大会ルールにより4度目のダウンでTKO負けに 【長谷川亮】

 左目を大きく腫らし鼻血も目立つ金子は、それでも拳を振るって戦いに臨んだが、ルククは再び首相撲でとらえてヒザで顔を打ち抜きジ・エンド(ZONEラウェイルールでは4度のダウンで決着となる)。ラウェイの仇敵ルククを倒し、ラウェイ王座戦へのアピールを狙った金子だが、これも格闘技原初の姿を感じさせるルククのパワーの前に弾き返されてしまった。

 そのほか2試合が組まれたラウェイマッチではミャンマーの実力者ソーゴームドーがムエタイ戦士ウィーラワット・シッカンパルをパンチの連打に頭突きを交えたコンビネーションで圧倒して初回KO、40代ラウェイ対決となった清水和磨(43)と中川達彦(47)の一戦は、大道塾2004年の北斗旗選手権超重量級優勝者である清水が3Rにノックアウトで勝利した。

キック技術で上回った自衛官に軍配

日米現役軍人対決は自衛官・羽場が海兵隊ジョージに判定勝ち 【長谷川亮】

 また現役自衛官と現役米国海兵隊員の戦いとして話題を呼んだ羽場悟とコーデル・ジョージの一戦は、北陸でキックボクシングのベルトを持つ羽場がロー、三日月蹴り、組んでのヒザとキックボクシングの技術で上回って判定勝ち。しかしキックの技術こそ不慣れな印象を与えたジョージだが、インターバルの後には必ず呼吸を戻して試合に戻り、羽場の猛攻にも最後まで心を折られることなく戦い抜き、現役軍人の強じんさを心身ともに見せつけた。

藤原あらしが全日本王座2階級制覇

ンタム級に続き時空を超えた全日本王座2階級制覇を成し遂げた藤原あらし 【長谷川亮】

 メインイベントでは全日本スーパーバンタム級王座決定戦で藤原あらしがRAIDENに4R終了TKO勝ち。サウスポーの藤原が放つ左ミドル、左ローにRAIDENは右ミドル、右アッパーと対抗し試合は均衡状態で進んだが、藤原は4R、首相撲で崩した後にヒジを送って技ありのダウンを奪取。さらに同じ首相撲からのヒジでもう1度ダウンを奪い、連打でフィニッシュを迫るなか終了すると、RAIDEN陣営はダメージで5R開始に応じず。かつて腰にしたバンタム級に続き時空を超えた全日本王座2階級制覇を成し遂げた藤原は、試合後4人の子どもたちをリングに上げともに戴冠を喜んだ。

 また今回は「ZONEインターナショナル」が主催となって初の大会で新生ZONEの新たな門出となったが、会場の動員記録を大幅に更新して超満員。第0試合でUWFルールの特別試合、オープニングではロープとポールを使ったインドの驚愕パフォーマンス「マラカンブ」が繰り広げられ、「格闘技の玉手箱」と小林聡代表がいう“ZONEワールド”を存分に見せつけた。


■ZONEインターナショナル「ZONE 6 “The Vengeance”」
5月21日(日)東京タワーメディアセンター5F スタジオアース

<第7試合 全日本スーパーバンタム級王座決定戦 3分5R>
〇藤原あらし(バンゲリングベイ・スピリット/元・全日本バンタム級王者)
(4R終了時TKO※棄権)
●RAIDEN(契明ジム/イサーン・フライ級王者)
※藤原が新王座に就く

<第6試合 MTBF認定ZONEラウェイルール 72.0kg契約 3分5R>
〇ソーゴームドー(ミャンマー)
(1R2分44秒 TKO )
●ウィーラワット・シッカンパル(タイ/センチャイムエタイジム)

<第5試合 MTBF認定ZONEラウェイルール無差別級戦 3分5R>
〇ルクク・ダリ(コンゴ/TRI.H studio)
(2R2分37秒 TKO※4度のダウン)
●金子大輝(Thut Ti Myanmar Lethwei Club/リバーサルジム川口)

<第4試合 ZONEラウェイルール無差別級戦 3分3R>
〇清水和磨(大道塾 M2/2004年空道全日本超重量級優勝)
(3R0分55秒 TKO※4度のダウン)
●中川達彦(花鳥風月)

<第3試合 ヘビー級 キックボクシングルール 3分3R>
〇羽場 悟(LA・Gym・Japan)
(判定3−0※三者とも30−27)
●コーデル・ジョージ(アメリカ)

<第2試合 ZONEキックボクシングルール ※ヒジなし 2分3R>
〇百花(魁塾)
(判定2−0※29−28、29−29、29−28)
●真奈長(真樹ジム オキナワ)

<第1試合 ZONEキックボクシングルール ※ヒジなし>
〇旭野 穂(ゴールデングローブ)
(32分18秒 TKO)
●上條啓士朗(ミライユジム)

<第0試合 U−SPIRIT JAPAN提供スペシャルマッチ UWFルール無差別級20分1R>
〇上山龍紀(U−SPIRIT JAPAN町田)
(9分37秒 腕十字固め)
●兼平大介(HEAT-UP)
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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