【RISE】那須川天心が“ホーム”で秒殺防衛 才賀の対戦要求も「負ける気しない」

長谷川亮

ホームであるRISEのタイトルマッチに臨んだ“神童”那須川天心 【写真:チナスキー】

 キックボクシング「RISE117」が20日、東京・後楽園ホールで開催された。

 メインイベントはISKAオリエンタルルール世界バンタム級(−55kg)タイトルマッチ(3分5R)。立ち技と総合を股に掛ける活躍でいまや格闘技界の中心人物となった王者・那須川天心が、デビューから戦うRISEに凱旋出場を果たし世界タイトルの防衛戦を行った。

 対戦相手はWKAムエタイ世界バンタム級とISKAムエタイ ヨーロッパ同級王座を保持するアイルランドの“アベンジャー”ライアン・シェーハン。“アベンジャー”の異名の通り、マーベルキャラクターのタトゥーで腕を覆い、18歳の那須川に対しこちらもまだ19歳と若くして才能を開花させている選手。ライアンには空港からテレビ東京の人気番組『YOUは何しに日本へ?』のスタッフが同行して密着しており、注目度を高めての決戦となった。

1R72秒、圧巻のKO劇

那須川の強烈なボディで相手が尻ごみ、わずか72秒でKO防衛を果たした 【写真:チナスキー】

 前売り券も完売、当日券も瞬く間に売り切れと満員の観衆のなか登場した那須川は、まず相手の出方をうかがうようにあまり動かず立つが、ライアンのミドル、ローの後で左ストレートを放ってヒット。そしてローを返すと、サウスポーからの左ボディストレートを打ち込む。これが効いたか後退ベースとなったライアンに那須川は連打をまとめて意識とガードを上げさせ、再びボディストレート。これでコーナー付近まで飛ばされ倒れたライアンは苦悶の表情を浮かべ、セコンドからの声にも「ダメだ」とばかり弱々しく首を振る。

 まだ開始直後、探り合いの段階であったが、試合はここで決着。1Rわずか72秒、那須川は4月のRIZINに続く圧巻のKOで初防衛を果たした。

 自身に集まる注目と人気を反映するように客席を満員で埋めた那須川だが、「みんなで頑張っていけば格闘技がより素晴らしい世界になり、メジャー競技になると思います。RISEを僕が世界最高峰の舞台にします」と話し、試合後のバックステージインタビューでも「隣のTDCホールや東京ドームも満員にできる選手になっていきたい」と、さらなるスターを目指す思いを口にした。

「教科書に載るような選手になりたい」

試合後、対戦表明してきた才賀紀左衛門に対して「負ける気がしない」と自信をみなぎらせる 【写真:チナスキー】

 那須川の見事な勝利で大会は締めくくられたが、ここでRIZINスタッフと試合を観戦していた才賀紀左衛門がリングイン。防衛した那須川を「天才やな、お前は」と祝福しつつ、「次のRIZIN(7・30 埼玉・さいたまスーパーアリーナ)で俺とやろう」と対戦をアピールした。

「俺は元々K−1に出ていたから、RIZINルールでもK−1ルールでもRISEルールでもいい」と続けると、那須川も「やっちゃいます。どんなルールでも強いのが強い人だと思うので、受けて立ちます」とその場でこの挑戦を受け、あとはルールや体重の調整を残すのみであるかのように2人で写真に納まった。

 これまでISKAムエタイ世界バンタム級王者の志朗とはドロー、新日本キックの現バンタム級王者HIROYUKIには判定勝ちと、日本人相手に星を取りこぼしていない強者ライアンであったが、那須川は「今の自分ならどの選手でも倒せると信じて戦った」といい、試合を決めたボディストレートは「今までの選手より“効いた感”があった。渾身の一撃でした」と手応えを振り返った。

 対戦の持ち上がった才賀に対しては、自身が55kg、才賀58kgと体格差があるが、「60kgぐらいまでの選手ならやってもいいと思っている。負ける気がしない」と話し、ライアン戦の結果と内容がその言葉に十分説得力を持たせていた。

 那須川はこれで19戦19勝(15KO)、MMAでは3戦3勝と依然負け知らずで、デビュー以来の連勝を続行。だが連勝そして無敗記録の更新という範疇(はんちゅう)を超え、「教科書に載るような選手になりたい。そういう歴史を残したい」と、大きなスケールの目標を見据えた。
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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