【全日本プロレス】 CC覇者・石川が宮原を破り三冠初戴冠 真霜&KAI組が世界タッグ王座を奪取

高木裕美

CCを制した石川修司が王者・宮原を下し、三冠王座初戴冠 【写真:前島康人】

 全日本プロレス「超力! 2017 スーパーパワーシリーズ」最終戦となる21日の東京・ 後楽園ホール大会では、豪華5大タイトルマッチが開催され、満員となる1315人を動員した。

 メインイベントの三冠ヘビー級選手権試合では、今年の「チャンピオン・カーニバル2017」優勝者の石川修司が、王者・宮原健斗を破り王座初戴冠。17年前の5月13日に49歳でこの世を去った初代王者・ジャンボ鶴田さんや歴代王者に恥じない王者像の確立を誓った。

新技「宮原殺し」で流れをつかみ3カウント奪う

石川と宮原は20分を超える死闘を繰り広げた 【写真:前島康人】

 現在41歳の石川は、DDTプロレス、ユニオンプロレスなどを経て、現在はフリーとして幅広く活躍。大日本プロレスのBJWストロングヘビー級王座やDDTのKO−D無差別級王座などにも君臨し、その巨体を生かしたダイナミックなファイトで、15年の全日本マット初参戦時から存在感を発揮していた。

 これまで8度の防衛に成功している宮原に対し、石川は場外での鉄柵攻撃、ベアハッグ、背中へのフットスタンプ、ミサイルキックなどでダメージを与えると、宮原も雪崩式ブレーンバスター、ブラックアウトで反撃。なおも宮原は切り札のブラックアウトを顔面、後頭部などに連発し、流れを引き寄せようとするが、石川もヒザ蹴りで対抗する。

 18分過ぎ、宮原のジャーマンスープレックス、石川のスプラッシュマウンテンが繰り出されるも、いずれもカウントは2。20分過ぎには、宮原がスタンド、座り込んだ状態へブラックアウト2連発。だが、石川もファイヤーサンダーの体勢にとらえると、フェイントをかけて落とす新技「宮原殺し」から豪快なジャイアントスラムで脳天からマットに突き刺し、ついに3カウントを奪取。その瞬間、後楽園ホールがどよめきと歓声に包まれた。

 三冠ベルトを腰に巻いた石川は「ジャンボ鶴田さんにあこがれてプロレスを好きになって、鶴田さんが統一した三冠ヘビー級を巻くことができて、本当にうれしいです」と喜びを語ると、「このベルトを賭けて、魂を賭けて戦っていきたい」とリング上から決意表明した。昨年はインディー界のライバル・関本大介がCC優勝から王座挑戦をしながらも、あと一歩届かなかったこのベルト。それだけに、喜びと責任感を噛み締めた石川は「鶴田さんや歴代王者や宮原選手が価値を高めてきたこのベルト、恥ずかしい試合はできない」とキッパリ。敗れた宮原に対しては「宮原選手は全日本の太陽。一度沈んでもまた浮かんでくると思う」とエールを送った上で、「全日本にはデカイ選手もいっぱいいるし、今後は誰の挑戦でも受ける」と、自分が新王者として新たな歴史を築いていくと胸を張った。

 一方、セコンドに両肩を担がれて退場した宮原はノーコメントで控室へ直行。心身への深いダメージを露呈した。

王座奪取も真霜はKAIとの握手を拒否

息が合わないながらも真霜&KAIが世界タッグを奪取 【写真:前島康人】

 セミファイナルの世界タッグ選手権試合では、急造タッグの真霜拳號&KAI組が、ゼウス&ボディガーのザ・ビッグガンズからいきなり王座奪取を果たした。

 ザ・ビッグガンズは前日の横浜大会で大日本プロレスの神谷英慶&橋本大地組を下しV4に成功。だが、その直後に真霜、そしてKAIがバラバラに王座挑戦を表明し、急遽タイトルマッチが決定した。

 KAIは入場時から真霜に握手を要求するも、真霜は頑なに拒否。さらには、どちらが先発するかでモメる間に王者組の奇襲攻撃を浴びるなど、不協和音が明るみに。試合中も誤爆連発で、固い絆で結ばれた王者組との差は明らか。だが、真霜がダブルインパクトのエジキになりそうになったところをKAIが救うなど、ここぞという場面では息を合わせると、さらにゼウスに対し、真霜の雪崩式ブレーンバスターからKAIのスプラッシュプランチャに繋ぐ連係も決まる。再び真霜がピンチに陥ったところで、KAIがリフトアップしたボディガーに蹴りを打ち込んでカット。倒れたところを真霜が首固めで丸め込み、3カウントを奪取した。

 王座戴冠にも、真霜は自分の手柄だとアピールし、KAIとの握手を拒否。バックステージでも「最後はオレ一人の力で勝った」「全然役に立たない」とKAIを一刀両断。「相手をかく乱した」「精神的ダメージを与えた」と、2人の力だと訴えるKAIを「まだ信用できない」と白い目で見ながらも、とりあえずは王座戴冠の喜びにひたった。

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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