メジャーも注目!無名の剛腕が全国へ〜岡山商科大・近藤弘樹の軌跡〜
今季7勝でMVPとベストナイン
全国的には無名ながら191センチの長身から150キロを超えるストレートに、プロも注目する岡山商科大・近藤 【写真:高木遊】
一昨年の全日本大学野球選手権8強の東亜大や2年連続明治神宮大会8強の環太平洋大ら曲者揃いの中国地区大学野球1部リーグで、岡山商科大が10季ぶり9回目の優勝を果たした。その原動力はエースを務めた近藤だ。
リーグ最多記録となるシーズン7勝(8完投)を挙げ、黒星は1つのみ。優勝を決めた福山大との2回戦では抑えとして登板し胴上げ投手にもなり、最高殊勲選手とベストナインの2冠を果たした。
【動画】近藤の投球フォーム
高校3年夏は広島大会3回戦敗退
安佐北高時代は2年夏に広島大会16強に進み、秋には8強へ進んだ。だが当時のことを近藤に聞くと「完全に暴れ馬って感じでした。ストレートしか入らないのでストレートが多くなるんですが、押せるほどの球威もなくて」と苦笑いする。最後の夏は3回戦敗退に終わり、甲子園への道は遠かった。
それでも当時から大きな体格だったこともあり、東都大学2部リーグの大学など関東の大学からも声がかかった。体育大への進学を希望していたため断りを入れたが、その志望校に不合格。そこで高校の監督と仁科昭宣監督(現総監督)の繋がりがあり、岡山商科大に進学を決めた。
多くの実戦経験が積めた大学1年
1年春から先発を任されるようになり、「うちのリーグは、(ファウルで粘ったり、足を使ってきたり)嫌らしいチームが多いので、早くから投げられたことは良い経験でした」と話すように、多くの実戦登板を積めたことは近藤にとって貴重なことだった。
大学で覚えたチェンジアップは左打者の外に逃げていく軌道のため、左打者も苦にしない。また、大型投手にありがちな制球難や守備の難も感じられない。
昨年の全日本合宿の好投が自信
また下級生時からエースを務め「視野が広がり、みんなに見られているということを意識していますね。エラーしても“俺がどうにかする”という気持ちが見えます」と目を細めた。
昨年11月には侍ジャパン大学代表選考合宿に招集され、わずか3日ではあったが同年代のトップ選手たちと過ごした時間は貴重なものだった。惜しくも落選とはなったが、紅白戦でも2イニングを無失点に抑えて自信を掴んだ。