現役自衛官と米国海兵隊員がキックで激突! 5.21「ZONE」で異色の日米軍人対決が実現

長谷川亮

自衛隊で格闘教官を務める自衛官・羽場悟が現役の海兵隊員と日米軍人対決に挑む 【写真:ZONEインターナショナル】

 5月21日に東京タワーメディアセンターで開催される「ZONE6」では、現役自衛官と現役の米国海兵隊員による立ち技戦(キックボクシング)という異色の日米対決が実現する。自衛隊で格闘教官を務める羽場悟は秘密のベールに包まれた「自衛隊空手」を身に着け、キックで重量級の王座を持つファイター。揺るぎない信念と、死をも感じた訓練で培った強じんな精神で日米決戦に挑む。

対戦相手はMCMAPをマスターした海兵隊員

世界中のあらゆる格闘技を研究し技術体系を作り上げた『海兵隊マーシャルアーツプログラム』を完全にマスターした現役米国海兵隊員のコーデル・ジョージ 【写真:ZONEインターナショナル】

――現役の自衛官でありながらZONEへの出場が決まった羽場選手です。まず格闘技歴から教えてください。

羽場 高校の時に極真空手を始めたのが最初で、それから日本拳法、アマチュアで総合格闘技を少しやって、その後でキックボクシングに入ってきました。

――普段の勤務だけでも大変だと思いますが、それに飽き足らず格闘技の練習もされているのはどうしてですか?

羽場 高校の時から格闘技をやっていて、入隊してからも続けてやってきました。勤務はもちろんあるんですけど、やっぱり強くなるのに憧れているというか、そのためにやっている感じです。

――勤務の中の訓練やトレーニングで鍛えられて、格闘技をやらずとも十分強いと思うのですが……。

羽場 そうですね、でも当たり前のことですけど上には上がいっぱいいますし、いつも自分は弱いと思っています。なので逆に、強い選手とやるのは楽しみという気持ちがあります。

――公務員のためファイトマネーも手にできませんが、そうした金銭的な理由ではなく自身の強くなりたいという思いのために戦っている?

羽場 そうですね、はい。ファイトマネーに関してはお願いをして会長の方へ全部行くようになっています。今後もオファーをいただけるのであれば引き続きやらせていただこうと思っています。

――そんな羽場選手が自衛隊に入られたのはそもそもどうしてだったのですか?

羽場 やっぱり“強くなりたい”というのと、高校生の時にテレビでフランス外人部隊の特集をしていて、ちょっと憧れた時期があったんですけど、同時に国のために何か仕事ができないかと思って自衛隊を選ばせてもらいました。今も国のために、という思いは変わりません。

――今回は現役自衛官の羽場選手が米国現役海兵隊員のコーデル・ジョージ選手と戦うということで注目を集めています。

羽場 初めての外国人でどういうスタイルで来るか見えませんし、黒人の選手でパワフルさがあると思うので、ワクワク感と同時に怖さもある心境です。

秘密のベールに包まれた「自衛隊空手」とは!?

相手を仕留めるような技もあるという「自衛隊空手」とは!? 【写真:ZONEインターナショナル】

――ZONEからのリリースには羽場選手が“究極の超実戦的格闘技”である「自衛隊空手」をベースにしていると紹介がありました。この自衛隊空手について羽場選手から教えてください。

羽場 我々は特に「自衛隊空手」とは言わず、普通に「格闘」と言っていて、自分は格闘の教官をもう7年ぐらいやっています。向こうもマクマップ(MCMAP=Marine Corps Martial Arts Program=海兵隊マーシャルアーツプログラム ※米国海兵隊が世界中の格闘技を研究して技術体系を作り上げたプログラム)をやっていると思いますが、こちらも同じよう様なカリキュラムで、研究をしてやっていますので全然通用すると思いますし、それを試合でぜひ試してみたいと思います。

――自衛隊空手はどのような技術と特色を持つ格闘技になるのでしょうか?

羽場 試合の時は日本拳法のように防具をつけてポイント制の似たルールでやっていますが、技術体系は別物です。ただ技術的な面に関してはちょっとお答えできない部分があります。それは向こうの米軍さんもおそらく一緒だと思いますが、答えられないところもあってすみません。

――やはり中には危険な技も含まれるのでしょうか?

羽場 そうなってくると思います。通常の空手とは異なりますし、スポーツとはまた別物になりますので。

――では、相手を仕留めるような技・攻撃が入ってくるのでしょうか?

羽場 そっち系になってくるかもしれません。

――羽場選手は格闘教官をされているとのことですが、指導をする時に心掛けていることはありますか。

羽場 技術体系が重要になってくるのですが、精神面と両立させて自信をつけさせるっていうことは心掛けています。これは自分が長く格闘技をやってきた経験もありますし、精神面が技術に乗っかっている面もあるので、やはり自信を持つことは大事だと思います。

――精神面がしっかりしていないと、やはり技を繰り出したりちゃんと戦うことはできない?

羽場 そうですね、無意識に行けるか行けないかっていうのはそういうことが大切になってくると思います。

――羽場選手は仕事上でも命の危険を感じる場面があったとお聞きしています。

羽場 訓練の時にあったんですけど、そういう経験がリングで戦う時にも活きていると思います。まぁ、みんな1度は死ぬものですから(笑)。なので、“もしものことがあってもしょうがない”と言いますか、ちょっと簡単な考えになっているかもしれません。でも、そのせいかそこまで緊張したりもないですし、落ち着いて戦うことができています。

――では最後に日米対決となります今回の大会へ向け、意気込みをお願いします。

羽場 キックは10年ぐらいやっていて、TRIBELATEの元クルーザー級チャンピオン、北陸のSAMURAIあばれ祭ではヘビー級のチャンピオンでやらせてもらっています。素晴らしい大会にオファーを掛けていただき、プロモーターのみなさんにありがたい気持ちでいっぱいです。自衛隊も代表していますが、北陸のヘビー級チャンピオンとして、恥ずかしくない試合をして必ずKOで勝ちたいと思います。

自衛隊だけではなく、北陸のヘビー級チャンピオンとしてリングに上がる 【写真:ZONEインターナショナル】

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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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