レッツゴードンキ2年ぶりのGI制覇へ――復活の裏に陣営の創意工夫

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ヴィクトリアマイルの有力馬の1頭レッツゴードンキ、復活の舞台裏を梅田調教師に聞いた 【netkeiba.com】

 歓声とどよめきに包まれた2年前の桜花賞。レッツゴードンキは30年ぶりとなる逃げ切りによる桜花賞制覇を遂げた。歴史的なスローペースに持ち込むと、直線でグイグイと後続を引き離しにかかり、4馬身差での完勝は様々な衝撃を残した。

 あれから1年10カ月、レッツゴードンキは勝ち星から遠ざかってしまった。ところが今年2月、京都牝馬Sで久しぶりの勝ち星を挙げた。「牝馬は立て直すのが難しい」と言われる中で、復活のかげには追い切りでのコース取りや、普段の調整方法を微妙に変化させるなど様々な工夫があった。ヴィクトリアマイルで再びのGI制覇に向けて梅田智之調教師を直撃した。(取材・文:大恵陽子)

デビューから+50kg、「男馬のスプリンターみたい」

 昨夏、レッツゴードンキはトンネルから抜け出した。

 函館スプリントSだったかキーンランドCだったか、差して3着に食い込んだ時、梅田師はオーナーと喜び合っていた。勝てなかった悔しさを口に出しながらも、清々しい笑顔だった。

 ファンが馬券を買っている馬が2、3着に来て喜ぶ姿を見ることはあっても、関係者が2着以下で嬉しそうな表情を見せることはあまりない。それだけに非常に印象的な光景だった。

復活の足がかりとなった北海道での昨夏の2戦を梅田調教師は「ホッとした」と振り返った(撮影:大恵陽子) 【netkeiba.com】

 梅田師は当時の心境を振り返った。

「その前の結果がずっと悪かったから、『やっぱ走るやん』ってホッとしたね。馬は賢い動物だから、レースの結果が悪いと楽を覚えて『ゴール前、しんどい思いをして走らなくてもいいんや』ってなってしまうことがあるからね」

 桜花賞を制覇してから約1年間、ほとんど掲示板にのることがなかったレッツゴードンキに復活の光が見えたのだ。

 とはいえ、決してスランプだったわけではない。

 桜花賞馬となった後は牝馬既定路線を歩んだが、秋華賞17着を最後に短距離路線にシフトした。初の古馬戦ともなったマイルCSはモーリスから0.5秒差の6着、阪急杯は0.2秒差6着。

「マイルCSもモーリスとそんなに差がなかったし、オークスと秋華賞以外は負けてもまだ見どころがある感じやったね」

 徐々に牡馬の一線級とタイム差を詰めてきたところで挑んだ昨年の高松宮記念では、直線で進路が狭くなる不利があった。後方からレースを進め直線勝負にかけていただけに8着。いい状態はキープしながらも何か歯車が噛み合わずにいた。

 そしてヴィクトリアマイル10着を挟んで迎えたのが冒頭の函館SSとキーンランドCでともに差して3着。スプリント戦で豊富なスピードを生かした。その後はスプリンターズSで直線がごちゃつきながら9着だったものの、母マルトクがダート5勝馬ということもあり進んだJBCレディスクラシックは2着。ターコイズS2着、京都牝馬S1着、高松宮記念2着と安定した成績を残している。

初ダートのGIでも2着、能力の高さを示したJBCレディスクラシックだった(撮影:高橋正和) 【netkeiba.com】

「JBCレディスクラシックは初ダート。ダート戦ではダートをずっと使ってきた馬にだいぶ分があると思うけど、それらを相手に2着にくるって大したもんやなって思ったね」

 以前、ある調教師は牝馬の立て直しの難しさの一つをこう語った。

――牝馬はカイ食いの細い馬も多くて、食べないと調教もできないから余計に立て直すのが難しい

 その点、レッツゴードンキはデビュー時から馬体重が約50kgも増えている。

「なかなかこんな馬もいーひんよ。使う度に増えていっているもん。カイバをしっかり食べて、運動して。食べるのも競走馬の能力の一つやね。男馬のスプリンターの体って感じがするくらいパワーアップしていってるよ」

デビュー時から馬体重は+50キロ! カイバ食いの良さもレッツゴードンキの長所の1つだ(撮影:大恵陽子) 【netkeiba.com】

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