ヴィクトリアマイルは種牡馬で買え! 過去10年の好走馬から見えてきた血統傾向
今回は種牡馬を切り口として
ヴィクトリアマイル好走馬の血統と前走成績
表1 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
そして血統面においても大きな特徴がある。主に父方、種牡馬に注目すると特定系統馬の好走が目立つ。まずは、ヘイロー系の中でもサンデーサイレンスの血を引く馬。特に近年はフジキセキやディープインパクト産駒の好走が多い。同一馬が好走しやすいので、どうしてもそのような傾向は出てくるのだが、過去10年で見ても偏りがあると感じる。そしてミスタープロスペクター系。特にキングカメハメハ産駒が有力。ケイアイエレガント、アパパネ、レディアルバローザと異なる馬がそれぞれ好走している点が興味深く、評価できるポイントだ。このレースにおける相性の良さがうかがえる。
あとはヴァイスリージェント系。先週のアエロリットと同じクロフネ産駒に注目できる。ノーザンダンサー系は全般的に不振なのだが、ヴァイスリージェント系だけは勝負になっている。あとはタニノギムレットなどのロベルト系。この4系統が全30頭の好走馬中、29頭を占めるという結果になった。
次に前走成績について見ていく。ステップレースとしては阪神牝馬S組が多い。ほぼ毎年1頭は馬券になっているという傾向だ。同レースは昨年から芝1600mとなっているが、その傾向は変わっていない。ただ、難しい点は同レースの好走馬ばかりが走っているわけではない点だ。ストレイトガールやヴィルシーナが連覇を果たした年は、ともに前哨戦で大きく敗れていた。13年2着のホエールキャプチャもそうだ。そのため本番ではかなり人気を落とした。近年はこの手のタイプの馬が、結果的に穴馬として好走を果たしている。
穴という意味では、前走1着馬にも注目すべきだろう。15年に12番人気で2着に入ったケイアイエレガントは、前走京都牝馬Sで1着だった。10年に11番人気で3着だったニシノブルームーンも前走中山牝馬Sを勝っていた。09年2着のブラボーデイジーも同様。前走で重賞を勝っていないながらも軽視されているケースが多々ある。普通はG1となると、「家賃が高くなる」という傾向も当然あるのだが、ヴィクトリアマイルに関してはそうではない。格下のレースであっても前走で勝って勢いをつけている馬が、穴になりやすい。
その他、実績的なことで言えば、過去に桜花賞や古馬のG1で好走経験がある馬がおもしろい。07年のコイウタは桜花賞で3着。ストレイトガールは、14年に前走高松宮記念で3着と好走していた。ヴィルシーナやホエールキャプチャはクラシックで勝てなかったが、G1で善戦を続けていた馬。ブエナビスタやアパパネ、ウオッカといった総合力が高い実績馬が勝っているレースでもあり、最終的には地力が高い馬の方が勝ちやすいことは間違いないだろう。
ヴィクトリアマイルの種牡馬成績(過去10年)
表2 【画像提供:JRA-VANデータラボ】
ディープインパクト産駒は2勝。サンデーサイレンス系の中でも、よりスピードと決め手に秀でた血統が有利と考えられる。というのもマンハッタンカフェ、ダンスインザダーク、ステイゴールド、ハーツクライといった産駒が一度も好走を果たしていないからだ。サンデー系の中でも、芝3000m以上のG1にも適性があるタイプは苦戦している印象だ。ただ、スペシャルウィークやスズカマンボ産駒は結果を出しており、一概に中長距離タイプがダメだとは言えない。ひとまずは、フジキセキやディープインパクト産駒を中心に、すでに好走馬を輩出している種牡馬を優先的に考えてみたいところだ。