【DDT】ベイリーに勝利の樋口和貞がDNAを“卒業” DDTに昇格へ

高木裕美

DNAが後楽園ホール初進出。樋口(中央)はDNAを“卒業”しDDTに昇格 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 DDTプロレスリングの若手主体プロジェクトDNA初の聖地興行「FIGHTING GIG DNA EP.33〜Kill the King〜」が10日、東京・後楽園ホールで開催され、796人を動員した。
 DNAは「DDT NEW ATTITUDE」の略称で、「若い力が主人公となる新プロジェクト」として、14年11.28北沢タウンホールにて旗揚げ。以後、小・中規模会場を中心に定期的に活動し、今年2月からはエス・ピー広告株式会社に大会運営を委託。映像ディレクターの佐々木敦規氏を大会プロデューサー、お笑いトリオ東京03の豊本明長さんをアドバイザーに据えた新体制に移行し、聖地初進出を果たした。
 大会中、早くも次回7.4後楽園大会の開催が決定。なお、同大会を最後に現体制は一区切りとなり、8.5新宿FACEでのビアガーデンプロレスからDNA第3章がスタートすることが発表された。

初後楽園のメーンは樋口vsベイリー

【写真:SHUHEI YOKOTA】

「DNA最強決定戦」と題したメインイベントでは、樋口和貞がマイク・ベイリーを撃破。試合後、高木三四郎大社長から、DNAを卒業し、DDT所属となることを告げられた樋口は、「7.4後楽園を満員にしてから卒業する」と決意を語った。
 両者は昨年10.21新宿FACEで開催された「DNA−Grand Prix 2016」優勝決定戦で激突。ベイリーが12分48秒、シューティングスター・ダブルニードロップで勝利し、DNA初の栄冠を手中に収めた。
 だが、樋口もDDT4・29後楽園大会で、タッグマッチながらHARASHIMAからピンフォールを奪取。さらにDDT最高峰のベルトであるKO−D無差別級王座に挑戦できる「いつでもどこでも挑戦権」も獲得し、一気にDDTトップの座も射程圏内に収める位置まで上り詰めてきた。

必殺の轟天でベイリーにリベンジ

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 ベイリーは得意のキックや空中殺法で樋口を翻ろう。だが、樋口もエプロンサイドでのシューティングスター・ダブルニードロップをかわして自爆させ、ダメージを蓄積させると、巨体を生かした捨て身のプランチャを炸裂。ベイリーもハイキックなどで粘りを見せるが、樋口が必殺の轟天で振り切った。

7.4後楽園で卒業記念試合が決定

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 試合後、高木から「おまえは本日をもってDNA卒業だ。これからはDDT所属としてプロレス界を盛り上げてくれ!」と卒業を告げられた樋口だが、「DNA所属として精一杯戦って、次の後楽園を満員にしたい」と、全面解放となる次回大会を満員にしてから卒業したいと直訴。高木も次回大会で卒業記念試合を行うことで受諾。DNA所属選手がそろっての記念撮影から、最後は樋口がプロレス界の横綱になるという決意を示すべく、リング上で四股を踏んで大会を締めくくった。

勝俣、鼓太郎を相手に奮闘も惜敗

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルでは、NωAの勝俣瞬馬が、WRESTLE−1を主戦場とする鈴木鼓太郎を相手に奮闘するも惜敗した。
 タイガードライバーで敗れた2.23新宿のリマッチとなるこの一戦。3.14新宿では、鼓太郎と組んで、タッグマッチながら樋口からカサドーラで3カウントを奪う大金星を挙げた勝俣は、この4カ月間の成長を見せ付けるべく、鼓太郎のボディーへのヒザ攻撃を耐え、ビットからのファンネルをかわしてトペコンを見舞うと、さらにドロップキック、ミサイルキック。ムーンサルトプレスはヒザ剣山でブロックされるも、エンドレスワルツをこらえてローリングクレイドルで反撃。ブルーディスティニーをカウント2でクリアし、エルボー連打で食い下がるが、鼓太郎のマスドライバーについに力尽きた。

岩崎は桜庭との初の一騎打ちも完敗

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 岩崎孝樹は桜庭和志との初の一騎打ちに臨むも完敗。これまでタッグマッチで2度敗北を喫している岩崎は、サッカーボールキックから場外戦を狙うが、逆に桜庭がリングに戻ってプランチャ。その後も桜庭はフロントネックロック、三角絞め、腕ひしぎ逆十字固めとサブミッションで攻め立て、スリーパー、ゆりかもめパーフェクトからカバーに入って3カウントを奪取した。

王者・竹下が同級生の上野と一騎打ち

【写真:SHUHEI YOKOTA】

「大阪市立咲くやこの花高等学校同級生対決」として、DDTのKO−D無差別級王者・竹下幸之介が、同級生の上野勇希と一騎打ちを行った。
 子供の頃から生粋のプロレスファンで、現役高校生としてプロレスデビューした竹下に対し、上野は竹下の影響でプロレス会場に足を運び、そこで衝撃を受けてプロレスラーになることを決意。今回、エース対デビュー半年の若手による、21歳の同級生対決が実現する運びとなった。

竹下がジャーマンで貫禄の勝利

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 エルボー連打の上野に対し、竹下はチョップ一発でダウンさせ、力の差を見せつける。それでも、上野は打点の高いドロップキックで器械体操仕込みの身体能力を発揮すると、ブレーンバスターからダイビングボディープレスを狙うが、竹下がヒザ剣山。竹下は強烈なエルボー1発から、ジャーマンスープレックスでマットに突き刺し、チャンピオンとしての威厳を見せ付けた。
 試合後、竹下が右手を差し出すも、上野は払いのけて握手を拒否した。

潮崎に完敗の鈴木が引退回避のチャンス

【写真:SHUHEI YOKOTA】

 7戦全敗すると強制的にプロレスラーを引退という「試練の七番勝負」に臨む鈴木大は、第3戦でもプロレスリング・ノアの潮崎豪に完敗。次回7.4後楽園では、何と4人と同時に戦うことが発表された。
 七番勝負中、1試合でも勝つか引き分ければ引退回避となる特別ルール。これまで、佐藤耕平、田中将斗という強豪選手に玉砕してきた鈴木は、豊本アドバイザーの進言通り、コスチュームと入場テーマ曲を一新。さらに、潮崎に向かってチョップ勝負を挑むなど、あえて真っ向から挑んでいくも、マシンガンチョップ乱れ打ち、豪腕ラリアット、ブレーンバスター、逆水平チョップからのショートレンジ豪腕ラリアットに撃沈。
 リング上で涙を流す鈴木に、豊本アドバイザーは、次回大会で七番勝負を一気に終わらせるべく、次回は4対1のハンディキャップマッチとすることを発表。一見、不利のようにも思えるが、逆に「7分間で4人全員に負けなければOK」ということで、引退を回避できる可能性が高くなったと話すと、鈴木も一転、ヤル気を見せた。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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