昇格組のC大阪、守備整備が奏功し健闘中 躍進への鍵は清武と柿谷の生かし方
柏戦では8試合ぶりの黒星を喫するも……
柏戦は0−1で敗れたが、C大阪は昇格組ながら4勝4分け2敗と健闘している 【(C)J.LEAGUE PHOTOS】
開始早々の3分に山口蛍→柿谷曜一朗→杉本健勇とダイレクトにつながってシュートまで持ち込み、8分には清武と柿谷がダイレクトパスの応酬を見せるなど、C大阪の入りは悪くなかった。彼らは今季昇格組とは思えないほど、互角の勝負を演じていた。
ところが後半12分、アクシデントから失点する。丸橋祐介のクリアが柏のクリスティアーノに直撃。そのままゴールに飛び込んだのだ。「フリーな状況だったにもかかわらず蹴ってしまって、それが入ってしまった。もっと冷静に判断できれば防げた失点」と丸橋自身も悔やんだが、チーム全体のダメージは大きかった。
C大阪はそこから一気に押し込まれ、立て続けに決定機を作られる。「相手に余裕が出てしまった。そこで勝負ありかなという感じ」と柿谷が言えば、「失点の後、全体的にラインが下がり、クリスティアーノとディエゴ・オリヴェイラの2人に押し下げられて時間を作られた。あの失点からどう持ち直していくのかが大事だった」と山口蛍も反省の弁を口にした。
結局、C大阪は1点の壁を跳ね返せず8戦ぶりの黒星を喫し、ユン・ジョンファン監督も「今の状況には満足していない」と厳しい表情で語っていた。それでも10節終了時点で4勝4分け2敗の勝ち点16、7位というのは昇格組としては悪くない成績である。山口が開幕前に語っていた「残留ラインの勝ち点40をまず取る」という第一目標も早い時期にクリアできそうな前向きなムードも感じられる。序盤の勢いがチーム全体の自信になりつつあるのは間違いないだろう。
ユン監督体制、まずは守りの修正を図る
今季、ユン・ジョンファン(前列中央)監督を招へいしたC大阪。マテイ・ヨニッチ(前列左端)らを補強し、まずは守備を中心に強化した 【写真は共同】
大熊清監督時代は組織的守備を志向しながら、16年シーズンのJ2では通算失点46とリーグ最少の松本山雅より14も多かった。そこで、ユン監督体制では第一に守りの修正を図り、確固たるベースを築いた上で多彩な攻撃を目指すという考え方でチーム作りを進めていった。
15〜16年にKリーグで2年連続ベストイレブンに輝いたマテイ・ヨニッチを補強したのもその一環。187センチの長身を誇るクロアチア人DFの加入で、課題だったリスタートからの失点も減ると期待された。プレシーズンは守備の約束事を徹底し、1シーズン通して走り抜ける体力作りにも時間を割いたという。
こうした思惑通り、今季のC大阪は2月25日のJ1開幕節のジュビロ磐田戦をスコアレスドローからスタート。続く3月4日の浦和レッズ戦は1−3と大量失点を喫したが、その後のリーグ8試合で2点以上奪われたのは4月16日のガンバ大阪とのダービーだけ。大崩れすることはなくなった。
10試合通算失点はリーグ最少の8。「ユンさんはボランチにバランスを求めているし、ソウザが前に行く部分があるから、自分は攻撃にいくのを自重している部分がある。でもそれでチームがうまくいっているなら、それでいいのかな」と山口も守備重視でプレーしていることを明かす。前からの連動したプレス、カバーリングの仕方、ボールの奪いどころなどの細かい約束事が明確になり、それに応じて選手たちが忠実に動いているのが今のC大阪。そこは過去3年間との目に見える違いだ。