低迷の前年王者・日本ハムを救うのは誰だ 故障者続出の中で奮闘する若き選手たち

ベースボール・タイムズ

“育成型”チームの本領発揮へ

4月13日のソフトバンク戦、お立ち台に上がった清水、森本、石井一(写真左から)の日本ハム若手野手陣からは初々しさが感じられる 【写真は共同】

 北海道日本ハムが野戦病院と化した。

 大谷翔平、マーティン、中田翔、杉谷拳士、飯山裕志、浅間大基、大田泰示、谷口雄也。彼らが「開幕後のカードひと回りで活躍した選手たちである」と言っても何ら不思議ではない。だが真相は、「開幕後のカードひと回りを終わった時点での故障離脱者の名前」である。

 キャンプイン早々に故障が発覚した大谷に続き、開幕直後にこれだけの故障離脱者が出ているのだから、昨年の日本一チームがカードひと回り時点でリーグ最下位(4勝12敗、4月18日現在)と苦しむのも理解に難くない。

 しかし、この大きな穴は、若手にとっては“チャンス”でもある。昨季の日本一を支えた絶対的なレギュラーがいるためになかなか試合に出られなかった若手にとって、1軍経験を積むには絶好の機会だからだ。

 ましてや、日本ハムはこれまで若手に一定以上の出場機会を与えて多くの選手を世に送り出してきた。主力選手が抜けても新たな若手が頭角を現す“育成型”チームの本領発揮である。

3年目右腕は昨季の高梨に続けるか

スケールの大きさは「田中将大級」とも言われる石川 【写真は共同】

 そこで日本ハムの窮地を救うべき、“ネクストブレイカー”を投・打・守に分けて紹介する。

 まずは”投”。満を持して推したいのが高卒3年目の石川直也だ。

 山形中央高(山形)時代は県立高校ながら、エースとして3年夏の甲子園での3回戦進出に大きく貢献。身長191センチという恵まれた体格から投げ下ろす直球とフォーク、さらには打者の目線を幻惑させる縦のカーブが武器。次代の先発ローテーションを担う逸材の呼び声高く、スケールの大きさは元指導者が「現ヤンキースの田中将大級」だと言ってはばからない。

 その豊かな才能の片りんを、キャンプから見せてきた。自身初参加の米アリゾナキャンプでの紅白戦で2回無失点の好投。その後オープン戦でも結果を残し続け、開幕1軍を手中に収めた。

 開幕直後はビハインド時の登板中心も、セットアッパーのマーティンが4月11日に離脱すると、それまでの防御率1.80の功績が認められ、リード時の8回を任されるなど、信頼度も確実にアップさせている。

 栗山英樹監督も「素材は(昨季の高梨裕稔と)同じような働きをする、というふうに信じているので、その段階にきているかどうか」と起用のポイントを語っており、昨季の高梨同様に良きタイミングで“先発GOサイン”が出れば、チームから3年連続の新人王誕生となる可能性も十分にあるといっていい。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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