選抜出場校の対外試合に検討の余地あり 高校野球、次の100年への提案(3)

松倉雄太

出場校同士の練習試合を認められないか

今大会は大阪桐蔭の優勝で幕を閉じたが、一方で課題も山積していることを本連載では伝えてきた。これをきっかけにさまざまな議論が生まれると幸いだ 【写真は共同】

 今年のカレンダーでいえば、18日からが3連休。多くのチームがここから本格的に実戦がスタートできるというのが実情なのだろう。現在は8日で設定されている解禁日。それを早くするのは難しいと、取材を通じて感じた。しかし同時に、対外試合の考え方については検討の余地があるのでは? という疑問も持った。

 そこで提案として挙げたいのが、『センバツ出場校同士の大会前の練習試合を認める』というもの。

 現在の大会要項には開幕前は出場校同士の練習試合は認められていないが、帰校した翌日以降は試合をしても差し支えないことになっている。これを大会前も差し支えないようにできないものか。

 実際、大学野球では6月の大学選手権直前に出場校同士が練習試合をすることがある。社会人野球でも都市対抗前、日本選手権前などに壮行試合として出場チーム同士が試合を組んでいる。同地区同士なら、抽選で上位まで対戦しないようになっているセンバツならば、事前に練習試合を組みやすいのではないか。出場しないチームも春季大会へ向けて地道に調整しやすくなるメリットも生まれるように感じる。

 竹中事務局長は、「今の所はそういう話は挙がってきていないが、加盟校や各都道府県連盟から要望があれば今後検討していく可能性はある」と話した。難しい課題ではあるが、全国の高校野球に携わる関係者にぜひ考えてみてほしい。

 選手の体、延長、日程など、今年のセンバツでもたくさんの課題が山積しているのが分かる。これが今の高校野球の実情だ。

 それでも、未来のために闊達(かったつ)な意見をどんどん出していくこと。答えは一つとは限らないが、そこからさまざまな議論が生まれることが大事だ。それが、10年後、20年後、そして50年後、100年後の高校野球の発展へとつながればと心から願いたい。

2/2ページ

著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

新着記事

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント