開幕3カード消化で明暗くっきり セは無風? パは春の珍事?

ベースボール・タイムズ

開幕から打撃好調の阿部。王座奪回を狙う巨人をけん引する 【写真は共同】

 3月31日のペナントレース開幕から1週間が過ぎた。各チームがまだ3カードを戦い終えたばかりだが、その短い中でも明暗がくっきりと分かれた状況になっている。セ・パ両リーグの開幕直後の戦いぶりを整理したい。

巨人&広島が早くも首位攻防

 例年以上の混戦が予想されたセ・リーグ。大型補強を敢行した巨人がオープン戦で最下位だったことも要因の一つだったが、ふたを開けてみればその巨人が2013年の7連勝以来となる開幕5連勝の好スタートを切った。

 原動力はプロ17年目、開幕から「4番・ファースト」で出場を続ける阿部慎之助だ。開幕戦の第1打席でいきなり今季1号2ランを放つと、第2戦では中日の田島慎二から9回裏に逆転サヨナラ3ラン。横浜DeNAとの3連戦でも2ランを2本放ち、開幕8試合終了時点で打率3割7分9厘(29打数11安打)4本塁打13打点と爆発している。

 大黒柱の爆発とともに過剰とも言える豊富な戦力の中で亀井善行が好調を維持するなど、チーム代打成績は14打数7安打の打率5割。同防御率もリーグトップの2.57。まだ課題は多く残るが、ベンチを含めた投打がかみ合った良いサイクルで春を過ごしている。

 その巨人を順位で上回るのが昨年のリーグ覇者・広島だ。ジョンソンの乱調で開幕戦こそ落としたが、第2戦から引き分けを挟んで破竹の7連勝。開幕8試合7勝1敗1分けで首位に立った。

 開幕前から“ポスト黒田”が大きな課題だったが、4月5日の中日戦でドラフト3位ルーキーの床田寛樹が7回途中3失点で試合をつくると、7日の東京ヤクルト戦ではドラフト1位ルーキー・加藤拓也が9回1死までノーヒットノーランの快投でプロ初先発初勝利。翌8日には前年のドラフト1位・岡田明丈が8回3分の1を1失点の好投。すでに九里亜蓮が2勝するなど、若手投手陣が競い合いながら好結果を出した。打線も好調で、11日からの巨人戦は早くも今季のペナントレースを占う大事な首位攻防戦となりそうだ。

開幕5連敗と出遅れた森中日…

 3位以下を見ると、FA加入した糸井嘉男が打率3割7分(27打数10安打)3本塁打10打点と爆発し、復活を期する鳥谷敬も同4割6分7厘(30打数14安打)と好スタートを切った阪神が4勝4敗の3位。その後にDeNA、ヤクルトと続き、大きく出遅れたのが中日だ。

 森繁和新監督の下、チーム改革を進めて迎えた開幕だったが、敵地・東京ドームで3連敗を喫すると、続く広島3連戦でも1分け2敗。開幕7戦目、4月7日のDeNA戦でようやく今季初勝利を挙げたが、翌日は引き分け、翌々日は1点差負けと上昇気流に乗れず、開幕9試合で1勝6敗2分けの最下位となっている。エースの大野雄大が2戦連続KOされ、守護神の田島が逆転弾を浴び、打線もヒットを放ちながらも得点につなげられない状況では勝ち星は望めない。

 “春の珍事”は起こらず、開幕3カードを終えた時点で順位表は昨季とほぼ同じ。このままでは面白くない。桜が散る前に、下位チームの巻き返しに期待したい。

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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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