【IGF】“猪木抜き”IGF新ブランド「NEW」旗揚げ 鈴川はジョシュに6年越しリベンジならず 

高木裕美

猪木抜きも「NEW」超満員札止めの船出

IGFの新ブランド「NEW」が旗揚げ。猪木 の「ダーッ」なしでNEWらしさをめざしていく 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 アントニオ猪木氏が主宰するIGFの新ブランド「NEW」(Next Exciting Wrestling)が5日、東京・後楽園ホールで旗揚げ戦を行い、超満員札止めとなる1435人を動員した。
 NEWはIGFの旗揚げ10周年を記念した新ブランドで、IGFの立会人を務める藤原喜明が相談役に就任。地域密着でストロングスタイルを伝えるべく、2年間で50試合、計5万人の動員を目標に、中規模会場をベースに全国で興行を行っていく。

 旗揚げ戦を成功させたサイモン・ケリー・猪木取締役は、「今まで猪木さんに甘えてきた部分があったけど、今後はNEWらしさを見せ、選手たちが頑張ってお客さんを盛り上げていきたい」と、今後も猪木イズムを継承しつつ、日本と中国の二つの柱でイベントを盛り上げたいと抱負を語った。

ジョシュへのリベンジに挑んだ鈴川だったが…

鈴川はジョシュに6年越しリベンジならず 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 メインイベントではNEWのエースを目指す鈴川真一が、ジョシュ・バーネットへのリベンジに挑むも撃沈した。両者は12年10.16「GENOME23」で対戦し、バーネットが6分00秒、腕三角絞めによるレフェリーストップで勝利。だが、この判定に納得のいかない鈴川は、復讐の機会を伺い続けていた。

バックドロップで鈴川を返り討ち

最後はバックドロップでフィニッシュし力の差を見せ付けたジョシュ 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 鈴川はゴングと同時にバーネットに組み付き、闘志全開。スリーパー、ストンピングからマーダービンタを連発し、ヘッドロックから頭突きを打ち込むと、ニーリフト、フロントスープレックス、肩固め、ミドルキックと攻め立てる。しかし、10分過ぎ、バーネットがサイドスープレックス、変形パワーボム、バックドロップと一気にたたみかけフィニッシュ。力の差を見せ付けた。

サイモン猪木氏は鈴川に自らの手でエースの座を勝ち取るようゲキ 【写真:SHUHEI YOKOTA】

「鈴川はレベルが上がってきた。オレに勝てる選手になってきたよ」と、その成長を認めたバーネットに対し、敗れた鈴川は失意のノーコメント。だが、サイモン猪木氏は「猪木さんも新日本の旗揚げ戦では(カール・ゴッチに)負けているし、鈴川のリベンジがいつになるか分からないけど、レベルを上げていって頑張ってほしい」と、かつては大相撲の世界で若麒麟の名で十両まで昇進し、6年半前にIGFの生え抜きとしてデビューした鈴川に対し、自らの手でエースの座を勝ち取るようハッパをかけた。

ミノワマンはプロレス技で対抗

ミノワマンは「子供の頃からのプロレスの勘が自然と出た」とツームストンパイルドライバーを繰り出すもドロー 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 セミファイナルでは田中稔vs.ミノワマンによる一騎打ちが実現するも、20分時間切れに終わった。
 稔はこれまで新日本プロレス、全日本プロレスなどのジュニア戦線で活躍し、「中量級を盛り上げたい」とNEW参戦へ意気込みをアピール。一方、PRIDEなどで名を上げたミノワマンは、稔の師匠であり、NEWの相談役である藤原との対戦実現をテーマに掲げていた。

 稔がSTF、低空ドロップキック、逆片エビ固め、フロントネックロックなどを仕掛けると、ミノワマンも「子供の頃からのプロレスの勘が自然と出た」と、ドラゴンスクリューからのヒザ十字固め、ツームストンパイルドライバー、アンクルホールドなどの技で対抗。残り5分となり、稔がブレーンバスター、サソリ固めで勝負をかければ、ミノワマンも足首固めで対抗。稔がコブラツイストでとらえるも、決めきれずに時間切れ引き分けとなった。

 この結果にミノワマンは「総合格闘技をやってきた貯金で何とかしのいだが、課題を知る試合だった」と反省。それでも、今後も“リアルプロレスラー”として、このリングで自分自身のプロレスを体現していきたいと語った。

中井はハイブリッドブラスターに轟沈

船木は「試合でも経験を積めば、NEWの土台を守れる選手になれる」と中井に太鼓判 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 人気漫画「キン肉マン」の作者・ゆでたまごの作画担当・中井義則さんの息子である中井光義は、船木誠勝に完敗した。
 中井は14年7月にはプロレスリング・ノアへの入団を発表しながらも、頸椎ヘルニアに苦しみ、デビューを待たずに退団。「NEWと共に自分も成長したい」と新天地に賭けていた中井だが、キャリアのある船木に歯が立たず。グラウンド、打撃、サブミッションのすべてで圧倒され、船木のハイキック一撃でダウンすると、ランニングキックからのハイブリッドブラスターに轟沈した。
 圧勝した船木は「緊張して実力が出せなかった部分もあるかもしれないけど、まだ若いし、しっかり練習して試合でも経験を積めば、NEWの土台を守れる選手になれる」と中井に太鼓判。「自分が現役として闘えるうちに、若い力を押し上げていきたい」と、自身が壁となって選手を鍛え上げたいと意気込んだ。

昭和対平成の関節職人対決が実現

「昭和の関節技の鬼対平成の関節職人対決」の攻防に後楽園のファンは酔いしれた 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 オープニングマッチでは、青木真也vs.藤原喜明という、「昭和の関節技の鬼対平成の関節職人対決」が実現。15分間の濃密な関節技の攻防に観客が酔いしれた。
“跳関十段”の異名をとる33歳の青木は、腕十字固め、ヒールホールドなどを狙いにいくが、67歳の藤原が巧みにいなし、青木の両腕をつかんでヘッドバットをお見舞い。
 青木は再三の頭突きにもひるまず、チキンウィングフェースロックからスリーパーでとらえるも、藤原が切り返して伝家の宝刀ワキ固めの体勢へ。だが、これは青木も警戒しており、即座にブロック。藤原は再度ワキ固めを狙うも、今度はニアロープ。客席からはため息も漏れる中、15分間戦い抜いた両者は、試合後、互いに深々と礼をすると、握手をかわした。

藤原組長「青木、後は任せた」とエール

“昭和の関節の鬼”藤原組長は「後は任せた」と青木に“関節の鬼”を継承 【写真:SHUHEI YOKOTA】

 藤原にリング上から「青木、後は任せた。もうこれからはおまえの時代だ」とメッセージを送られた青木は「初めて触らせてもらったけど、いい技の応酬ができた。お客さんよりオレが楽しんだ」と感慨深げ。「自分のキャリアの中で意味のある戦いだった。自分も藤原さんのように情緒のあるファイターになれると思う」と、この試合で得た昭和の“わびさび”を、今後の戦いに生かしたいと語った。

【写真:SHUHEI YOKOTA】

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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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