田中将大、防御率23.63からの出発 予想外の乱調に本人も監督も落胆
3度目の開幕戦は3回途中7失点
ヤンキースの開幕戦で先発した田中だが、3回途中7失点と打ち込まれた 【写真:USA TODAY Sports/アフロ】
4月2日(現地時間)、タンパのトロピカーナ・フィールドで行われたヤンキース対レイズの今季開幕戦。3年連続の開幕投手を務めたヤンキースの田中は予想外の形で痛打された。初回に4安打を集中されていきなり3点を失うと、2回にはエバン・ロンゴリアに2ラン、3回にはローガン・モリソンにソロ本塁打を許してしまう。結局、2回2/3で8安打を打たれ、7失点。ヤンキースが3対7と完敗を喫する主要因となり、過去8度の対戦では負けなしだったレイズに自己初黒星を献上してしまった。
「スプリングトレーニングの初日から、この日に投げるぞと言われて調整してきた。それなのにこういう投球しかできなかったというのが、すごく悔しい」
試合後、田中は沈痛な表情でそう繰り返した。実際に春季キャンプ中は絶好調で、“渡米以降では最高の状態”という声が盛んに聞こえてきていた。オープン戦では5試合で23回2/3を投げて防御率0.38、被打率1割1分5厘と数字的にもほぼ完璧。メジャーの水にも慣れた4年目にして、自己ベストのシーズンを過ごすだろうと予想する声も少なくなかった。
しかし……レイズ戦でのよもやの大乱調で、1試合を終えた時点の防御率はなんと23.63。1試合で自責点7はメジャーでの自己ワースト。開幕戦で7点以上を奪われ、3回を持たずに降板したヤンキースの先発投手は1973年のメル・ストットルマイヤー以来なのだという。期待が大きかった2017年の初登板は、このように残念な形で記録的なものとなってしまったのである。
球威もなく制球も悪く立て直せず
ジョー・ジラルディ監督も驚いていたが、実際にこの日の田中はとにかく制球が悪く、ボールが先行して苦しくなるケースが目立った。
レイズ打線に打たれた8安打のうち、2ストライクに追い込んでから許したのは1本だけ。ストライクが取れずに四苦八苦する中で、早いカウントから甘い球を狙い打たれた構図が見えてくる。
また、ア・リーグ某チームのスカウトは、この日の真っ直ぐの勢いのなさにも言及していた。
「立ち上がりから速球が走っていなかった。それゆえにスプリッターを多投し、その切れ、コントロールも悪かったために事態は悪い方向に進んでいった。田中は多くの優れた変化球を持っているが、鍵になるのは真っ直ぐだということ。速球が切れてなければ、スプリッターの効果も半減してしまう」
結局、この日は考え得る限り、ほぼすべてが悪い方向に行ったということなのだろう。筆者の取材経験でも、普段は安定感抜群の田中のコントロールがこれほどバラつくのを見たのは今回がおそらく初めて。切れに欠ける日も良いコースに投げればカバーできるし、逆に球に勢いがあれば制球力不足も致命傷にはならない。しかし、その両方が欠けているのでは、やはり好投するのは難しかった。