大会だけが走る楽しみじゃない!? 出会いと発見に溢れた『旅ラン』

三河賢文

旅ランの楽しみ方

【写真提供:三河賢文】

『旅ラン』とは、旅先を走って巡ること。普通なら交通機関や車などで移動してしまうところを、自分の足で進みます。荷物はバックパックへ。駅・空港について即走り出しても、宿をとって身軽に走り出しても構いません。
 私が旅ランをオススメする理由は、「走るからこそ見える発見、出会いがある」から。例えば伊豆大島を1周したときのこと。ふと目に入った小さな看板に導かれるまま、道を外れて山に入ったことがありました。すると5分ほど歩いた先にあったのが『石のそり橋』。車や自転車のスピードでは、恐らく見落としてしまうでしょう。

 あるいは、宮城県女川町を走っていたとき。地元の方に「お茶っこ飲んできな」と声を掛けられ、その場で東日本大震災でのお話をたくさん伺えました。しまなみ海道を走ったときは、橋の歩道で『多々羅 鳴き龍』を発見。これこそ車では気付くことさえありません。

 目的地へ到着することを重視するなら、交通機関や車は便利でスピーディーです。しかし旅としてその土地を満喫したいなら、旅ランは充実度合いが違います。

 旅ランでは、わざわざ観光地を訪れる必要がありません。ただ、その土地を思うままに走る。スマートフォンが普及した現在、マップアプリを使えば迷子になりません。自然の雄大さを感じたり、独自の建造物を眺めたり。その道程すべてが思い出となって残るはずです。

旅ランに向けた準備

【写真提供:三河賢文】

 旅ランは大会と異なり、何か起きても自己対処です。そのため、楽しむための準備は入念に行いましょう。ここで、いくつかポイントをご紹介しておきます。

1.コースを決める
 基本的に、旅ランは好きなように走ります。しかしあまりに計画性がないと、気付いたときおかしな場所にいるなんていうことも。そのため、地図を見ながらある程度のコースを決めておきましょう。

 このときインターネットのマップサービスを使うと、全体の距離も把握できます。また、いくつか目印を決めておけば、不安になって何度もスマホのマップアプリを見るなんていうことが起きません。自分が好きなようにコースを決められるので、コース決めだけでワクワクしてきます。

2.仲間を誘ってみる
 私は1人旅が好きですが、そうでなければ仲間を誘ってみましょう。気の知れた相手も会話しながら走れば、楽しさは倍増します。

 もし可能なら、現地の方と走るのもオススメ。土地を熟知したランナーなら、普通は気付かないような穴場スポットを教えてくれるかもしれません。
3.走る以外も満喫する
 旅ランは、走った後や途中の過ごし方も大切。私の場合、必ずと言って良いほど温泉をゴールにします。そして美味しいお店、できれば特産物などが食べられる場所をあらかじめ見つけておき、美味いお酒と食事で締めるんです。

 ランニングなら、交通機関ではアクセスしにくい場所だって行けるはず。山だって登れます。そうして『好きなこと』をぎっしり盛り込むと、旅ランは夢のような時間になるでしょう。

4.走るときの装備を万全に
 忘れてならないのが走るための装備。特に旅ランは大会のようにスタッフがおらず、何が起きても自分で対処しなくてはなりません。

 持つべきものは距離や気温、場所などによって異なります。以下をベースに、実際の旅ランをイメージしながら準備を進めてください。

・お金
・スマートフォン
・モンバイルバッテリー
・健康保険証
・レインウェア
・ヘッドライトorハンドライト(日が落ちてから走る場合)


 このほか、例えば温泉へ行くなら着替えやタオル、電車で帰るなら汗拭き用のウェットティッシュなど。出来るだけ荷物は軽い方が良いですが、「どうしたら充実して楽しい旅ランになるか」を考えて、持ち物を選別しましょう。

行きたかった、気になっていた場所へ走りに行こう!

【写真提供:三河賢文】

 旅ランの目的地は、どこだって構いません。強いていうならば、これまで行きたいと思っていた、あるいは気になっていたものの、なかなか行くことのできていない場所。例えば絶景があって見てみたいものの、それ以外に観光名所などなくて行く理由に乏しかったなど。旅ランはそれだけで1日中でも楽しめますから、ぜひ理由付けとして活用してみてください。

 もちろん旅ランだけのために赴かなくても、出張先、家族旅行先、あるいは大会遠征先でも旅ランは楽しめます。多少は時間に制約ができますが、ただ帰るのと比べて楽しみ度合いが違うはず。私はよく大会の翌日、1泊して疲労抜きを兼ねた旅ランをしています。何にもとらわれることなく自由に走っていると、走ることの楽しさを再確認できるでしょう。ぜひ、試してみてください。

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著者プロフィール

中学生の頃から陸上競技を始め、大学では十種競技選手として活動。引退後、約7年のブランクを経て2011年6月よりランニングを開始。同年にハーフマラソン、フルマラソン、翌年には100kmのウルトラマラソンやトライアスロン(オリンピック・ディスタンス)も完走。沖縄本島1周マラソンなどを始め、今では“超長距離”レースにも数多く出場している。また“トウモロコシ”や“アザラシ帽子“をトレードマークに、仮装マラソンも楽しむ。ランニングブログも不定期更新中。趣味と過去の経験を活かし、現在は東京都葛飾区内にある中学校の陸上部にて、外部コーチとして指導も行っている

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