広島、今シーズンの注目ポイント 連覇へ最大の課題は黒田の穴埋め

ベースボール・タイムズ

メジャー経験のあるペーニャがサード

メジャーで341試合の出場実績を持つ、スイッチヒッターのペーニャ(左) 【写真は共同】

 昨季は神がかり的な快進撃で25年ぶりとなるリーグ優勝を果たした広島。今季は1980年以来となるリーグ連覇、さらには84年以来の日本シリーズ制覇が目標になる。

 WBCに出場した菊池涼介や田中広輔、昨季3番に定着した丸佳浩の同級生トリオを筆頭に20代半ば選手が中心のチーム構成もあり、補強はドラフトと新外国人選手の最小限にとどめた。最大のテーマは、引退した黒田博樹の穴埋め。ドラフト1位の加藤拓也と3位の床田寛樹の2人が期待され、ともにオープン戦でまずまずの成績も残したが、内容的には今ひとつ。現段階では首脳陣の信頼は勝ち取れていない状況だ。

 新外国人選手では、ブルペン強化を狙って昨季3Aで46試合に登板したブレイシアを獲得したが、オープン戦では3試合で防御率12.00と結果を残せず。外国人投手では先発のジョンソンとセットアッパーのジャクソンは欠かせない戦力で、昨季先発、リリーフを問わない活躍をしたヘーゲンズもいる。そう考えると、戦力になりそうなのは野手のペーニャの方か。メジャーで341試合の出場したスイッチヒッターの内野手は、長年レギュラーが決まらないサードのポジションを奪う可能性が高い。

2年目の岡田にブレークの兆し

 現有戦力では、堂林翔太と野間峻祥の2人に対する期待が大きい。プロ8年目を迎える堂林は背水の陣でシーズンに挑む意気込みを見せ、外野手として定位置奪取を狙っている。野間はルーキーイヤーに127試合に出場して緒方監督の秘蔵っ子と呼ばれた選手だが、結果が残せずに昨季は2軍暮らしが長く続いた。キャンプでは、特別強化選手として石井琢朗打撃コーチらが付きっきりで指導に当たっていたが、オープン戦では堂林は打率1割9分6厘と低迷し、野間は故障で戦線離脱。代わりにレギュラー争いに加わる勢いを見せていた西川龍馬も、オープン戦で自打球を受けて離脱して開幕1軍は絶望的な状況だ。

 若手野手陣が停滞する一方で、投手陣では2年目の岡田明丈がブレークの兆しを見せている。オープン戦では5試合で防御率1.57と抜群の安定感を発揮し、ジョンソン、野村祐輔に続く先発3番手の地位を確立した。同じくオープン戦で存在感を見せたのが九里亜蓮。2試合で計10イニングを投げて3安打無失点。ロングリリーフもこなせる便利屋的な右腕でもあり、緒方監督の評価は高い。

 個々のレベルアップが最大の補強だったが、緒方監督は「WBC組が不在で若手にチャンスはあったが、レギュラーを脅かすような選手は現れなかった」と不満を見せた。昨季と同様に4番打者が固定できない不安材料もある。戦力は整っている。しかし、前年からほぼ変わらないメンバーで長いシーズンを戦い抜けるのか。就任2年目で優勝監督となった緒方監督の真価を問われるシーズンとも言えそうだ。

オープン戦成績

4勝11敗2分(12チーム中11位)

チームトップ
打率:堂林翔太 1割9分6厘
本塁打:エルドレッド 2本
打点:丸佳浩 7打点
安打:丸佳浩 17本
四球:庄司隼人、堂林翔太、丸佳浩 4
盗塁:上本崇司 4

防御率:岡田明丈 1.57
勝利:岡田明丈 2勝
セーブ:薮田和樹 1セーブ
登板:薮田和樹 8試合
投球回:岡田明丈 23
奪三振:岡田明丈 19

過去5年のシーズン成績

2016年:1位 89勝52敗2分 
2015年:4位 69勝71敗3分
2014年:3位 74勝68敗2分
2013年:3位 69勝72敗3分
2012年:4位 61勝71敗12分
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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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