巨人、今シーズンの注目ポイント 大型補強で球界の盟主の座を取り戻す

ベースボール・タイムズ

FAで実績十分の陽らを獲得

巨人は陽岱鋼(写真)ら3選手をFAで獲得し、大型補強を実現した 【写真は共同】

 3年連続でのV逸は許されない。リーグ3連覇から2年連続で2位に終わった巨人が、球界の盟主の座を取り戻すべく、近年稀に見る大補強を敢行。史上初となる同一年の FA3選手の獲得に、近年は少なくなったタイトルホルダークラスの選手のトレード、さらには育成も含めた総勢10人の外国人選手と、あらゆる補強に着手した。

 まずはFA。北海道日本ハムから陽岱鋼、横浜DeNAから山口俊、福岡ソフトバンクから森福允彦と実績十分の3選手を獲得した。ただやみくもにという訳ではなく、陽は長野久義以外に絶対的なレギュラーのいない外野手、山口俊は菅野智之、マイコラスに続く存在が欲しい先発陣、森福は近年衰えも見え始めた山口鉄也の負担を軽減する左の中継ぎと、補強ポイントは明確だ。さらにトレードで12年にパ・リーグMVPに輝いたサウスポーの吉川光夫を獲得。同時に獲得した石川慎吾も将来を有望視されていた外野手で、巨人でも定位置争いに加わる力はある。

抑え候補に166キロ右腕・カミネロ

 新外国人選手では、13年の東北楽天の日本一に貢献したマギーに白羽の矢を立てた。さらに抑えで不安定だった沢村拓一を脅かす存在として、最速166キロを誇る剛腕・カミネロを加え、質、量ともにかつてないほどの分厚い選手層が整った。

 さらにドラフトでは、長年レギュラー不在の状態が続いている正二塁手候補として、大学ナンバーワン内野手の評価を受けた吉川尚輝を1位指名。2位以下では畠世周、谷岡竜平、池田駿と、即戦力を期待して大学、社会人の投手を獲得したが、オープン戦の7試合で防御率1.42と結果を残した谷岡がリリーフとして開幕1軍の切符をつかみつつある。

岡本、重信の定位置確保なるか!?

 既存の若手選手の奮起も必要だ。特に14年ドラフト1位の岡本和真には期待が集まり、内野手登録ではあるがギャレットとレフトの定位置を争い、オープン戦では2本塁打を放って首脳陣にアピール。現状では、ギャレットが外国人枠の関係で1軍に残れない可能性もあり、15年ドラフト2位の重信慎之介とともに、定位置確保に向けてチャンスのシーズンとなる。

 だが、大型補強の反動か、オープン戦では5勝14敗で、まさかの12球団最下位に終わった。新加入の陽、山口は故障でオープン戦未出場。4番候補として期待されたマギーも、オープン戦打率1割4分8厘と状態が上がってこない。仮にマギーが期待通りの活躍をしたとしても、ファーストとサードを守る阿部慎之助と村田修一のいずれかがスタメンを外れることになるなど、チーム編成面での問題も抱えている。

 フロントが本腰を入れた“30億円補強”は実を結ぶのか。それともかつて「4番コレクター」と言われて失敗した、「いつか見た道」を繰り返してしまうのか。就任2年目を迎える高橋由伸監督にとっては覚悟と決断を迫られるシーズンになりそうだ。

オープン戦成績

5勝14敗(12チーム中12位)

チームトップ
打率:岡本和真 2割4分1厘
本塁打:岡本和真、村田修一 2本
打点:石川慎吾、村田修一 6打点
安打:立岡宗一郎 15本
四球:マギー 5
盗塁:重信慎之介 8

防御率:田口麗斗 0.90
勝利:内海哲也、大竹寛 2勝
セーブ:カミネロ、吉川光夫、山口鉄也、戸根千明、西村健太朗 1セーブ
登板:谷岡竜平、田原誠次 7試合
投球回:吉川光夫 24
奪三振:田口麗斗 16

過去5年のシーズン成績

2016年:2位 71勝69敗3分 
2015年:2位 75勝67敗1分
2014年:1位 82勝61敗1分
2013年:1位 84勝53敗7分
2012年:1位 86勝43敗15分 ※日本一
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著者プロフィール

プロ野球の”いま”を伝える野球専門誌。年4回『季刊ベースボール・タイムズ』を発行し、現在は『vol.41 2019冬号』が絶賛発売中。毎年2月に増刊号として発行される選手名鑑『プロ野球プレイヤーズファイル』も好評。今年もさらにスケールアップした内容で発行を予定している。

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